せつなさというのは不思議
な気持ちだと思う。
淋しさや悲しさのよにわか
りやすくはないし、言葉で
説明を求められてもはっき
り答えられないから困って
しまう。
それに人によって受けとめ
方もさまざまで、ある人は
淋しさによく似た気持ちか
もしれないし、
ある人にとっては悲しみの
ひとつの形になっているか
もしれない。
私は・・・・と言うと、こ
れが曖昧。
たとえば触れられそうで触
れられない、その指先と何
ものかの距離をせつなさと
呼ぶのかもしれない。
抱きしめているのに、どう
しても手に入らないもの。
ひとつになりたいのに、決
して体も心もひとつになれ
ないこと。
取り戻せない時間。なのに
昨日のことのように輝いて
いる出来事。そんなどうに
もならない何ものかとの隙
間が、とても愛しくて、とて
も素敵で、とてもとてもせつ
ない。
時の流れという縦糸といろん
な出来事や気持ちの横糸が描く
つづれ織り
せつさなは言葉では表せない。
ただただ、心にしんと感じる
もの。
人がめぐり逢って結ばれる
のは、とても不思議。
今、私が見ている星の数以上
の人間がこの世界で生きている。
その中のたったひとりに出逢って、
愛し合って結ばれる。
なんという奇跡。
それを考えただけで、私は
また衝撃を覚えた。
小さな嘘をひとつ、つく。
嘘が乾かないうちに、もう一度、
湿った唇を押し当てる。
失いたくない、大切な人を
守るために、必要な嘘というもの
があるのだ。
だから、嘘をついた自分を、責め
たりしない。
わたしは、昔みたいにまっすぐ
じゃない。枝をたまわせておけば、
折れないでいられることを学んだ。
愛し合うということを、とき
どき不思議に思う。
おたがいに求め合っていても、
その強さは微妙に違う。
きっとその差が淋しさだった
り、せつなさだったりするの
だろう。
いつのまにか
吾を呼びすてる男いて
フルーツパフェを食べさせた
がる