『オードリー・ヘップバーンの
生き方』
彼女の人生を貫いたもののひとつ
に「家庭」へのこだわりがある。
アンネ・フランクリンと同じ国、
同じ年に生まれ、幼いときの両
親の離婚が彼女に植えつけた
「家庭への憧れ」、これがあまり
に強すぎたために、もしかした
ら二度の離婚を経験したのかも
しれなかった。「守りたい」と
いう思いが強すぎて、それを
強く抱きしめすぎて、腕のなか
で壊してしまったのかもしれな
かった。
そんなオードリーが、最高のパー
トナーに出逢えたとき、選んだス
タイルが「結婚をしない」という
選択だったことを思うと、考え
深い。
歳を重ね経験を積んでおそらく
オードリーは、内面がゆたかに
養われ、物事の本質を知る力を
身につけたのだと思う。
服装などにも象徴される「表面
的なこと」を重視しないとうこ
とだ。財産のことなど、愛以外
のややこしい事柄を避けること
ももちろんあっただろうけ
けれど、「結婚」という社会
的な約束事を「表面的なこと」
に分類したのだろう。
オードリーが男性に求めた愛
は、性愛ではなく抱擁だった
気がする。そんなオードリー
を物足りなく思った恋人、夫
はいたかもしれない。
わからない。すべては組み合
わせの問題なのだ。
けれど、思うに女にはただ、
抱きしめて欲しい夜があるよ
うだ。
オードリーはことさらそんな
夜を多くもった気がする。
晩年、オードリーは息子の
ショーンに言った。