労働政策審議会の雇用環境・均等分科会(第20回)会合が2019年10月21日に開催されましたが、「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(案)(パワハラ指針案)素案が提示されました。
このパワハラ指針案の素案に対して、日本労働弁護団が「パワハラ助長の指針案の抜本的修正を求める緊急声明」を発表するなど、批判的な意見が噴出していました。
昨日(2019年11月20日)、労働政策審議会の雇用環境・均等分科会(第22回)会合が開催されましたが、前々回分科会で示されたパワハラ指針案の素案を労働者側・使用者側などで議論し、その後、修正されたパワハラ指針案の素案を「了承」(澤路毅彦・朝日新聞編集委員のツイートによると「使用者側は了承し、労働側も修正案をパブリックコメントに付す手続きに進むことは了承しました」とのこと)しました。
また、澤路毅彦氏のツイートによると、パワハラに該当しない例にあった、「経営上の理由により、一時的に、能力に見合わない簡易な業務に就かせること」は修正案では削除されました。
日本労働弁護団も緊急声明において、パワハラに該当しない一例として「『経営上の理由により、一時的に、能力に見合わない簡易な業務に就かせること』が挙げられているが、これまで違法な降格・配転事件、追い出し部屋事件等の多くの事件で、使用者は『経営上の理由』から『一時的』な解雇回避措置であり、やむを得ない措置だとの弁解の主張を行っていた。この例示は、それら使用者の弁解を正当化することになりかねない」と、削除を求めていました。
なお、時事通信社の報道によると、「指針案は(2019年)5月に成立した改正労働施策総合推進法に基づくパワハラ防止の具体策で、意見公募を経て年内に正式決定し、来年(2020年)6月から施行する」予定とのこと。
事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(案)について<概要>修正案 (PDF)
<参考>
澤路毅彦・朝日新聞編集委員の連続ツイート
本日午後3時からの雇用環境・均等分科会はパワハラ指針の審議。10月21日に示された「素案」には労側から多くの異論が出たため、かなりの修正を加えた「案」が本日示されました。それでも異論があったため、午後4時15分ごろ、30分間の休憩に入りました。修正の必要があるか、公益が議論。
午後4時50分ごろ再開し、さらに文言が追加された「修正案」が示されました。使用者側は了承し、労働側も修正案をパブリックコメントに付す手続きに進むことは了承しました。まだアップされていません。
指摘されていた問題点の一つ、「労働者の主観」の書きぶり。「主観」という言葉は使われていませんが、「相談を行った労働者の心身の状況や当該言動が行われた際の受け止めなどその認識にも配慮しながら」などの文言が追加されています。
「該当すると考えられる例」「該当しないと考えられる例」も修正されたり、削除されたり。「該当する」の「怪我をしかねない物を投げつけること」は「相手に物をなげつけること」に。
「該当しない」にあった、「経営上の理由により、一時的に、能力に見合わない簡易な業務に就かせること」は削除されました。
朝日新聞「パワハラ指針 働く人を守るを原点に」(2019年11月22日)
「例えば『社会的ルールを欠いた言動が見られ、再三注意しても改善されない労働者に対して一定程度強く注意する』ことはパワハラに該当しないとされるが、『一定程度強く』の基準はあいまいだ。労働者側に落ち度があればパワハラにはならないと受け取られかねない、との懸念もある。
就職活動中の学生やフリーランスの個人事業主など、雇用関係にない人たちを守るための措置は『必要に応じて適切な対応を行うように努めることが望ましい』との表現にとどまった。これでどれほどの企業が、有効な対策をとるだろうか。
厚労省は、指針で示しきれない部分は解釈の通達などで補い、実効性ある対策につなげたいという。指針が パワハラの範囲を狭め、使用者側の言い訳に使われては困る。働く人を守るという原点を、忘れてはならない。」(朝日新聞・社説より抜粋)
<追記>
厚生労働省の労働政策審議会「雇用環境・均等分科会」(第24回)が2019年12月23日、中央労働委員会講堂で開催されました。
議題はパワハラ指針(事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針)案要綱(諮問)、セクハラ指針(職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針)等の一部を改正する告示案要綱(諮問)でした。
パワハラ指針のパブリックコメントが過去に例のない1,139件も意見が寄せられましたが、パワハラ指針案の修正はありませんでした。ただし、答申案に労働者代表委員の意見が盛り込まれたこと、また藤澤雇用環境均等局長が「パブリックコメントは今後の参考に」と分科会の最後に挨拶しました。
パワハラ指針(事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用 管理上講ずべき措置等についての指針)案(PDF)
このパワハラ指針案の素案に対して、日本労働弁護団が「パワハラ助長の指針案の抜本的修正を求める緊急声明」を発表するなど、批判的な意見が噴出していました。
昨日(2019年11月20日)、労働政策審議会の雇用環境・均等分科会(第22回)会合が開催されましたが、前々回分科会で示されたパワハラ指針案の素案を労働者側・使用者側などで議論し、その後、修正されたパワハラ指針案の素案を「了承」(澤路毅彦・朝日新聞編集委員のツイートによると「使用者側は了承し、労働側も修正案をパブリックコメントに付す手続きに進むことは了承しました」とのこと)しました。
また、澤路毅彦氏のツイートによると、パワハラに該当しない例にあった、「経営上の理由により、一時的に、能力に見合わない簡易な業務に就かせること」は修正案では削除されました。
日本労働弁護団も緊急声明において、パワハラに該当しない一例として「『経営上の理由により、一時的に、能力に見合わない簡易な業務に就かせること』が挙げられているが、これまで違法な降格・配転事件、追い出し部屋事件等の多くの事件で、使用者は『経営上の理由』から『一時的』な解雇回避措置であり、やむを得ない措置だとの弁解の主張を行っていた。この例示は、それら使用者の弁解を正当化することになりかねない」と、削除を求めていました。
なお、時事通信社の報道によると、「指針案は(2019年)5月に成立した改正労働施策総合推進法に基づくパワハラ防止の具体策で、意見公募を経て年内に正式決定し、来年(2020年)6月から施行する」予定とのこと。
事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(案)について<概要>修正案 (PDF)
<参考>
澤路毅彦・朝日新聞編集委員の連続ツイート
本日午後3時からの雇用環境・均等分科会はパワハラ指針の審議。10月21日に示された「素案」には労側から多くの異論が出たため、かなりの修正を加えた「案」が本日示されました。それでも異論があったため、午後4時15分ごろ、30分間の休憩に入りました。修正の必要があるか、公益が議論。
午後4時50分ごろ再開し、さらに文言が追加された「修正案」が示されました。使用者側は了承し、労働側も修正案をパブリックコメントに付す手続きに進むことは了承しました。まだアップされていません。
指摘されていた問題点の一つ、「労働者の主観」の書きぶり。「主観」という言葉は使われていませんが、「相談を行った労働者の心身の状況や当該言動が行われた際の受け止めなどその認識にも配慮しながら」などの文言が追加されています。
「該当すると考えられる例」「該当しないと考えられる例」も修正されたり、削除されたり。「該当する」の「怪我をしかねない物を投げつけること」は「相手に物をなげつけること」に。
「該当しない」にあった、「経営上の理由により、一時的に、能力に見合わない簡易な業務に就かせること」は削除されました。
朝日新聞「パワハラ指針 働く人を守るを原点に」(2019年11月22日)
「例えば『社会的ルールを欠いた言動が見られ、再三注意しても改善されない労働者に対して一定程度強く注意する』ことはパワハラに該当しないとされるが、『一定程度強く』の基準はあいまいだ。労働者側に落ち度があればパワハラにはならないと受け取られかねない、との懸念もある。
就職活動中の学生やフリーランスの個人事業主など、雇用関係にない人たちを守るための措置は『必要に応じて適切な対応を行うように努めることが望ましい』との表現にとどまった。これでどれほどの企業が、有効な対策をとるだろうか。
厚労省は、指針で示しきれない部分は解釈の通達などで補い、実効性ある対策につなげたいという。指針が パワハラの範囲を狭め、使用者側の言い訳に使われては困る。働く人を守るという原点を、忘れてはならない。」(朝日新聞・社説より抜粋)
<追記>
厚生労働省の労働政策審議会「雇用環境・均等分科会」(第24回)が2019年12月23日、中央労働委員会講堂で開催されました。
議題はパワハラ指針(事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針)案要綱(諮問)、セクハラ指針(職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針)等の一部を改正する告示案要綱(諮問)でした。
パワハラ指針のパブリックコメントが過去に例のない1,139件も意見が寄せられましたが、パワハラ指針案の修正はありませんでした。ただし、答申案に労働者代表委員の意見が盛り込まれたこと、また藤澤雇用環境均等局長が「パブリックコメントは今後の参考に」と分科会の最後に挨拶しました。
パワハラ指針(事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用 管理上講ずべき措置等についての指針)案(PDF)