牧場の日記~競走馬生産者の日々~

競走馬の生産牧場の現状と考察

フレグモーネその後

2019年11月27日 | 馬の病気
ひどいフレグモーネの繁殖牝馬は受胎していたのだが、お腹の子は死んでしまった。

フレグモーネの治療は3週間程続き、ひどい痛みは最初の10日くらいでその後は腫れのみであった。

反対の脚の蹄葉炎も心配だったけれどそれは大丈夫だった。

フレグモーネの治療が終わり、しばらくした後、受胎を確認してもらったら、もう子馬はいなくなっていた。

子宮の中に残骸みたいなものは写ると言っていた。

馬は痛みがあると流産するホルモンが出てしまう。

残念ながら今回は止めることができなかった。

今年は治らないフレグモーネが多いと獣医さんが言っていた。

うちの馬は痛みも引き、腫れも殆ど気にならない程度まで治った。

繁殖牝馬の顔面の皮下気腫

2019年11月27日 | 馬の病気
繁殖牝馬の顔が腫れた。19歳の高齢馬だ。
正確にはほっぺが腫れた。
腫れを触るとプチプチと気泡が潰れる感じがする。

ちょっと楽しい。

熱もないし食欲もあるので様子を見ていたら、鼻の方にも広がり、
目の周りにも広がってしまった。

獣医さんに見てもらったら、牛の体にこういう症状が出ることがあるけど、
馬では見たことが無い、とのこと。

ちなみに牛の場合は法定伝染病で、まずい病気だそうだ。

馬ではそうでは無いし、注射が良く効くとのこと。

治療して4日くらいでほとんどなくなった。

顔を触るとプチプチとなんとも言えない感覚だった。

皮膚の中の気泡が抜けるのだろう。

馬も気持ちいいのかじっとしている。

乳腺炎

2019年08月08日 | 馬の病気

おとつい離乳した馬が夕方放牧地で寝ていた。

前足を前に投げ出して、おなかのあたりを気にする。

疝痛か?と、様子を見に行くと、おもむろに起きて、よろよろと歩きだす。

その歩様はぎこちなく、右後ろ足を引きずるような曲げたくないような感じ。

そして、ぶるぶると震えていた。

誰かに鋭く蹴られたのか?どこかに激しくぶつけたのか?と、一瞬思ったけれど、どこにも傷はないし、それはないかなと。

厩舎へ連れて行き、熱を測ると9度2分。

おっぱいをみたら、右側だけ張っていた。

搾ると黄色っぽい乳が出てきた。乳房も硬くなっていた。

馬も楽になるのかおとなしく絞らせていた。

獣医さんはすぐに乳腺炎で間違いないね、と、注射を打って行った。

この馬はおっぱいがたくさん出る馬だった。

その割には乳首が小さく、乳房の大きな馬だったので、離乳でおっぱいが溜まって炎症が起こってしまったのだろう。

うちでは離乳後に乳腺炎になったのは初めてじゃないかな。

産む前に乳腺炎になったやつはいた。

その子は片方のおっぱいが委縮して出なくなってしまった。

今回はそうならなければいいけど。

明日も張っているようだったら、搾っておこうと思う。


放牧と蹄葉炎

2018年06月23日 | 馬の病気
蹄葉炎の原因には次の様なものがある。

・濃厚飼料の多給
・放牧地でのイネ科牧草の大量摂取
・インスリン抵抗性動物における高インスリン血症
・全身性炎症性反応症候群SIRS
・患足の免重時に発生する対側足の蹄への過荷重
など

オーストラリアでは80%が放牧地でのイネ科牧草の大量摂取であると予測されている。
(馬の科学53volより)

これは大変な問題なのでいろいろ調べてみた。

まず放牧地でのイネ科牧草の大量摂取が原因で蹄葉炎になるのはこういうことだ。

イネ科牧草に含まれるフルクタンという物質が原因になる。
馬はフルクタンを大量摂取すると後腸内微生物により乳酸が大量に生成され後腸内pHが低下する。後腸内が酸性化すると後腸内微生物が偏って増殖し、グラム陰性菌が死滅することによりエンドトキシンが放出されて、代謝障害につながり蹄葉炎がおこってくる。

ところどころ、わからない単語も含まれているが、そういうことだそうだ。

フルクタンとは牧草の貯蔵物質で糖である。晩春がもっともたくさん含んでいるそうだ。

なので、5月に放牧地で青草を食べ過ぎることはとても危険である。

青草出てきたら濃厚飼料はぐっと減らすべきだろう。
放牧時間も考える必要がある。

(参照「日高管内サラブレッド種生産農家における放牧草中水溶性炭水化物含量及び馬の糞性状の季節変化」帯広畜産大学)


駆虫と疝痛

2011年02月01日 | 馬の病気
駆虫をした次の日、繁殖牝馬が疝痛になった。

最初はえさを食べず、フレーメンをしていただけだったのだが、そのうち、鎮痛な面持ちになり、とうとう横になったり、ごろを打ち始めたりした。

獣医さんを呼んで、痛み止めを打って落ち着いたのだが、それ以来食欲がなくなってしまった。

次の日の朝、熱が出て、馬房で様子を見たが、食欲はあまり戻らず、その日は、ほとんど何も食べなかった。

2日目の朝になって熱も下がり、なげ草をぽそぽそ食べるようになった。

3日目の夕方からだんだん食べるようになって、ほっと一息といったところだ。


一体これはなんだったのか。原因はわからない。

駆虫のせいなのか、風邪で熱が出たせいなのか、疝痛がおきたせいなのか。

いまいちつかみどころがなかった。

最初は流産かと思ってひやひやしたが、疝痛しているとき、お腹の中でこっこがガンガン動いていて、元気そのものだった。

予定日は3月中旬。


このまま何事もなければよいが。

ザセキと砂のぼり

2010年07月05日 | 馬の病気
ザセキか砂のぼりか。

一才が左前肢を痛がっている。

歩様を見るとつめが原因のようだ。

蹄の裏を見る。

何箇所かつめに傷がある。

削蹄師さんに見てもらうと、傷が奥まで上っているところもあるが、掘っても膿みは出てこない、という。

ザセキか砂のぼりだろう、と。

ザセキであれば何日か休ませれば痛みも引いてくるが、砂のぼりの場合、膿が出ないことにはなかなか痛みは引いてこない。

どちらかという判断は今のところ出来ない。休ませて様子を見ることにした。


馬が肢を痛がっている場合、前脚の爪先の場合、それほどひどいハコウは示さない。

一番いたいのが後足の爪先だ。ほとんど歩けないような痛がり方をする。

砂のぼりの場合、つめの蹄冠部の柔らかいところから膿がでることもある。

こともある、というより出る方が多い。

こうなるとつめに傷が出来、厄介だ。

夜間放牧すると、つめに負担がかかる。

放牧地をしっかり管理することが重要だ。

血清輸血

2010年04月26日 | 馬の病気
IgGが低かったので、子馬に親馬の血清を輸血した。

子馬の母馬から2リットル採血し、その血液を沈殿させて、血球を沈ませ、その上澄みを子馬に輸血する。

親の免疫グロブリンを直接子馬の血液に入れるということだ。

輸血を始めてすぐ、子馬は軽く震え始めた。

ここで、呼吸が荒くなったりした場合は、拒絶反応が起きてしまっているので中止するらしい。

今回はさほどひどくなることもなく、時々下痢便がぴゅうーっと出るくらいで、1ℓくらいの血清をすべて子馬の体内に入れることが出来た。獣医さんが来てから正味1時間。

今夜は寒かったので、心底冷えた。


輸血というのは少し怖さを感じる。

入れてしまったら出すことは出来ないし、どんな反応が起こってくるかは、入れてみなければわからない。

今回は何事もなく終った。

これで2ヶ月齢まで、健康にすごせられればいい。

マッサージ

2009年12月16日 | 馬の病気
馬はスポーツマンであるから、ストレッチは欠かせないと思う。

しかし、馬にとってどのようにストレッチを行うかは私は知らない。

新聞や、雑誌で馬のマッサージ師がいると聞いたことがある。

一度でいいから治療しているところを見てみたいと思う。

テリトンタッチという本に、馬のマッサージや、トレーニングを書いたものを読んだことがあるが、
とても興味深く、試してみたいな、と思いつつも、馬を前にいまいちどのような感じかわかりづらい。

外国には馬の学校があるらしい。

もし、自分が自由であればいって勉強してみたい。

行動しなければ始まらないのですが・・。

飛節軟腫

2009年09月09日 | 馬の病気
飛節軟腫の馬が移動になった。

今ではほとんどわからないくらいまで回復した。

移動先の育成場でこのことを説明すると、

「外向の馬は時々腫れたりする事もある。削蹄できちんと治してやったら引っ込むこともあるよ」

とのこと。


確かにこの馬は後足が外向だ。

今では引っ込んでいるので、前回の削蹄が良かったのかもしれない。


下痢の治療

2009年07月12日 | 馬の病気
当才が下痢をした。それとともに発熱。

獣医の診断は腸炎。腸炎による異常発酵で発熱が起きた。

治療としては腸を動かす薬と抗生物質の注射。


以前当才が下痢したら、ゲンタリンと整腸剤の経口投与が常だった。

ロタウイルスの予防接種で当才の下痢に2,3年お目にかかっていない間に、獣医さんの治療法方もだいぶ変わってきたのだろうか。

1日目は注射だったが、2日目からは腸を動かす薬は粉薬になった。

以前疝痛で苦労したせいか、腸を動かす薬はいやだ。

薬で腸を動かしてしまうと、ねじれてしまうような気がするからだ。

特に腸の弱い当才だと、もっとねじれてしまうような気がする。

3日目の治療になったら、乳を分解吸収しやすくする薬と、胃腸薬も追加された。

明日になって、もし下痢が治まらないなら下痢止めも出してもいいかも・・獣医さんが言う。


とすれば、腸を動かす薬に、整腸剤、胃腸薬、消化剤、下痢止めと5種類もいっぺんに飲ますことになる。

本当にこの治療でいいの?


ロタウイルスは結構子馬を弱らせる。軽く見てはいけないとは思う。

だが、何でもやればいいってわけではないんじゃないだろうか。