教育心理学者の伊藤隆二さんは
「子供は寂しくなったときも、
そしてうれしくなったときも、
真っ先に“母”を求める。
母を求めてひた走りに走る。
そして“母”という不思議な
世界に包まれて、心から安ら
ぐのである。
専門語で“子宮回帰”という
のであるが、子供は意識の下
で、かつて過ごしたもっとも
安定した“場”である母の
胎内に帰りたいという願いを
持って生きている」と語り、
さらに、「子供にとって原点
ともいえるその“母”が鬼に
なり、悪魔になって子供を
苦しはじめた“母”の役割
は、安らぎの“安”の漢字が
示すように、
“家の中でやさしくおお
らかに、そしていつでも微
笑んでいる女性“であること、
そのことにあるのに、その
“母”が子供を叱り、急かせ、
勉強を迫る調教師になってし
まった」とも語っています。