牧場の日記~競走馬生産者の日々~

競走馬の生産牧場の現状と考察

黒穂

2008年05月30日 | 牧場の生活
放牧地もだんだん草が伸びてきた。

馬は好きな草だけ食べて、嫌いな草はどんどん伸びる。

好きな草はイネ科とかクローバーとか。

イネ科の中でも黒穂は食べない。だから黒穂はどんどん伸びる。
しかもこの黒穂すごく強くてどんどん増える。しかも穂が実るのが早くて、どんな牧草よりはやく種をつける。

伸びた黒穂を掃除刈りすると、一見きれいに見えるが、馬は又食べないので又伸びる。

刈ったはいいけれど、刈った草はどうするか。

あまりに伸びすぎた場合乾燥させて寝藁にすることもある。しかし、これはかなりの手間が要るので、ある程度乾いたら集めて堆肥場へいれたり、することもある。

しかし、そのまま、投げておくこともある。これはなるべくしたくないけれど、量がすごいので、堆肥にするにしてもかなりの場所が必要になる。

乾燥されるには日数がかかるし。

なかなか、いい放牧地の管理って出来ません。

舎飼い5日目

2008年05月29日 | 
脚の矯正手術の馬の舎飼いが、今日で5日目を迎えた。この馬は案外おとなしく、親馬も思ったよりおとなしくしている。

しかし、掃除をするために違う馬房へ移すととたんに子馬が立ち上がったり、走り回ったりする。

きっとじっと耐えているんでしょう。

今週の日曜になればパドックへ放すことができる。

2週間経てば、もしかしたらネジも取れるかもしれない。

今回はあまり曲がりが少ないから、すぐに取れるかもしれないといってたし。

最近ロタウイルスで舎飼いの馬が多かったのだけれど、今日ようやくみんな回復して、舎飼いの馬は一頭になった。

すごく仕事が楽になった。半分くらいに感じる。

馬が狭いところに閉じ込められていると、馬もストレスが溜まるけど、管理している私もかわいそうにと思うことがストレスになっているようだ。

なるべく馬にいい環境を、そう思っているけれど、舎飼いのときはどうしようもない。

仕方ないことはあきらめよう。今はじっと我慢のとき。

受胎

2008年05月26日 | 繁殖学
今日18日目の受胎確認のため診療所へ行った。

2月生まれでてこずっていた馬がとまっていた。2度目の種付けで、あまり自信がなかったけれど、とまっていた。

前回の発情の様子の記録を見返すと、当て馬は無し、2.6の卵で、外口は前回の種付けよりマシ。

きちんと排卵して、外口さえとければ望みはありそう、といった感じだった。

同じくして、てこずっていた別の馬。それは上がり馬で当て馬はべったり見せるけど、外口がとけない。卵も微妙な感じ。

こっちは今日当て馬を見せ始めたので、とまっていないだろう。

上がりがてこずるととまらない。きっとてこずるのは妊娠の状態になっていないからだろう。結構ふとってきたし、体も充実してきているので、まともな発情がくればとまるかもしれない。

まだ、5月だし、あと一回くらいはチャンスあるか。

今年は9頭種付けして今のところ6頭受胎。1頭上がりは先のとおり。あと2頭は18日待ち。

もうすぐ6月。牧草が始まります。

脚勢矯正手術

2008年05月25日 | 
当才馬の脚勢の矯正手術をした。

最初歩様を見て、獣医と相談。

レントゲンを見た限りでは手術の対象になっているが、歩様を見る限り、しなくてもいいかもしれないという。

私としては、しなくてもいいかもしれない手術はしたくない。
旦那は後で後悔したくないという。

実際問題今までも、もっと早いうちに手術に踏み切ればよかったかも・・、という場面に何度も出くわしている。

言う人は何気に言っているかもしれないが、生産者としては、ちょっとした脚の曲がりのせいで、1000万の価値がある馬が、100万になってしまうかもしれない、という、おおきな違いである。

いまはいじらなくてもいいかも、で、済まされないシビアな現状がある。

結局手術に踏み切った。結果はこれからの馬の成長しだい。
良くなるか悪くなるかは神のみぞ知る。

手術自体は1時間もかからず、覚醒に30分ほどかかったくらいで、術後も元気。

これからネジが外れるまでは1週間の舎飼いののち小さなパドックでの生活が親子に待っている。

私たちはこたこたに汚れた馬房掃除と、青草を刈ってやる作業が追加される。

以前同じような手術をした馬は新馬勝ちした。

前途は明るい。

手術の影響

2008年05月24日 | 
当才の姿勢調整の手術をすることにした。

手術のことは手術後に語るとして、手術においてのあれこれを・・。

馬は脚がまっすぐでないとなかなか売り物にならない。当才の場合ひざから外側に曲がるX脚が多い。あんまりひどいと、手術してまっすぐに整形する。

馬の成長過程において曲がっていたとしても自然に治ることもある。
それほど程度がひどくなければ削蹄などで治していくことも可能。

しかし手術で治るのは産まれて早いほうが効果がある。しかも、大きくなってからだと手遅れの場合もある。ここが悩みどころで、必要のない手術もすることになるかもしれない。

手術をするときまず三石のセンターへ連れて行く。そして麻酔をかけた後、親は隔離馬房へ閉じ込められる。

このときの親の精神状態といったら、かわいそうで見ていられない。おなかに次の子が宿っていたとしても、流れてしまうんじゃないだろうかと思えるほど。

それに手術が無事終わったとしても、術後は放牧できない。
2週間は馬房で舎飼い。

このときも親馬に負担を掛ける。

それに運動できないストレス。当才もストレスで親に当たったりする。

成長期に2週間の運動できない期間はかなりのロスと思う。

このようにいろいろなデメリットを抱えながら、足をまっすぐするために手術をする。

脚がまっすぐじゃないと、売れないから。

まっすぐじゃないと走らないらしいけど、ほんとかどうかはわからない。

ベガだってかなりの脚曲がりだって言ってたし。
なんて、経験の少ない私は手術に対して懐疑的。

出来れば、手術しないでもよさそうですよと言ってほしかった。


ロタウイルス

2008年05月23日 | 子馬の育成
ロタウイルスが出た。

最近ロタウイルスワクチンを出産前に打っているおかげか近年出ていなかったのだけれど、何年かぶりにひどい下痢。

生後2ヶ月ごろがかかりやすい。今回かかった馬も生後二ヶ月。しかも他の馬にもうつってしまった。

あの嵐の日に厩舎の戸を閉めざるを得なかったためか隣の馬房の馬にうつった。

ロタっていうと、昔はかなりひどくて、下痢が1週間以上続き、衰弱もひどく、子馬はよれよれになった。

しかしワクチンのおかげで、重症になることもなく、今回は4日でほぼ全快。
うつった馬も、1日目からおっぱいを飲めるようになった。

それにしても、下痢になると厩舎が臭い。独特のにおいがする。
だから、朝あのにおいがすると、あーやった・・・。っとおもう。

それに子馬のお尻が汚くなる。ひどいときは毛がむけちゃったりする。

お尻を洗ってやると、最初は抵抗する。なので、汚い尻尾をぶんぶん振って、抑えている人間は下痢まみれになる。

下痢はいやです。何で下痢になるんでしょう。

不思議なことに離乳をした子馬はロタになりません。

ロタってもしかして、母親から感染するんじゃないでしょうか。
母親で培養されたロタウイルスが子馬に感染する・・・とか。

嵐 その後

2008年05月21日 | 牧場の生活
嵐は去った。風速37メートルだとか・・。

おかげで昨日は一日中放牧できませんでした。

なので、昼夜放牧の一歳馬は久しぶりの夜の厩舎。
朝放牧したときさぞかし暴れるだろうと思いきや、疲れ果てていて、外に出たくない様子。

昼に収牧したら、そそくさと馬房に入り、ほっとしている様子。

馬もあの台風のような風でよく眠れなかったようだ。

子付たちも朝、放したときそんなにイラつく様子もなく早く青草を食べたいといった感じだった。子馬たちは大喜びではしゃぎ回っていた。

下痢して治療中の子馬は症状が悪化して、ぐったりしていたが、風もやみ外の空気を吸ったら少し具合も良くなったよう。

そろそろ種付けになりそうだった馬は、卵巣が萎縮して、排卵中だった。
これは放牧できなかったことと、関係があるかどうかはわからないけれど。

私はといえば、ぐちゃぐちゃになった馬房掃除でへとへとになり、旦那は種付けで、全く忙しい日でした。


嵐の日

2008年05月20日 | 牧場の生活
今日は北海道は大荒れ。日中、風と雨。台風のように荒れている。

昼夜放牧の1歳は9時に収牧。子付は厩舎でお休みです。

このまま嵐が去らないようだと、子付は放牧できないかも。

放牧できないとさまざまな問題がある。

まず、馬房の掃除が出来ない。
   馬が草を食えない。
   馬が運動できない。

なかでも、運動が出来ないといろいろと困る。

まず、馬は運動できないと力が余っていらいらする。

特に産まれて2ヶ月もたつとねっこは余して余して馬房のなかで飛び跳ねたり、時には親に八つ当たりして蹴ったり飛びついたりする。

嵐の中でも運動のために放牧すべきか。

普段は雨がすこしでも収まっているときに放牧して鬱憤を晴らさせたりする。

これもまたいろいろあって、いらいらした馬たちは放牧したとたんに走り出し、滑って転んだり、人を引きずったりする。

なので、家では多少の雨では放牧しているようにしている。

馬のストレスがたまらないように人も怪我しないように。

あと、運動しないと消化器の働きも良くなくなるので、腹痛したり、またホルモンの状態にも影響する(ような気がする)ので、種付けにも影響が出てくる。

しかし、今日の雨はすごいです。

昼夜放牧と天気

2008年05月19日 | 
今日は久しぶりの雨が降りそう夜。

毎年悩むことなのだけれど、このように雨の降る夜、馬を収牧するかどうか。

明日の最低気温は11度。最近の寒さから見ればかなり暖かい気温。

降水量は・・・、結構降るらしい。ピークはいつごろか。


以前大雨が降った夜、雷もなって馬が心配になり、夜の9時ごろ馬をしまいにいった。

外は真っ暗、馬の姿も見えない。おーい、と声を掛けると、遠くのほうでなにやら足音が。
しかし、車のヘッドライトに驚き、なかなかつかませない。それに、くらいので人間のほうも馬がどう動いているのかわからない。

何とかして厩舎にしまったものの、帰って危ない気がした。

馬も雨が降っていても、そんなに気にしていなかったし、わざわざ驚かせに行ったようなものだった。

雨が降っても大丈夫・・。かといったらそうともまだいえない。

雨の日に放牧したままにしていて、次の日に頭をだらんと下げて、参っている様子を見ると、やっぱりまずかったかなあ、と思ったりもする。

最近ではかなり降ることが予想されるときは、昼放牧に変えて、突然の雨の場合はあきらめることにしている。


今夜、あまり降らないといいなあ。

降るなら10時からにしてね。

牡と牝のちがい

2008年05月18日 | 子馬の育成
昼夜放牧において、牡と牝とで違いがある。

牡は昼夜放牧をするとかなり堪える。

ただでさえ放牧時間が長いことによる運動時間の増加に加え、牡同士は、おたがいでけんかしたり、追いかけっこしたり、の時間も増えるので、へとへとになってしまう。

以前牡4頭で昼夜放牧をしたとき、夕方になると列になってひたすら速足をしていたことがあった。

牝は群れて生活する性質があるようで、昼夜放牧をするとみんなで固まって動き、楽しそうである。

それに牝の群れの放牧地には獣道が出来る。常に一緒に動いているので、道が出来てしまうらしい。

大手の牧場のように10頭以上で牡馬を放牧していて、問題はないのでしょうか。

4頭くらいでも、怪我とかオーバーワークとかある感じなのに、もっと多頭数になれば致命的な怪我とか増えてくるような気がする。

まだ昼夜放牧を始めて3年目なのでまだまだわからないことがおおい。