法務省「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会」は、国民及び外国人双方の視点に配慮しつつ、共生施策の企画及び立案に資する意見聴取等を実施し、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策を検討することを目的としてに設立されました。
外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会
構成員(有識者)
青山伸悦(日本商工会議所理事・事務局長)
市川正司(弁護士)
井上 隆(日本経済団体連合会常務理事)
岡部みどり(上智大学法学部教授)
佐原光一(豊橋市長)
高橋 進(日本総合研究所チェアマン・エメリタス<名誉理事長>)
村上陽子(日本労働組合総連合会総合労働局長)
外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会
第1回検討会(2018年9月13日)発言要旨
*雇用・労働に関する有識者からの発言については赤字で記載しています。
・今後の外国人材受入れの検討に当たっては、急激な人口減少社会を迎えている中で、外国人材をどのように受け入れていくのか、次の世代のためにどのように開かれた日本を目指していくのかといった大きな視点で,長い目で議論を行う必要がある。
・外国人を受け入れた場合に生じる社会的コストを誰が負担するのか。地方公共団体だけに任せるのではなく、議論していくことが必要である。施策を進める上では行政を含め新しいサービスが必要になってくるが、国・地方公共団体・職場・地域コミュニティの役割分担や責任を明確化していく必要がある。また、コスト負担ということも避けられない論点である。
・地方公共団体からのヒアリングは非常に参考になるものであり、関係者からのヒアリングを多く実施し、好事例は先行事例として活用していくべきである。
・国民及び外国人の声を聴く仕組みとしての「『国民の声』を聴く会議」については、透明性の確保ということで多様な関係者が参画できるような仕組みにする必要があるほか、聴いた意見をどのように政策に反映したのかというプロセスの透明性も重要になってくる。
・国民及び外国人の意見を聴く仕組みについて、外国人や、親が外国人など外国に ルーツを持つ人の意見を聴くことも大切である。また,外国人が日本で生活して行くに当たり日本語教育は重要であり、学校の現場からも話を聞きたい。
・外国人との共生を検討するに当たっては、外国にルーツを持つ人や帰化した人たちの人数、どのような問題があるのかなどを客観的なデータとして調査することが必要になってくる。法務省では「外国人住民調査」を行っていることもあり、できる範囲で調査していただきたい。
・啓発活動については、規範やルールという面からの取組も必要である。外国人が入居・転居・就職といったような社会生活の中で差別を受けたときに,国や地方公 共団体,事業者の対応方針や仕組み作りにも取り組んでいく必要がある。また、迅速な救済のため、独立性・専門性のある機関による救済も必要である。
・総合的対応策の検討の方向性において,多言語による対応に関する取組はあるが、「やさしい日本語」に関する取組は含まれていない。多言語による対応には限界があるが、「やさしい日本語」は、外国人のみならず、高齢者や障がい者にとってもなじみやすいものであり,施策の充実が必要である。
・新しい制度では,外国人はある程度どういう仕事に就くのか決められるところ、業種内の移動はいいとして,仕事が変わってしまった場合等は当該外国人の在留状況を的確に把握ができないのではないか。法務省と厚生労働省との間できちんと情報連携を可能とすべきであるが、日本人であればマイナンバーで管理されることを踏まえて新しいシステムや方法を検討する必要もあるのではないか。
・新たな制度や技能実習制度で外国人を受け入れる場合、規則・労働条件・同等報酬要件を確認することが必要であり、その確認方法を定めておく必要がある。
・今般の新たな外国人材の受入れは、産業界からの要望に応えるものであり、スピード感を持って対応いただいていることは歓迎したい。
・新たな外国人材の受入れの議論を進める上では、透明性を確保し国民や関係者の納得を得ながら議論を進めていくことが特に重要である。新しい受入れ制度の実施まで短期間ではあるが、国民、企業、関係者に対する広報活動に特段の配慮をいただきたい。外国人労働者に関する人権問題については国際的な関心も高まっており、日本への評価に直結するものであるため、対外的にも透明性を持って説明責任を果たしていく必要があるのではないか。
・新たな受入れ制度により入ってくる外国人労働者は、将来的に在留資格の変更や転職を行うと考えられるが、日本語習得等を受入れ企業のみに対応させるのでは不十分である。支援の枠組みとして、地方公共団体・国際交流協会・労働基準監督署・法テラス・弁護士会等による地域の協議会など、地方公共団体や国が適正な負担をしながら外国人の生活が円滑となるような仕組みを作っていく必要がある。
・新しい受入れ制度により、これまで外国人を雇用してこなかった企業で受け入れるようになったり、外国人があまりいない地域にも外国人が入ってくるという現象が起こると考えられるため、中小企業に対する周知・仕組みの教育のほか、国・地方公共団体・企業の連携が重要である。
・税・社会保障制度については、日本の制度に加入していただくのが大前提であり、新たに入ってくる外国人について、マイナンバーなどで捕捉できるようにすることが重要である。
・外国人労働者のトラブルの背景には、外国人労働者自身が雇用関係のルールを知らないということもあるが、それ以前の問題として雇用する事業主の認識の問題があるのではないか。事業主の中には、外国人を安い労働者として活用したいという意識があったり、社会保険を適用しなくてもよいという思い込みを持っていたりする事業主もいることから、いかにして認識を改めてもらうかが重要である。
・現行では外国人労働者の雇用管理について指針が定められているところ、これを法律に格上げし、きちんと守らせ、違反をした場合の罰則を設ける必要がある。また、指針を守れないような事業主は外国人を受け入れられないような仕組みが求められる。
・外国人の労働慣行等の知識不足に対する対応策が書かれていないが、基本的なルールについて学んでもらう機会を設けることが必要である。安全衛生に関しては詳細なパンフレットが用意されているようだが、労働組合への加入も含めた基本的なルールについて説明を徹底する必要がある。
・ハローワークでの多言語化は進められているが、労働基準監督署においても、外国人が自分の権利を侵害された場合に母国語で申告できるような環境整備を行っていく必要がある。
・外国人労働者に対して、一般の日本語教育とは別に、就業に結び付く日本語教育が必要であり、そのためのプログラムの準備やスキルアップのための取組が重要。
・一定のスキルや条件を満たす中で職場移転をすることが想定されるが、限定された労働市場の中での職業紹介等についてハローワークの適切な対応が必要である。
・雇用の安定について、ハローワークの相談体制の整備として電話やメールによる対応とされているが、外国人労働者や技能実習生はSNS等を活用していることが多いため、そうした現状に配慮していただきたい。
・雇用の安定について,在留管理や教育訓練の問題、外国人労働者と受入れ企業が合わない場合、どのような仕組みでどのように対応していくのか、どのようにマッチングさせるのか、企業を離れた場合の外国人のスキルアップをどのように考えるのか、対応をパッケージとして考えていく必要がある。新しい在留資格を作るとなると新しい問題が多々出てくるが、そういった問題を想定して制度設計をしていく、必要がある。
*外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会は、第2回検討会が2018年9月28日、第3回検討会が2018年10月24日に開催されています。
追記:連合は「外国人材の受入れに関する新たな在留資格の創設」に対する当面の取り組み方(2018年6月28日、第11回中央委員会確認)の中で、「外国人材の受入れに関する新たな在留資格の創設」に対する連合の考え方として、次のように全体的な問題を指摘しています。
1 受入れの是非について国民的な議論が必要
2 多発する労働関係法令違反をなくすことが先決
3 雇用・労働政策の視点が欠如
また、連合は「外国人材の受入れに関する新たな在留資格の創設」に対する当面の取り組み方の中で、外国人労働者の雇用管理関する法整備について厚労省・労働政策審議会に検討の場を設け、と訴えていましたが、法務省に「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会」が新設されると、連合は構成員に総合労働局長を送り出しています。
外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会リンク
外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会(法務省)ページ
外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会設置要綱(PDF)
第1回外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会議事録(PDF)
第1回外国人材受入れ・共生のための総合的対応策検討会議事要旨(PDF)
第2回外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会議事要旨(PDF)
第3回外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会議事要旨(PDF)
外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会
構成員(有識者)
青山伸悦(日本商工会議所理事・事務局長)
市川正司(弁護士)
井上 隆(日本経済団体連合会常務理事)
岡部みどり(上智大学法学部教授)
佐原光一(豊橋市長)
高橋 進(日本総合研究所チェアマン・エメリタス<名誉理事長>)
村上陽子(日本労働組合総連合会総合労働局長)
外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会
第1回検討会(2018年9月13日)発言要旨
*雇用・労働に関する有識者からの発言については赤字で記載しています。
・今後の外国人材受入れの検討に当たっては、急激な人口減少社会を迎えている中で、外国人材をどのように受け入れていくのか、次の世代のためにどのように開かれた日本を目指していくのかといった大きな視点で,長い目で議論を行う必要がある。
・外国人を受け入れた場合に生じる社会的コストを誰が負担するのか。地方公共団体だけに任せるのではなく、議論していくことが必要である。施策を進める上では行政を含め新しいサービスが必要になってくるが、国・地方公共団体・職場・地域コミュニティの役割分担や責任を明確化していく必要がある。また、コスト負担ということも避けられない論点である。
・地方公共団体からのヒアリングは非常に参考になるものであり、関係者からのヒアリングを多く実施し、好事例は先行事例として活用していくべきである。
・国民及び外国人の声を聴く仕組みとしての「『国民の声』を聴く会議」については、透明性の確保ということで多様な関係者が参画できるような仕組みにする必要があるほか、聴いた意見をどのように政策に反映したのかというプロセスの透明性も重要になってくる。
・国民及び外国人の意見を聴く仕組みについて、外国人や、親が外国人など外国に ルーツを持つ人の意見を聴くことも大切である。また,外国人が日本で生活して行くに当たり日本語教育は重要であり、学校の現場からも話を聞きたい。
・外国人との共生を検討するに当たっては、外国にルーツを持つ人や帰化した人たちの人数、どのような問題があるのかなどを客観的なデータとして調査することが必要になってくる。法務省では「外国人住民調査」を行っていることもあり、できる範囲で調査していただきたい。
・啓発活動については、規範やルールという面からの取組も必要である。外国人が入居・転居・就職といったような社会生活の中で差別を受けたときに,国や地方公 共団体,事業者の対応方針や仕組み作りにも取り組んでいく必要がある。また、迅速な救済のため、独立性・専門性のある機関による救済も必要である。
・総合的対応策の検討の方向性において,多言語による対応に関する取組はあるが、「やさしい日本語」に関する取組は含まれていない。多言語による対応には限界があるが、「やさしい日本語」は、外国人のみならず、高齢者や障がい者にとってもなじみやすいものであり,施策の充実が必要である。
・新しい制度では,外国人はある程度どういう仕事に就くのか決められるところ、業種内の移動はいいとして,仕事が変わってしまった場合等は当該外国人の在留状況を的確に把握ができないのではないか。法務省と厚生労働省との間できちんと情報連携を可能とすべきであるが、日本人であればマイナンバーで管理されることを踏まえて新しいシステムや方法を検討する必要もあるのではないか。
・新たな制度や技能実習制度で外国人を受け入れる場合、規則・労働条件・同等報酬要件を確認することが必要であり、その確認方法を定めておく必要がある。
・今般の新たな外国人材の受入れは、産業界からの要望に応えるものであり、スピード感を持って対応いただいていることは歓迎したい。
・新たな外国人材の受入れの議論を進める上では、透明性を確保し国民や関係者の納得を得ながら議論を進めていくことが特に重要である。新しい受入れ制度の実施まで短期間ではあるが、国民、企業、関係者に対する広報活動に特段の配慮をいただきたい。外国人労働者に関する人権問題については国際的な関心も高まっており、日本への評価に直結するものであるため、対外的にも透明性を持って説明責任を果たしていく必要があるのではないか。
・新たな受入れ制度により入ってくる外国人労働者は、将来的に在留資格の変更や転職を行うと考えられるが、日本語習得等を受入れ企業のみに対応させるのでは不十分である。支援の枠組みとして、地方公共団体・国際交流協会・労働基準監督署・法テラス・弁護士会等による地域の協議会など、地方公共団体や国が適正な負担をしながら外国人の生活が円滑となるような仕組みを作っていく必要がある。
・新しい受入れ制度により、これまで外国人を雇用してこなかった企業で受け入れるようになったり、外国人があまりいない地域にも外国人が入ってくるという現象が起こると考えられるため、中小企業に対する周知・仕組みの教育のほか、国・地方公共団体・企業の連携が重要である。
・税・社会保障制度については、日本の制度に加入していただくのが大前提であり、新たに入ってくる外国人について、マイナンバーなどで捕捉できるようにすることが重要である。
・外国人労働者のトラブルの背景には、外国人労働者自身が雇用関係のルールを知らないということもあるが、それ以前の問題として雇用する事業主の認識の問題があるのではないか。事業主の中には、外国人を安い労働者として活用したいという意識があったり、社会保険を適用しなくてもよいという思い込みを持っていたりする事業主もいることから、いかにして認識を改めてもらうかが重要である。
・現行では外国人労働者の雇用管理について指針が定められているところ、これを法律に格上げし、きちんと守らせ、違反をした場合の罰則を設ける必要がある。また、指針を守れないような事業主は外国人を受け入れられないような仕組みが求められる。
・外国人の労働慣行等の知識不足に対する対応策が書かれていないが、基本的なルールについて学んでもらう機会を設けることが必要である。安全衛生に関しては詳細なパンフレットが用意されているようだが、労働組合への加入も含めた基本的なルールについて説明を徹底する必要がある。
・ハローワークでの多言語化は進められているが、労働基準監督署においても、外国人が自分の権利を侵害された場合に母国語で申告できるような環境整備を行っていく必要がある。
・外国人労働者に対して、一般の日本語教育とは別に、就業に結び付く日本語教育が必要であり、そのためのプログラムの準備やスキルアップのための取組が重要。
・一定のスキルや条件を満たす中で職場移転をすることが想定されるが、限定された労働市場の中での職業紹介等についてハローワークの適切な対応が必要である。
・雇用の安定について、ハローワークの相談体制の整備として電話やメールによる対応とされているが、外国人労働者や技能実習生はSNS等を活用していることが多いため、そうした現状に配慮していただきたい。
・雇用の安定について,在留管理や教育訓練の問題、外国人労働者と受入れ企業が合わない場合、どのような仕組みでどのように対応していくのか、どのようにマッチングさせるのか、企業を離れた場合の外国人のスキルアップをどのように考えるのか、対応をパッケージとして考えていく必要がある。新しい在留資格を作るとなると新しい問題が多々出てくるが、そういった問題を想定して制度設計をしていく、必要がある。
*外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会は、第2回検討会が2018年9月28日、第3回検討会が2018年10月24日に開催されています。
追記:連合は「外国人材の受入れに関する新たな在留資格の創設」に対する当面の取り組み方(2018年6月28日、第11回中央委員会確認)の中で、「外国人材の受入れに関する新たな在留資格の創設」に対する連合の考え方として、次のように全体的な問題を指摘しています。
1 受入れの是非について国民的な議論が必要
2 多発する労働関係法令違反をなくすことが先決
3 雇用・労働政策の視点が欠如
また、連合は「外国人材の受入れに関する新たな在留資格の創設」に対する当面の取り組み方の中で、外国人労働者の雇用管理関する法整備について厚労省・労働政策審議会に検討の場を設け、と訴えていましたが、法務省に「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会」が新設されると、連合は構成員に総合労働局長を送り出しています。
外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会リンク
外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会(法務省)ページ
外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会設置要綱(PDF)
第1回外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会議事録(PDF)
第1回外国人材受入れ・共生のための総合的対応策検討会議事要旨(PDF)
第2回外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会議事要旨(PDF)
第3回外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会議事要旨(PDF)