拙者「白 賢者」でござる。
拙者は母上につけてもらった名の通り、日に日に賢くなっておる。
何を隠そう、以前はケージ登頂に成功し、今回はドア登頂にも成功した!
しかし、以前は♂の大事な大事なチ◯に傷を負い、今回は成功までに爪を抜かれる羽目に陥ってしまった。
なんとも不覚のいたす所ではあるが、成功のためなら少々のことはいとわないのである。
まあ、そのたんび母上に動物のお医者さんというところに連れていかれ、
母上が財布を見てため息をついているところを目の当たりにすると
「悪いことしたかな」と少しは思うのではあるが、
動物のお医者さんでは、ぎゅっと抱いてもらえたり、なかなか良いこともあったりで、
悪いことしたかなとか思ったことさえすぐに忘れるのが拙者の美徳であると自覚している。
しかし、母上と目を合わせるのが怖くて、つい目をそらしてしまっていたのも事実だ。
登頂に成功したので、拙者は自信をつけた。いつでも出られる。
しかし、出た所で玄関というところから出られないということもわかり、その間はぬくぬくの寝床にも帰れず、
水も飲めないということがわかったので、苦労の割にはええことがないということもわかった。
それに拙者が、チャレンジャーに集中している最中は、凛太郎兄者のうるさいことうるさいこと。
「やめれー、やめれー」と吠えまくられる。
母上不在でも、兄者に怒られて・・・。
兄者に怒られると、拙者正直ビビるのである。
兄者は拙者より身体は小さいが、その声の大きいこと、大きいこと。
兄者に怒られ、帰ってきた母上に怒られ、
母上はきつくは怒らないが、その冷たい目に拙者の心は深く傷つくのだ。
「あんた、またこんなことして」と言われたら返す言葉もない。
確かに遊んでいる間は夢中なので、痛みもそう感じないのだが、母上にお手と言われて差し出したら
触られただけで飛び上がるほど痛いということになっていた。
いや面目無い。そうすると母上は心配してくれて。
この心配されるというのは、ちょっと嬉しかったりする。
普段あまりかまってもらえないのだが(これは兄者も同様なのだけど)、
最近熱心に取り組んでいるらしい何やら勉強たらいうものをそこそこにして心配してくれて、
拙者の部屋にもよく来てくれるようになるから
これはこれで、正直痛いけど嬉しいのだ。
でも、母上が拙者の部屋を訪れ、かまってくれていると、ドアの向こうから兄者の冷たい目が突き刺さってくる。
まあ、何事も程々にしておかなくてはならんのだなということを身に染みて知る今日この頃ではある。
夢だったドア登頂にも成功したので今後しばらくは大人しくふるまおうと思う次第でござる。
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