私が歌った時は「はちすの花」だった。
高二の秋,たぶんこれが最後の試験曲,まだ自信と希望に満ちていた。
6拍子で,始めと終わりが全く印象の異なる歌だな,と感じていた。
大まかに三通り,曲を音で変えていくと,着地点に収まる曲でもある。
だから,変な色付けをしない方が望ましい。
この頃,教師からは評価も得ていた,合唱の指揮者でもあったし。
のびのびと自分の好きに歌っていた。
実はこの曲,シューマンが結婚前,クララに捧げたものだという。
私が女性に曲をプレゼントすると別れる,というジンクスがあり,恋愛の歌はここ40年(笑)作ったことがない。
Hermann Prey; "Die Lotosblume"; Myrten-Lieder; Robert Schumann
曲は抑揚が利いた状態で進行し,最後は一気にピークへもっていく。
シューマンも,結婚前の抑え気味な心を解放するように作ったのかもしれない。
歌ったヘルマン・プライは派手ではないが,ほんのり香のする歌と雰囲気で,心落ち着く。
ドイツ・リートを初めて歌った頃,プライのレコードを買ったっけ。
正統的で厳格なするディートリッヒ・フィッシャー・ディースカウに比べると音楽が曖昧だが味はある,というところだ。