「では今から、誓いの儀式を
始めます」
正人は笑いを含んだ声でそう
言って、わたしをベットの上に
押し倒した。
わたしたちはシーツとシーツの
あいだで、二匹の魚になって、
泳ぎまわった。
わたしたちは若かった。
若くて、自由で、怖いものは
何もなく、無鉄砲で、危なっかしい、
今にも崩れおちそうな積み木の
橋だった。

テーブルに届けられた
ミルクティを飲みながら、
思い出していた。
水に何を書きのこすことが
できるだろうか
たぶん何を書いても
すぐ消えてしまうことだろう
だが
私は水に愛を書く
たとえ
水に書いた詩が消えてしまっても
海に来るたびに
愛を思い出させるように