雑賀孫市(まごーん)の中の人ブログ

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戦史叢書

2016年12月24日 14時34分44秒 | 本・読書
今回は本の紹介です。防衛庁防衛研修所戦史室編『戦史叢書の大本営陸軍部<3>』(朝雲出版社)です。

この本の所有者は終戦時の陸軍省軍務局軍事課長兼参謀本部の編成動員課長だった荒尾興功大佐で島貫武治が贈ったものです。

こちらが荒尾大佐(藤井非三四『≪都道府県別に見た≫陸軍軍人列伝[西日本編]』(光人社、2007)121p)より
本をめくると、島貫武治から荒尾宛の署名があります。


さて、荒尾大佐の紹介です。
荒尾興功 陸士35期恩賜 陸大42期恩賜 高知
(1902-1974)
M35.3.18 生まれる
T12.7 陸士(第35期)恩賜卒業
T12.10 陸軍少尉 歩兵61連隊付
S5.11 陸大(第42期)恩賜卒業
S6.12 陸軍省軍務局付
S7.12 軍務局徴募課
S9.11 ソ連駐在
S11.3 ポーランド公使館付武官補佐官
S12.7 陸軍省人事局課員
S12.8 陸軍少佐
s13.4 参謀本部作戦課作戦班
S14.8 陸軍中佐
S15.9 陸軍歩兵学校教官
S16.7 関東軍参謀部第5課(大本営付)
S16.11 南方軍参謀
S17.5 参謀本部船舶課長
S17.8 陸軍大佐
S18.10 参謀本部運輸課長
S20.4 陸軍省軍務局軍事課長兼参謀本部作戦部編成動員課長
S20.8 宮城事件に関与
S20.12 復員・第一復員省総務課長
S21.6 復員庁第一復員局総務部長
S23.5 復員庁第一復員局復員業務部長
S23.7 戦犯容疑で拘留
S24.3 戦犯容疑不起訴
S25.8 陸海軍連絡委員会連絡部長
S27.5 免官
S49.8.22 死去

佐藤元英・黒沢文貴編『GHQ歴史課陳述録─終戦史資料(上)』明治100年叢書第435巻(腹書房、2002年)p439。
日本近代史料研究会編『日本陸海軍の制度・組織・人事』(東京大学出版会、1973年)。
という、経歴です。

送り主の島貫武治は陸士36期で荒尾の後輩にあたります。
経歴は
島貫武治 陸士36 陸大45恩賜 大佐 歩兵 宮城
ソ連駐在
T13 陸士卒業(36)
T13.10 少尉・歩兵27連隊付
S2.10 中尉
S5.12.12 陸軍大学校入校
S8.8 大尉
S8.11.29 陸大卒業(恩賜)/参謀本部作戦班
S12.4.5 東京出立。ソ連へ*
S13.3 ポーランド駐在*武官(現地限り補佐官)**
時期不明 エストニア公使館駐在武官(補佐官)***
S13.9.20エストニア出立***
S13.11.19 帰朝***
S14.3.9 関東軍作戦主任参謀
S14.9,8 陸軍大学校教官
S16.4.1 北支方面軍作戦主任参謀
S17.6.1 第11軍高級参謀
S17.8.1 支那派遣軍参謀
S17.12.20 第11軍高級参謀
S18.2 陸軍大佐
S18.8.2 参謀本部鉄道課長
S18.10.24 第1方面軍高級参謀
S19.3.23 第11軍高級参謀
S19.9.2 航空総監付
S30 戦史編纂官
外山操編・上法快男監修『陸海軍将官人事総覧 陸軍編』(芙蓉書房、1981年)467頁
日本近代史料研究会編『日本陸海軍の制度・組織・人事』(東京大学出版会、1973年)。
*C01004299100
**C01004434500
***C01004593400
というもので、荒尾とは真逆の前線幕僚です。

とある方によると、戦史叢書は元々自衛隊内部の戦史本であったらしく、内容は軍人を想定している体裁らしいです。
ここらへんは、実際に編纂に当たった方(西浦進とか)に伺いたいものですが、存命の方(しかも軍人)がおられるのか…。
会えたら聞いて見たいですね。

それでは今年最後の投稿になります。みなさま、良い年を。あとメリークリスマス!ノシ


『あの海あの空』正木生虎元中佐が贈ったもの。

2016年11月13日 18時27分29秒 | 本・読書
読書の秋ですね。もはや秋どころか冬な気分ですが。
今日は本を紹介します。

『あの海あの空』という本で五一会というところが出したものです。

正木生虎というひとの署名があります。
これは海軍兵学校第51期生たちの回顧録でして、各人が色々なことを書いています。
海兵51期は日中、アジア・太平洋戦争下では少佐〜大佐の中堅将校として働いています。
代表的な人物は
大井篤(海上護衛総司令部参謀)
小園安名(厚木航空隊司令)
実松譲(駐米武官/米内光政正伝などの著者)
豊田隈雄(海軍戦犯関係の著者)
三代辰吉(軍令部参謀/大本営海軍部参謀)
渡辺安次(連合艦隊戦務参謀)
などが海兵51期です。

さて、署名をした正木さんは、この本の中に年譜式で自身の経歴を書いているのでそれを参考にどういう経歴か見て行きます。

M35 呉の庄山田村半原邸に生まれる。
M40 逗子に移る
私立市ヶ谷小学校
T4 広島県立三次中学校編入のち退学
T7 県立呉中学校へ編入
T9 海軍兵学校入学
T12.7 少尉候補生(海兵卒業)。磐手乗組。
T13.12 海軍少尉。15駆逐隊付
T15 海軍中尉。第14潜水隊附。呂26潜水艦乗組。
槇航海長(第二遣外艦隊)
S2 神通ケプガン、航海士、水雷士
S4 海軍大尉。通信学校高等科学生。
S5 結婚し、鎌倉に住む。通信学校卒業。蓬先任将校。
S6 阿武隈通信長。
S7.2.3 ウースン砲台と交戦し初陣。
S9 迅鯨通信長。病気引入。通信学校教官兼山城通信長。
S10 海軍少佐。のち八雲通信長
S12 鎮海通信隊司令兼鎮海要港部参謀。
張鼓峰事件に連絡参謀として参加
S13.12 第三戦隊参謀。
S15 海軍中佐。日向通信長。
S16.9 高松宮宣仁親王附武官
S17.11 通信学校教官(海軍通信学校教官兼海軍通信学校研究部部員、海軍大学校教官、海軍航海学校教官、海軍水雷学校教官、横須賀海軍砲術学校教官、館山海軍砲術学校教官、海軍機雷学校教官、海軍工機学校教官、海軍工作学校教官、海軍工作学校教官、横須賀海軍航空隊教官、海軍技術会議議員)。
通信学校で伏見博英らを教える。
S182.1〜3.8 レーダー巡回講習(大阪、柱島、呉ら佐世保、ニューブリテン島など)。
S18.10.1 海軍艦政本部第三部予算部員。
S19.6〜11 軍需省軍需官兼務。
S20.10 艦政本部第三部第一課長兼第二課長
S20.11.30 予備役即日召集。復員事務官。
S21.3 復員大臣官房電信課長。
S21.11.15 願いによって免官。長府船渠株式会社に就職。
S25.6 失業。その後、横須賀に住む。
S27 米国極東艦隊気象本部顧問。
S28 株式会社京三製作所入所(第二営業部)。
のち同製作所水中機雷部長、研究所兵器担当副所長、特機部長。

というような経歴です。
日中戦争で初陣し、アジア・太平洋戦争下は高松宮殿下の御付武官などもっぱら内地勤務で、戦後も第二復員省勤務となっています。

さて、この『あの海あの空』は以下の人物も投稿しています。参考に名前を。
雀部 利三郎
安延 多計夫
山田 盛重
広瀬 弘
豊田 隈雄
溪口 泰麿
実松 譲
吉井道教
原 道男
安井 保門
中島 忠行
稲葉 通宗
井上 勇
田上 明次
橋本 亘
三浦 義四郎

『極限の島 「レンパン」-静兵団参謀の開拓手記-』

2016年01月19日 07時49分43秒 | 本・読書
ども、まごーんやで。
今日は本を紹介。

第46師団参謀をしていた人の敗戦から復員までの手記です。
内容は日本軍将校による日本軍連隊長射殺や、英軍による日本軍の折衝、レンパン島内における農作業の成果です。大体は食べ物に関係することが多いですね。
この本の著者は山本立夫陸軍少佐と言って陸軍大学校卒業したエリート将校でした。
たまたま、山本少佐の写真を数葉持ってたので掲載しましょう。
先ずは年表から

山本立夫 (1916~1978) 熊本県生まれ
陸士49期・陸大58期 勲五等旭日双光章
S8.3 陸士予科入学
S12.3 陸士本科卒業(49期) 歩兵第31連隊付
S12.5 陸軍少尉 独立歩兵第11連隊付
S14.4 独立歩兵第11連隊中隊長 陸軍中尉
S16.2 陸軍予科士官学校生徒隊付 陸軍大尉
(陸士57期予科第2中隊第6区隊長)
(陸士58期予科第2中隊第6区隊長)
S17.12 陸軍大学校入学
S19.7 陸軍大学校卒業(58期)
S19.7 第46師団参謀 陸軍少佐


では写真から山本少佐を追いましょう。
先ずは陸士時代の写真から

↑陸士生徒の時の山本立夫。5中隊1区隊でした。

↑次に陸士57期区隊長時代の写真です。胸には支那事変での功績で叙勲した勲五等旭日章があります。

↑こちらは陸士58期区隊長時代。

そしてこちらは陸大を卒業して第46師団参謀に命課された時の写真(こちらは『極限の島 レンパン』より)

山本少佐の本は珍しく戦場での出来事ではなく、敗戦後の生活に重点を置いており、そこに必読の価値があると思います。

しかし…師団参謀。このような人にお会いしてみたいものです。

それではまた。

本買った

2014年05月24日 19時17分29秒 | 本・読書
どもーまごーんや。
今日は古本買ったで。

わかる人にはわかる…ハズ。小松方正さんの自伝的本ですね。
わたしは彼の全盛期の頃には生まれてませんが、鬼平とか水戸黄門でたまにみかけて好きになりました。
昭和を代表する名脇役。怪優。創造社四天王の一人…。などなど沢山の褒め言葉をもらっていて、調べてて凄いと思いました。
フジテレビ版ドランクモンキーの酔拳がブルーレイセットについてくるというので買うか迷ってます。