魚氷にあがる候となりました。
立春の後寒い日が続きます。朝の庭は霜柱が立って凍てついています。
この二つは同じ結び方ですが上下が違います。
右上はお殿様のような格の方が結ぶので紐先が上を向いて偉そうです。女物の羽織紐なのでイメージがつき難いかもしれませんが、もう少し太く豊かな紐で結ぶと淡路結びとは違ったイメージになります。左は普通の女性の結びです。
先日けまんのお話をしましたがお芝居の中にはまだいろいろな結びがあります。羽織の紐結びとは関係ないのですが少しふれたいと思います。
楽器には琴でも笙でもその袋にはたいてい結びの装飾が付いています。房や結びがあると取り扱いも自ずと大事になるようです。阿古屋が弾くお琴にも胡弓にもそれぞれ梅結びや胡蝶結びの変形など付いていて、胡弓の弓にはにな(蜷)結びが下がり弾く度に揺らめいてよい情緒を醸します。
揚巻や八橋など傾城の頭は立兵庫と言う大きな髷ですがこれにも梅結びが付いていて何本もの笄とのバランスを保っています。
松羽目物の揚幕には太い紐の露結びのような一重の結びが下がっています。
鎌倉期の武士の衣装には紐のきくとじ(菊綴じ)があり、袖口や袴の裾に平紐が通してあります。この紐はいざと言う時に袖口や足元をくくり、襷がけが出来るような美と用の工夫を備え、後世の武家の裃とは違った公家風な柔らかさがあります。
結びには優雅な味わいがあるようです。