福岡県の福岡空港にほど近い、
糟屋郡志免町にある旧志免鉱業所竪坑櫓。
コンクリートのロボットの様なルックスとともに、
激動の20世紀を今に伝える炭鉱の巨大竪坑櫓を、
シリーズでお送りします。
志免炭鉱竪坑櫓全景 ※画像はクリックで拡大します
既にオープロジェクトのオフィシャルブログ、
廃墟賛歌ブログではアップしましたが、
その時はワンダーJAPAN掲載記事のプロモーション的な内容でしたので、
今回はワンダーJAPAN誌に掲載しきれなかった画像も含めて、
志免炭鉱竪坑櫓の内部を、隅々までお伝え出来ればと思います。
福岡空港のほぼ真東、空港から車で約10分、
現在では市の福祉センター等がある公園に隣接した場所に、
志免炭鉱竪坑櫓跡はあります。
→Mapion
高さは地上約50mあり、櫓に近づくに従って、
その異様なルックスと大きさに圧倒され、
更に目の前で見上げると、
そのずっしりとした重量感が伝わってきます。
志免炭鉱竪坑櫓
志免炭鉱は、国内にあまたあった炭鉱の中でも、
特殊な足跡を辿った炭鉱でした。
まず炭鉱の開削が海軍によってなされたこと、
そして、戦後国鉄(現JR)がその事業を引き継ぎ、
その結果、
開削から閉山まで一貫して国内唯一の国営炭鉱だったこと、
また、現存する櫓がワインディング・タワーと呼ばれる、
世界でも珍しい構造を採用していたこと。
操業時の志免炭鉱
この地域から産出される石炭が、
黒い煙を出さない、いわゆる無煙炭と呼ばれる種類のものだったため、
軍艦の燃料に使っても敵に発見されにくいことから、
それに目をつけた海軍が明治39年(1906)に採掘を開始。
明治から昭和の帝国時代を根底からささえ、
軍事の重要施設としての役割を担いました。
やがて地底深くの石炭を採掘する計画が進み、
そこで造られたのが当時最新鋭だった、
ワインディング・タワー式のこの竪坑櫓です。
志免炭鉱竪坑櫓の断面図
炭鉱の竪坑櫓(たてこうやぐら)とは、
竪坑(たてこう)、すなわち地中に垂直に掘り進んだ穴に、
ケージと呼ばれる籠を昇降させて、
作業員や採掘した石炭を上げ下げする機械で、
いわば地中エレベーターのようなものです。
炭鉱の一般的な竪坑櫓は、
捲き上げ機が櫓とは別の場所にあり、
櫓の頂点から斜めにワイヤーを張って、
ケージの昇降を行なう構造でした。
それに比べてワインディング・タワー型というのは、
現在のエレベーターのように、
昇降機が籠の真上に設置されて、
そこから昇降の操作が行なわれる形のもので、
専有面積が破格に狭くて済むという利点と同時に、
修理の際に、部品をその都度上げなくてはならない、
とう欠点もありました。
結局ワインディング・タワー式の竪坑櫓は、
三池炭鉱(熊本)の四山竪坑や貝島炭鉱(福岡)の大之浦竪坑など、
数カ所で造られるにとどまり、歴史から姿を消します。
最新鋭の櫓を完成させた海軍でしたが、
時は終戦間近の昭和18年(1943)のこと。
軍事施設として殆ど活躍する事なく敗戦をむかえます。
戦後まもなく国鉄の管理下におかれ、
蒸気機関車の燃料として復活をはたすものの、
エネルギー変換の時代とともに、
昭和39年(1964)、志免炭鉱は閉山を迎えます。
志免炭鉱竪坑櫓/坑口跡
画像は櫓中心部の直下にあたる竪坑の坑口跡。
かつて地底深く430mの竪穴が口を開けていた場所は、
今ではまったくそんなことが分からないくらい奇麗に塞がれ、
植物が生い茂ってました。
志免炭鉱竪坑櫓/坑口跡
竪坑口の横に残るレールの跡。
地底から籠に乗って運び上げられたトロッコは、
地上に出ると、レールに乗って、
各種の処理施設へと運び出されました。
志免炭鉱竪坑櫓
竪坑の中心から櫓を見上げたところ。
かつては中央の穴から何本ものワイヤーロープが垂れ下がり、
ギシギシと音をたてながらケージを昇降していたのだと思います。
次回からは徐々に上の階へ登りながら見て行こうと思います。
★ ワンダーJAPAN _ vol. 11★
志免炭鉱竪坑櫓内部レポート 地上50mの《異空間》
オープロジェクトによる志免炭鉱竪坑櫓のリポート。
このブログに掲載中の画像以外の画像を含め、
オープロ全員の画像と詳しい解説を掲載。
★ オープロジェクト DVD ★
『鉄道廃線浪漫 ~風の声・時の音~』
国鉄専用の炭鉱だったことから、
鉄道廃墟としてのアプローチで、
志免炭鉱のパートを収録。
糟屋郡志免町にある旧志免鉱業所竪坑櫓。
コンクリートのロボットの様なルックスとともに、
激動の20世紀を今に伝える炭鉱の巨大竪坑櫓を、
シリーズでお送りします。
志免炭鉱竪坑櫓全景 ※画像はクリックで拡大します
既にオープロジェクトのオフィシャルブログ、
廃墟賛歌ブログではアップしましたが、
その時はワンダーJAPAN掲載記事のプロモーション的な内容でしたので、
今回はワンダーJAPAN誌に掲載しきれなかった画像も含めて、
志免炭鉱竪坑櫓の内部を、隅々までお伝え出来ればと思います。
福岡空港のほぼ真東、空港から車で約10分、
現在では市の福祉センター等がある公園に隣接した場所に、
志免炭鉱竪坑櫓跡はあります。
→Mapion
高さは地上約50mあり、櫓に近づくに従って、
その異様なルックスと大きさに圧倒され、
更に目の前で見上げると、
そのずっしりとした重量感が伝わってきます。
志免炭鉱竪坑櫓
志免炭鉱は、国内にあまたあった炭鉱の中でも、
特殊な足跡を辿った炭鉱でした。
まず炭鉱の開削が海軍によってなされたこと、
そして、戦後国鉄(現JR)がその事業を引き継ぎ、
その結果、
開削から閉山まで一貫して国内唯一の国営炭鉱だったこと、
また、現存する櫓がワインディング・タワーと呼ばれる、
世界でも珍しい構造を採用していたこと。
操業時の志免炭鉱
この地域から産出される石炭が、
黒い煙を出さない、いわゆる無煙炭と呼ばれる種類のものだったため、
軍艦の燃料に使っても敵に発見されにくいことから、
それに目をつけた海軍が明治39年(1906)に採掘を開始。
明治から昭和の帝国時代を根底からささえ、
軍事の重要施設としての役割を担いました。
やがて地底深くの石炭を採掘する計画が進み、
そこで造られたのが当時最新鋭だった、
ワインディング・タワー式のこの竪坑櫓です。
志免炭鉱竪坑櫓の断面図
炭鉱の竪坑櫓(たてこうやぐら)とは、
竪坑(たてこう)、すなわち地中に垂直に掘り進んだ穴に、
ケージと呼ばれる籠を昇降させて、
作業員や採掘した石炭を上げ下げする機械で、
いわば地中エレベーターのようなものです。
炭鉱の一般的な竪坑櫓は、
捲き上げ機が櫓とは別の場所にあり、
櫓の頂点から斜めにワイヤーを張って、
ケージの昇降を行なう構造でした。
それに比べてワインディング・タワー型というのは、
現在のエレベーターのように、
昇降機が籠の真上に設置されて、
そこから昇降の操作が行なわれる形のもので、
専有面積が破格に狭くて済むという利点と同時に、
修理の際に、部品をその都度上げなくてはならない、
とう欠点もありました。
結局ワインディング・タワー式の竪坑櫓は、
三池炭鉱(熊本)の四山竪坑や貝島炭鉱(福岡)の大之浦竪坑など、
数カ所で造られるにとどまり、歴史から姿を消します。
最新鋭の櫓を完成させた海軍でしたが、
時は終戦間近の昭和18年(1943)のこと。
軍事施設として殆ど活躍する事なく敗戦をむかえます。
戦後まもなく国鉄の管理下におかれ、
蒸気機関車の燃料として復活をはたすものの、
エネルギー変換の時代とともに、
昭和39年(1964)、志免炭鉱は閉山を迎えます。
志免炭鉱竪坑櫓/坑口跡
画像は櫓中心部の直下にあたる竪坑の坑口跡。
かつて地底深く430mの竪穴が口を開けていた場所は、
今ではまったくそんなことが分からないくらい奇麗に塞がれ、
植物が生い茂ってました。
志免炭鉱竪坑櫓/坑口跡
竪坑口の横に残るレールの跡。
地底から籠に乗って運び上げられたトロッコは、
地上に出ると、レールに乗って、
各種の処理施設へと運び出されました。
志免炭鉱竪坑櫓
竪坑の中心から櫓を見上げたところ。
かつては中央の穴から何本ものワイヤーロープが垂れ下がり、
ギシギシと音をたてながらケージを昇降していたのだと思います。
次回からは徐々に上の階へ登りながら見て行こうと思います。
★ ワンダーJAPAN _ vol. 11★
志免炭鉱竪坑櫓内部レポート 地上50mの《異空間》
オープロジェクトによる志免炭鉱竪坑櫓のリポート。
このブログに掲載中の画像以外の画像を含め、
オープロ全員の画像と詳しい解説を掲載。
★ オープロジェクト DVD ★
『鉄道廃線浪漫 ~風の声・時の音~』
国鉄専用の炭鉱だったことから、
鉄道廃墟としてのアプローチで、
志免炭鉱のパートを収録。
友人が志免出身で、いまも地元にいるそうなので近いうちに見に行きたいですね。
まだ直接見たことはありません。
ご無沙汰しておりますが、今後ともよろしくお願いいたします。
10代の頃からとは素晴らしいですね!
あっ、軍艦島もそういえばそうでしたね。
まだご覧になってないのであれば、
是非ご覧になってください。
現存する竪坑の中では、やはり一番迫力があると思います。
ずっと拝見させて頂いております。
今年は町工場をテーマに描いており、先日は代田橋を見に行ってきました。
そして、この竪坑櫓があまりに素晴らしかったので、工場というよりこれはもう産業遺産なのですが、なかなか現地へ行けないため、廃墟さんのこの記事のトップの写真を画の参考にさせて頂きたいのですが、よろしいでしょうか。
画像検索では数限りなく出てきますが、この角度からの構図がとても素晴らしくて。
そっくりそのまま、ではないかと思いますが、ほぼこのような形で縦長の画面に配置してみたいのですが。
よろしくお願いします。
すぐに作品にはならないかもしれませんが、ひと言おことわりしておこうかと思いましたので、悪しからず。
自分のブログ更新もままならず、
neonさんの方へも全然行けてませんが、
また寄らせてもらいます。
志免の画像に関しては、
私のでよかったら、どんどん参考にしてくださいませ!
志免の櫓は4面あるうちで、
この角度が一番魅力的だと思います。
確かに画像検索で見ると、この面は多いですが、
みなさん少しずつ角度が付いていますね。
それにしてもneonさんがこういったドカーンとしたのを題材にされるとは思いませんでした。
とても楽しみです!
http://homepage2.nifty.com/kamitaku/
と申します。
今般、私が運営しておりますホームページ「炭鉱マニア」
http://coal.shimazu-yoshihiro.net/
の「リンク集」の、以下の2箇所からこの貴ブログ記事にリンクを張りましたので、その旨、報告申し上げます。
○ 「その他or個人による、炭鉱or炭鉱鉄道などのサイト(特定の地域や炭鉱に偏らない全国版)」欄
http://coal.shimazu-yoshihiro.net/coallink.htm#jpn_per
○ 「志免炭鉱について紹介しているサイト」欄
http://coal.shimazu-yoshihiro.net/coallink.htm#shime
つきましては、貴サイトからも相互リンクして下さるようお願い申し上げます。趣旨は、「相互リンクで拡げよう、炭鉱紹介の輪!」です。
今後とも、よろしくお願い申し上げます。
漸くこの建物の画に取り組み始めました。
今日、途中ですがその画をアップし
このサイトをリンクさせて頂きました。
10月5日からの個展に出品予定です。
取り急ぎご連絡まで。
拙ブログからもリンクさせて頂きました。
また以前にオープロジェクトの方へも、リンク先変更のご連絡をただいておりましたが、
そちらも修正させて頂きました。
今後共よろしくお願いいたします。
neonさんが題材に選ん来られたものとはかなり違う素材だと思うので、
この巨大なコンクリートの塊がneonさんの手にかかって、
どんな絵になるのか、とても楽しみです!
お陰様で画のほうは何とか完成しました。
ブログで途中アップした画像より廃味の濃いものになったかと思っています。
展示は来月5日から17日です。
ご多忙でご無理と思いますが、今DMを拙ブログに載せていますので、万一おついでがありましたらお立ち寄り下さい。
もしDMをお送りしてもよければ、是非あて先をカギコメなどで御知らせ下さい。
この度は本当にありがとうございました!
そして個展のご案内もありがとうございます!
会期が長いので、おそらくうかがえると思います。
また、微力ながら拙blogでも告知させて頂きました。
DMはわざわざお送り頂かなくても大丈夫です。
ありがとうございます。