牧場の日記~競走馬生産者の日々~

競走馬の生産牧場の現状と考察

大きな子馬

2012年04月26日 | 牧場の生活

昨日出産があった。

予定日より5日遅れで、お腹がかなり大きかったので心配していたのだが、

案の定かなり大きな子馬で、生後一ヶ月くらいの大きさであった。

そんな大きな子馬なのに、破水から出産まで10分というスピード出産。

どこか、中に傷ができていないか心配になった。

 

生れてすぐに陰部のなかから大きな血腫のようなものが顔を覗かせていた。

出血はそれほどないが、グロテスクなものがあって、親馬は出産後もなかなか立たないし、

何かしら異常が起こっているのではないかと思えた。

何時間たっても後産が落ちず、次の日の朝にオキシトシンを打ってもらって、13時間後にようやく落ちた。

 

落ちた胎盤は色が悪く、一部分厚い部分もあり、獣医さんによれば、分厚い部分は血行不良がおこっていたらしい。

妊娠状態はあまり良好ではなかったようだが、幸い、生れ落ちた子馬は健康そのものであった。

それにしても親馬は出産後13時間くらいはほとんど寝ていて、もがいたりはしないが、辛そうであった。

子宮の血管がお産で破れることがあるらしい。

また、お産のときに腸管が傷ついて、腹膜炎を起したりすることもあるそうだ。

今回はそのようなことはたぶんなかったと思われる。

しかし、近所の牧場ではそんなにめずらしくなく、ある。

たまたま、うちは一度も経験ないが、出来れば一生経験したくない。

もし、おこってしまったら・・、安静にするしかないそうだ。必要に応じて輸血する場合もあるらしい。

 

昨日は色々と心配したが、何事もなく今母子ともに健康である。


駆虫

2012年04月18日 | 牧場の生活

NOSAI日高の広報誌に駆虫についての調査が乗っていた。

効果的な駆虫が行われているか

回虫のイベルメクチンへの抵抗性という二つの観点からの報告である。

月一回のペースで同じ種類の駆虫薬を使い続けると回虫が抵抗性を獲得してしまうそうだ。

最近のうちの牧場は月一回とまでは行かないまでも、それに近い感じで行っている。

何回かに一回は違う種類のものを使っているが、それでも2種類くらいだ。

人間のように検便して、いた虫にあった駆虫剤を感染していた馬だけにやれば一番良いのだろうが、虫卵検査が面倒だし、やり方もわからない。

だが、駆虫剤の節約と効果的な駆虫という観点から、取り入れるべきなのかもしれない。


フレグモーネの治療

2012年04月18日 | 牧場の生活

フレグモーネの繁殖牝馬は注射とシップでかなりよくなった。

一時は食欲がぐっと落ちて心配したけれど、だいぶ回復した。

腫れもかなり引いて、今は乾いた綿花を巻いて、べトラップで巻いてある。

フレグモーネは肢巻きで巻いておくといいらしい。

腫れを押さえることで痛みが軽減されるようだ。

 

これ以上ひどくなったら、静脈から患部に直接抗生物質をいれて、止血して患部にしっかりいきわたらせる治療をしましょうといわれていたが、そこまでひどくはならなかった。

 

どんなふうにやるのか見たかったけれど、そこまでひどくならず回復してくれたので良かった。

今回は結果としてけいくんからではなく古傷から菌が入ったらしい。

以前にも栗毛の馬で、フレグモーネになり何度も繰り返した馬がいたけれど、

栗毛は皮膚が弱いのだろうか。


けいくんからフレグモーネ

2012年04月17日 | 牧場の生活

繁殖牝馬が繋くんからフレグモーネになってしまった。

もともと腫れ癖のある馬で古傷があるのだが、今回は繋くんからのようだ。

黄色い消毒液を浸した綿花で腫れているあしをシップした。

こうばんで巻いて腫れが収まる効果もあるそうだ。

今朝は肢がほとんどつけない状態だったが、負重できるまでに回復した。

種付けも終り受胎している牝馬なのでお腹の子に差しさわりがなければよいのだが。

今年は雪が多く、天候もなかなか暖かくならないので、地面がなかなか乾かない。

繋くんが出来ている馬は他にもいる。

予防が必要だ。


ライトコントロール

2012年04月15日 | 繁殖学

空胎馬が2頭いたので、ライトコントロールをしていた。

空胎馬だけ分場にいたので、他の馬には迷惑掛けることなく行えた。

3月の上旬に順調に発情が来て、2頭とも種付けをしたのだが、両方ともとまらなかった。

ライトコントロールは冬至の頃から始めて、1発情目はなげて、2発情目から種付けするといい、と聞いたことがあるが、3月上旬の発情はたぶん1発情目であったと思う。

全く残念な結果になったが、次の発情もゆっくりではあるが来ているので、今回に期待したい。

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以下は日高育成牧場の南保泰雄氏の調査研究より

空胎馬に対するライトコントロール
􀁺 12 月20 日(冬至付近)から、昼14.5 時間、夜9.5 時間の環境を作成。すなわち、北海道の一般的な飼養環境においては、一例として朝5時半から朝7時30分頃まで点灯し、収牧後15時30分頃から夜20時まで点灯する。照明は60-100 ワットの白色電球を馬房の中央天井付近に設置。蛍光灯でも問題ない。点灯、消灯はタイマーで作動させ開始終了時間を正確にする。
􀁺 夜間はできるだけ暗くする。24 時間照明しても逆効果となり、一定時間の「夜」が必要である。
􀁺 飼付けなどのために短時間、馬房や厩舎の電灯をつけることには大きな問題はないが、馬房や厩舎の廊下に常時点灯したり、馬房の窓から薄明かりが入ってくる環境が長期に渡ると、効果が少なくなる。明るい時間と暗い時間をはっきり分けることによって効果が高まる。
􀁺 ボディコンディショニングスコアーとして5.5 以上に維持されていることが望ましい。
􀁺 早期に受胎したとしても、すぐにライトコントロールを中止せず、継続することにより黄体機能が賦活化されるため、妊娠維持に効果がある。3月中旬~下旬まで継続すべきである。


わく場は嫌い

2012年04月13日 | 牧場の生活

診療所のわく場に入りたがらないやつがいる。

そいつは陰部を縫うのが大嫌いで、わく場に入りたがらないし、入ったとしてもぶるぶると震えている。

直検だけなので何とかなるかと思ったが、直検が終ったとたん尻っぱねして後足だけわく場から出てしまった。

わく場がしまっている状態で後足だけ外に出て、またいでしまっている状態。

そのまま、後足で立ち上がり、わく場から自分で出て、事なきを得たが、多少の擦り傷が出来た。

 

馬は力が強いし、自分が怪我をしようがお構いなしで暴れることがあるので困る。

もうこの馬に関してはわく場に入れる際は必ず沈静をかけることにする。

 

人馬ともに怪我は困るのだ。


難産ではないけれど

2012年04月08日 | 馬のお産

昨日のお産はとても心配なものだった。

普通に始まったお産であったが、出てきた足が正常な向きとは反対に出てきていた。

横になって産もうといきんでいる繁殖牝馬をたたき起こし、向きが正常になるように陰部に手を入れてひねってみたが、なかなか良い体勢にならない。

寝たりおきたりを何度か繰り返し、横になったときにこっこの肢をひねってみたらぐるっとかえってやっと正常になった。

ほっとしたのもつかの間、今度はこっこが大きすぎて、なかなか陣痛がきても、でてこない。

旦那と2人でひっぱってやっとの思いで生まれ出た。

繁殖牝馬はつかれきって、2時間寝ていた。

何度か起き上がったのだが、立っていられずすぐに寝てしまう。

胎盤がなかなかでないので、引っ張られて痛いから立っていられないのかもしれない。

子馬もお乳を飲みたがっていたので、寝ている母馬のお乳を搾り、哺乳瓶で飲ませてやった。

すると、胎盤もやっと出て、そのあとやっと繁殖も起きていられるようになった。

 

ぜんぜん起きないのでこのまま死んでしまうのではないかととても心配になった。

 

母子ともに健康です。