牧場の日記~競走馬生産者の日々~

競走馬の生産牧場の現状と考察

今年の反省

2008年12月30日 | 牧場の生活
今年を振り返って。

今年は年明けに流産し、年末にも流産をした。

両方とも原因不明の流産だけれど、思い当たることもある。

ストレス。

さけようのないストレス。

馬を飼っていると、どうしようもないこともある。

怪我をすれば、舎飼いは避けられないし、外国から輸入すれば、検疫は避けられない。


そのストレスをいかに小さいものにするか、が、生産者の腕の見せどころなのだが。

牧草はあまりいいものが取れなかった。

これも天気勝負で、今年いいものをとるのはしなんも技であったと思う。




ツルツル路面

2008年12月29日 | 牧場の生活
道路がつるつるで困る。

うちは放牧地へ行くまで200mほどの坂道を下っていかないと、放牧地に着かないので、このつるつる路面は大変だ。

車の通る轍の部分は完全にスケートリンク状態。

そこをよけて真ん中を歩くか、はじっこを歩くしかない。

馬が暴れたりしたら大変だ。

馬も怖いのかそろそろと歩く。

頭の悪い馬は滑って暴れてまたすべる。

ここ数年雪が少なくて毎年のようにこういう状態になる。


放牧地もでこぼこのまま凍ってしまって、大変だ。

足を痛めてしまうので、早く雪が降って欲しい。

流産の原因

2008年12月24日 | 繁殖学
今回の流産の原因を考えた。

この馬は上がり馬だったけれど、3回目の種付けでやっととまった。

受胎が悪いということは、子宮の状態があまり良くなかったのだろうか。


競走馬をしていた時間が比較的長く、5歳であがって、6歳で種付けした。

戦績自体は3年間で18戦地方3勝ってところで、そんなにたくさん走ったわけではない。

しかし、競走馬を長くしていると、上がったときにとまりが悪くなることがある。

卵巣がなかなか成熟しなかったり、子宮の状態と、卵の状態が合わなかったり、こうやって苦労すると、とまらないで終わってしまうこともあるけれど、今回はこれで最後かなというときに受胎できたのでホット胸をなでおろしていたんだけれど。


また、この馬は馬沿いが悪く、新しい馬と顔を合わすたびに蹴りあいをして、1ヶ月の治療が必要なほどの怪我を2回もした。

馬の性格は人間には従順で扱いも楽だったのだが・・・。

舎飼いによるストレス、他の馬となじめないことによるストレスもあったのかもしれない。

馬は群れで飼う以上、馬沿いが悪いからといって、群れに入れないで飼う事はできない。

しかし、こういう風に流産の原因になったかもしれないと思うと、もっと他の対処の仕方もあったのかと、悔やまれる。

後は、血統的に流産しやすい体質であること。

この馬の母親がなかなか仔の取れない馬らしい。
その原因はしらないけれど、もし、血統的に仔の取れない体質であったら、牧場としてはいろいろと考えなくてはならない。


流産その後

2008年12月22日 | 繁殖学
流産の原因はERVではなかった。

とりあえずほっと一息だが、痛手には変わりない。

考えてみれば、うちのように馬の出入りのない牧場でERVが出る要因が見当たらない。

ERVのウイルスが空から降ってくるなら、感染することもあるけれど、うちは、他の牧場に出入りしたりしないし、他から来ることもほとんどない。

人が出入りしないのはいいような悪いようなどっちともいえないけれど、とにかく、最近のうちの牧場ではERVのウイルスが入ってくる要因はなかった。

今回の流産ではいろいろと勉強になった。

流産が始まっても、胎児が残ったまま、出てこないことがある。

無理やり引っ張って出すと、生殖器に傷ができるかもしれない。

今回の流産は胎盤がもうはがれていて、コッコを取り出すと同時に胎盤も出てきた。

胎盤がはがれて胎児が死んだのか、胎児が死んで胎盤がはがれたのかどっちが先か、わからないけれど。

その後、繁殖は少し熱が出て、熱さましと抗生物質の注射を打った。

一日で熱は下がり、全く何事もなかったかのように、馬は元気である。

後は、無理やり引っ張り出した影響が、どの程度なものなのかは、来シーズン、種付けして、どうなのかわかると思う。

お産する思いをすればどうってことのないことなのかもしれない。


流産

2008年12月21日 | 繁殖学
朝、厩舎へ行くと、繁殖が寝ていた。

飼いつけしてもまだ寝ている。

熱でもあるのかと思い、体温計をさそうとしたら、陰部にあってはならないものがあった。

羊膜であろうか、予定日からは5ヶ月くらい前。流産したんだ。

しかし、まだ馬房には落ちた子供の姿はない。

これから出るところらしい。

獣医さんを呼び、中を見てもらうと、こっこがもうでてきているらしいとのこと。

痛がっているので痛み止めを打ちましょう。

陣痛に痛み止めがひつようなのか?と思いつつ、獣医さんの言われるままに痛み止めを打ってもらう。

そのうちボロッと出るでしょう、といわれたのだが、一向にその気配はない。

昼ごろにもう一度見てもらったら、子宮を収縮する薬を打ちましょう、というので、打ってもらった。

しかし、痛がりはしたものの、何の進歩もなかった。

そのうち馬もすっかり落ち着いてしまって陣痛もなくなってしまったので、再度、獣医さんに診てもらう。

引っ張り出そうと試みたけれど、子宮口がまだ、狭いから、まだ待ったほうがいいとのこと。

結局次の日になっても、何の進展もなく、昼ごろ無理やり引っ張ってもらって出した。

妊娠7ヶ月くらいの胎児はちょっと小さめの犬くらいで、毛もまだ生えていなく、いかにも胎児といった感じだった。

流産と聞けば、ERV。

今日は日曜なので保険所の開く明日まで、検査が出来ない。

もしERVであったら、最悪である。

一応、ワクチンを打った馬もいるので、救いはあるのだが、ワクチンが、どの程度まで有効なのか。

この母馬は夏に他の馬と蹴りあいをして、後足の球節に大怪我をして、1ヶ月の舎飼いを二回した。

このことが流産の原因であるかもれないし、また、血統的にいって、この馬の母親が不育症で、妊娠はするが、出産になかなか至らない馬。

これを、受け継いでしまったのかもしれない。

まずは明日の検査がどうなることか・・・。

駆虫と疝痛

2008年12月13日 | 牧場の生活
駆虫はとても大切。

馬に寄生する寄生虫は円虫、回虫、ギョウチュウ、条虫、ウマバエ幼虫。

他にもいるかもだけど、うちで、気をつけているのがこの5種類。

特に葉状条虫は、回腸口周囲の盲腸粘膜に多数寄生して、疝痛を引き起こす。

うちではこれにかかって何年も疝痛を繰り返した馬がいた。

最後は開腹手術をするはめになった。

この葉状条虫が原因の疝痛は激しい痛みではない。

体を伸ばして、時々腹を見て、痛そうな感じではあるけれど、ごろをうって暴れまわることはない。

腸が虫でいっぱいになったために狭くなり、そこに大量に餌を食べたときに通りが悪くなり、つまる。

苦しいので馬は、体を伸ばしたり、まえかきをしたりする。

腸がねじれているわけではないので、激しい痛みはないが、腸の通りが良くなるまでずっと痛む。

1歳でこれになり、2週間くらい痛み続けた馬もいた。

毎月駆虫はしてるけど、今でもときどき駆虫した後に糞に虫が出てくるときもある。

ウマバエがでてきことはない。

条虫、円中、回虫はみたことある。

根絶したい。

冬支度完了

2008年12月04日 | 牧場の生活
牧草もセリも一才の移動も終わり、今年の仕事はすべて片付いた。

忙しかった日々も今ではいい思い出。

今年は牧草取れなかったなあ・・。とか、
今年はセリは不調だったなあ・・・。とか。

とりあえず今年は年が越せそうです。

アメリカの不況とか、日本の景気の低迷とか、来年のことを思うと気がめいってくるけれど、来年のことをいま嘆いていても、何もいいことないし、意外に来年は来年でまたいろいろ違ってくることだから、来年になってから頑張ればいいのかなと思う。

たまにはほっと一息つかないと、休みのない生活だから、煮詰まってくる。

うちの場合、子供がまだ小さいので、いろんなことが目に入ってきて、いい意味で気分転換になる。

子供は無限大の可能性を秘めている。

子供を育てていると、いろんな世界が広がって、人生を何倍にも楽しめる。

だから、うちでは子供には何でもやらせたいと思う。

何かひとつのことに集中しないと、何事にもおろそかになる、と、いう意見もあるけれど、ひとつのことに集中しても、おろそかになるものはなるし、用はそのものに対しての取り組み方だと思う。

私自身、こどものころ、水泳部にがんばっていて、そのときに陸上部の先生に高飛びがセンスあるから、いちど大会に出てみないか?と誘われたのだが、断った。

一度に2つのことをやる自身がなかったから。

でも、今ではそのことを後悔している。

たかが小学生でひとつのことに集中といったって、それほど出来るわけではない。

チャンスがあるなら何でもやってみれば、他の道が開けていったのかもしれない。

だから、子供が迷ったときは必ずこういう。

頑張れそうならやってみたら、と。

サッカーでJリーグを目指すのもいいけれど、サッカーだけで小学生を終わっていいんですか?

野球だけの人生でいいんですか?

もちろん、集中することがいけないとは思わない。

ひとつのことに集中していい人生を送る人もいっぱいいるでしょう。

人生は長くても80年、若い頃は30年しかない。

悔いのない人生を歩んでいって欲しい。