昨日の夕方、たくさん買い物をして、両手にいっぱいの荷物を持って家に向かっているときだった。
年配の女性が、マンションの塀に腰を下ろして座っていた。
その女性は、うつむいて足元を見ている。
どう見ても80歳は超えていそうだし、元気がない。
ひょっとしたら、フラッと歩いてきてしまった人かも知れない。
「これだけ荷物を持っていると、何にも手を貸せそうにないなぁ」
と思いながらも、そのまま通り過ぎることもできず、
「大丈夫ですか?御加減でも悪いですか?」
と声をかけてみた。
すると、その女性は、ハッと顔を顔を上げると、
「奥さん、私に話しかけてるの?」
と驚いた顔で言うので、
「具合が悪いんじゃなければいいのだけど」
みたいなことを聞いてみた。
するとその女性、急に満面の笑みになり、弾丸トークで自分がここにいる理由を話し始めた。
かいつまむと、近所の整形外科まで来たけど、帰り道、疲れたので座って休んでいたそうだ。
なぜかいつまむかといえば、その女性、自分の年齢や最近した病気、
整形外科に行くことになったいきさつ、家の様子やいつも歩く道と休む場所などなど、
私に口を挟む暇を与えず、ずーっと話していたから。
女性が少し、息を継いだスキに、
「大丈夫ならよかったです。」
と言って去ろうとしたら、
「奥さん、私のこと、心配して声をかけてくださったのね。
私、嬉しくて涙が出るわ・・・・。」
と目頭を押さえたけど、実際は、泣いてませんでした。(笑)
「松田聖子か!」
と突っ込みたかったけど、うれしかったのは、きっと本当なんだろうからいいや。
私も楽しかったしね。
お別れを言って、家に戻って窓からその女性の座っていたところを見たら、もういなくなっていた。
休憩のお付き合いになったのならよかった。
でも、次は重い荷物を持っていないときに会いたいものだ。
↑昨日、91歳の彼女が座っていた塀。