唇と唇が触合った瞬間、
私は目を閉じました。
清潔な口づけ。
ふたりのあいだには
躊躇(ためらい)いも
なく、文字通り、
自然な成りゆきで、
それはゆっくり始まり、
唐突に終わりました。
近すぎて見えなかっ
たものも、
遠ざかる時ははじめ
てその形がよくわかる。
賢いウサギは三つの
隠れ穴を持っている。
そうすれば、危険なとき
でもどれかの穴に逃げ
込ん助かることができる
のだ。
ひとつのことばかり集中
していると、うまくいかなか
ったときにすべてがなくな
ってしまう。
何ごとにも三つくらいの対
策を用意しておくのがよい。
才能を
見つけてくれる人に、
人は動かされる。
自分の部下を「あいつはダメだ」と
言う上司は、人を動かすことが
できません。
上司の仕事は、自分の部下がダメ
かダメでないかを判断することで
はありません。
ほかの人がダメだと言ったとして
も、その部下の才能を何か見つけ
てあげるのが仕事です。
これは、プライベートでも、恋愛
関係でも、まったく同じです。
人間は自分の才能を見つけてくれ
てもらう喜びが、やる気になりま
す。
その見つけられた才能を使う喜び
が、人を動かしていくのです。
母はよく、言っていました。
つらいことなど、何もなかった。
あなたを産んでよかった。楽しい
ことばかりだった。
けれど、たったひとつだけ、つ
らくてたまらなかったことがあ
って、それは、あなたが生まれ
たその夜に、わたしのそばには、
誰もいなかったということ。
同じ部屋に入院していた人には、
ご主人がつっききりで寄り添っ
ていて、生まれたばかりの赤ち
ゃんを抱いて、涙を流して喜ん
でいた。それをすぐそばで見て
いたときだけが、つらかったと。
それまでずっと、記憶の底で眠
っていた母の言葉が、なぜだか
急に思い出されて、僕はチュン
ユーに約束しました。赤ん坊が
生まれるまでは、
僕が「夫の役目」を果たしてあ
げると、その言葉を、彼女がど
んな風に受け止めたのか、多分、
僕はもっとほかの言い方をする
べきだったのでしょう。
十二月の半ばチュンユーの子ど
もが生まれ、その前に(日本か
ら戻ったあと)僕は学校に戻り、
最後に残っていたプログラムも
無事、終了しました。
実は僕は今月の終わりから、オ
レゴン州へ行く予定にしている
のです。ポートランドの小さな
村ですが、そこにもやはり思
想家の考え方に共鳴するグル
ープがいて、僕はそこの農場
で、ファームマネージャとし
て、働くことになっているの
です。グリーンカードも取れ
ました。
シオンちゃんがここまで来て
くれたということは、チュン
ユーの口から直接、聞きまし
彼女は、シオンちゃんが編んで
くれた毛糸の帽子を差し出しな
がら、ここで起こったことのす
べてを、自ら話してくれました。
どうして急に話す気になったの
か、それは僕にもわかりません。
僕がオレゴンへ行くことになっ
て、彼女にも何か、ふんぎりの
ようなものがついたのかもしれ
ません。
彼女からは「結婚してほしい」と
言われましたが、僕は即座に
「NO」と言いました。
彼女は何もかも包み隠さず話して
くれました。
自分にプレゼントしてあげよう。
大好きな人にプレゼントして
あげるように、
自分にもプレゼントをあげよう。
だれかをほめてあげるように、
自分にも「がんばったね」と
ほめてあげよう。
1日にひとつ好きなことをしよう。
だって、あんなに、がんばった
んだから。
人の評価って、誰だって
怖いもの。
昨日まで人気者だったの
に、突然いじめられたり、
たったひと言上司に反抗
しただけで、会社にいづら
くなったり・・・・。
いつのまにか、他人の顔
色をうかがってしまう。
そして、そんな自分を嫌
になってしまう。
でも、そう思うのは、あなた
が心のきれいな人間だから。
他人の評価に惑わされず
に生きていきたいと強く願う
からこそ、
今の自分を否定したくなる
のです。
私たちが心で望む自分で
あること・・・・・
そのことを忘れなければ、
いつか本当に「自分の大好
きな自分」になれるはず。