佐久市 ヤナギダ 趣味の店

長野県佐久市野沢93番地
ヤナギダ☎0267-62-0220

―刹那―Ⅵ

2023-08-14 12:58:16 | 日記
広いガラスの自動ドアの向こ
うに、ベンチがいくつか並んで
いた。まるで恋人たちに必要な
孤独を守ろうとするかのように、
ベンチとベンチの間隔は遠く、
離れていた。

ひとつだけ、空いているベンチ
があった。
見えない手に導かれるようにし
て、わたしたちはそこに腰かけた。

忘れな草の水色を滲ませた、夕暮れ
前の空。

ときどき、急に何かを思い出したよ
うに、吹いてくる突風。
ごーっと唸るジェットエンジンの音。
日常から切り離された、どこかよそ
よそしい、緊張を孕んだ空気に包ま
れて、わたしたちはただ、寄り添っ
ていた。

あのひともわたしも、言葉を失って
いた。五分前に会えた。でも五分後
に迫っている。別れを前にして。
目の前で、まるで意を決したように、
一機の旅客機が飛び立とうとしてい
た。

「あれが俺の乗る飛行機だったり
して」
と、あのひとは言って、わたしは
顔を覗き込んだ。泣き顔のように
なってしまっている、わたしの笑
顔を。

「俺けっこうドジだから、そういう
こと、よくあるんだよね」
わたしは黙って、あのひとのそ
ばに座っていた。喉がからから
に渇いていた。けれど、それは
何かを飲んでも、決して癒えな
い渇きだと知っていた。

「よく来てくれたね」
そう言ったあのひと声は、心なし
か、掠れていた。

「会いたいから」
「さっきは、驚かなかったなんて
言ったけど、ほんとはすっごく驚
いてた。心臓が止まりそうなくら
い」
「驚かせてごめんなさい。でもどう
しても会いたくなって」

「俺も。もう、どれだけ会いたいか
ったかというと」
言葉はそこで途切れて、長い両腕を
持てあますようにしながら、ぎこち
なく、それでいて、まるで電流のよ
うに容赦なく、あのひとは、わたし
の躰を抱きしめてくれた。

男の腕だと思った。欲望を感じた。
わたしの欲望だ。心臓が、早鐘を
打ち鳴らしていた。あのひとに、
聞こえてしまうのではないかと
思えるほど、好き、好き、好きと。
恥ずかしいくらいに。

でもその時、わたしの耳はちょうど
あのひとの心臓の真上にあった。
だから、聞こえた。あのひとの
胸の鼓動。それはわたしの鼓動
よりも何倍も烈しく、波打って
いた。

それから、キスがやってくる。

記憶の中ではすでに一万回、
いいえそれ以上、幾度も幾度も
重ねてきた―――たった一度
だけの―――わたしたちのキス。
繰り返し、繰り返し、すり切れる
まで再生しても、決して古びる
ことのない記憶。

思い出すたびに、胸の奥から湧
き出してくる情熱の息吹。それを
感じるたびに、わたしは無条件で、
愛を信じることができる。
わたしの唇に、あのひとの温かな
唇が触れた、その刹那。

それは、わたしの中でもうひとり
のわたしが生まれ、わたしのもう
ひとつの人生が始まった瞬間だった。

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昭和のほうそく

2023-08-14 12:56:17 | 日記
◆学生の思い出
「今日は両親がいないから」と
誘った日々がなつかしい。

◆いつかの日にそなえて、
毎晩布団を丸めて腰を
動かす練習をしていると、
なかなかXデーはやって
こない。

◆第二法則
いざ彼女がやってきても、
前日に用意したムードを出す
ための作成した音楽CDは、
結局かけるチャンスがないまま
彼女は帰ってしまう。

◆チャンスの仕組み
かわいくない下着をつけている
ときほど、セックスのチャンスは
訪れやすい。


◆ブラッドの証明
今どき「血が出たから処女」と
喜ぶのは浅はかである。
あとであれは生理の出血だったと
気づき、感動したことがむなしくなる

◆盛り上がりの法則
盛り上がったときに限って、
コンドームがない。

◆コウノトリの謎
外に出せば平気だろうと実行に
移すと、タイミングをはずして
しまう。

◆コウノトリの気まぐれ
彼女が妊娠する確率は、本命の
彼女より遊びの女のほうが確率に
高い。

◆煙の法則
セックスの後、彼女がタバコの煙を
鼻から出したとき、男の後悔が
始まる。


◆証拠隠滅の恩恵
「色の落ちない口紅」の品質アップに
喜んでいるのは、女より男である。

◆合鍵の法則
急に会いたくなって、予告ナシに夜中に
訪ねると、修羅場をみることになる。

◆一人暮らしの法則
彼の台所の調味料にみりんがあったら、
自分以外に最低ひとりは料理を作りに
くる女がいると思え。

◆警告
彼女が電話のリダイヤルのボタンを
押したとき、別な女にかかるとケンカに
なる。








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「たかだか百歩」

2023-08-14 12:52:54 | 日記

「百歩譲って・・・」という言葉が
ありますが、たかだか百歩なら、い
つでも譲ります。

地球の果てまで歩くのではあるまい
し、百歩はすぐそこまでの距離です。

もちろん僕にも、なかなか譲れない
頃がありました。

人は負けん気が強い生き物なので、
ちょっとでも違う考えに触れたと
たん、否定したり、言い負かそう
としたりします。

殴り合いにはならないけれど、言
葉の戦いを繰り広げてしまうので
す。

僕は戦わないルールを設けました。
その結果、百歩くらい楽に譲れる
ようになったのですから、あなが
ち悪いことではないでしょう。

戦わないために大切なのは、人の
話しをよく聞くこと。

相手に先にしゃべらせ、「もうこ
れ以上、話すことがありません」
と言われてもさらにしゃべらせ、
その間はずっと真剣に聞くのです。

そのうち「ふうん、自分の意見と
は違うけれど、それもありかなあ
・・・」などと思えたりします。

たとえそう思えなくても、相手が
どういう根拠でその意見を述べて
いるかが、立体的に理解できます。

戦わないルールをつくって以来、
人と意見が対立したときでも、
「それは違うでしょう」と否定
することはなくなりました。

もちろん百歩は即座に譲れます。

だからといって、自分を殺したり、
考えを曲げているわけではありま
せん。

相手の意見をまず聞き、「お先に
どうぞ」と譲ってから、自分に
合ったペースで、のんびり自分
の道を歩くこともできるのです。

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恋の予感

2023-08-14 11:41:00 | 日記
”人は愛する人を傷つける

 人は傷つける人を愛する”





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『あなたに会いたい』 

2023-08-14 11:39:13 | 日記
ーコラムー
忘れな草が咲いていた
道に線を引いて
その上を歩いた
どこまでも
道が途切れるまで

見上げると青い空だった

君がいた頃は
なにもわからなかった
本当に
何にも

どんなに君を好きだったかも
人との関係も
大切なことも

失ってはじめて気づいいた
けど
今だってたぶん
まだまだ霧の中だ

遠く過ぎないとわからない
なんて
どうすればいいんだ

ひとつだけわかったこと
胸に深く刻んだことは
大事にすること
とにかく
大事にすること
好きなものはどんな時でも
ただ馬鹿みたいに大事にすること


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「優しい人」―月曜日を待ち焦がれてー

2023-08-14 11:36:27 | 日記
一週間のうち三日間、わたしたち
はその部屋で生活を共にした。
当時わたしが忌み嫌っていた言葉
でたとえるなら、まるで「夫婦」
のように。

わたしは引っ越してしばらくして
から学習塾の事務員を辞め、自宅
でできる添削の仕事を始めた。
週に二回だけ一、二時間程度、添
削し終えた答案用紙を持参し、仕
事の評定を受け、次の仕事をもら
うため会社に出向いていけば良か
った。

月曜日と火曜日。優しい人はわたし
の部屋から出かけていき、わたしの
部屋に帰ってきた。50ccのバイ
クで、駅からまっすぐに。灰色の川
を渡って。

水曜日の朝、優しい人はわたしの
の部屋を出ていくと、その夜は
戻ってこなかった。
優しい人はわたしの知らない場所
で一晩泊まって、木曜日の朝に
再びわたしの部屋に戻ってきた。

木曜と金曜日。優しい人はわたし
の部屋から仕事に出かけていき、
わたしの部屋に帰ってきた。け
れども金曜の夜、わたしの部屋で
二時間足らずの時間を過ごしたあ
と、知らない場所に去っていった。

そして優しい人は二日間、わたし
の部屋に戻ってこなかった。
わたしはいつも、いつも月曜日を
待ち焦がれていた。

火曜の朝から夕方までは、格別に
楽しった。優しい人は夕方から
始まる塾の授業に合わせて、わた
しの部屋を出ていけば良かった。
わたしたちは番(つがい)の小鳥
たちのように、躰を寄せ合って
過ごした。

優しい人がわたしのそばにいると
きには、何もかもがうまくいく、
という希望を抱くことができた。

すぐに消えてしまう、儚い希望
だったけれど、それゆえに、それ
は美しい希望だった。

わたしはこれからも、優しい人
のこれからも、何もかもがきっと、
うまくいく。わたしはいつか、
晴れて、一緒になれる。必ずそう
いう日がくる。そう思うことが
できた、月曜日。


子どもがふたりとも大きくなっ
たら。
成長して、すべての事情をきち
んと理解できる年齢になったら・
ちゃんと説明して理解してもらう
つもりでいるから。
そのとき、下の子はまだ一歳半か
ら二歳か、そこらだった。だとす
ればわたしが待つのは、十数年間
ということになる。
「大丈夫よ。ずっと待ってるから」
と、わたしは言った。「必ず待てる。
約束する」。

待てると信じていた日々は、確かに
あった。そう信じる以外に、わたし
のできることはなかった日々でも
あった。

わたしたちはきっと、いつか、
一緒になれる。
こんなに好きで、
こんなに気が合って、
こんなに求め合っているのだし、
こんなに・・・・




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「いいことだけを信じよう」

2023-08-14 11:35:24 | 日記
星占いを気にしない女の
子なんて多分いないと思う。

「今週は人にダマされるか
も」というマイナスの言葉も
あれば、

「あるステキな出会いがあり、
恋に発展するかも」と、うれし
い見通しもある。

その人の人生というのは、大
体の場合、その人の望んだよ
うになる。

「出会い」を信じるだけでなく
『絶対に出逢えるし、出会い
たい』という強い願望に変える
のとでは、結果が違ってくる。

積極的に強い願望を抱いて
一週間過ごすほうが、現実に
なる確率が強いはずだ。

むずかしい言葉でいうと、潜在
意識にインプットされた暗示の
エネルギーというのは、

プラス、マイナス区別なく通して
しまう。

ついでに、潜在意識の恐ろしい
力があり、たとえばあなたが誰
かを憎んでいて、その人が失敗

すればいいとを願うと、それを願
ったあなたが不幸になってしまう。

なぜかというと潜在意識は一人
称の人格しか適用しないのだ。

つまりあなた自身だ。
覚えておいて欲しい。


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