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南極と北極の氷
福島第一原発事故から1年9カ月がたちました。現在は、冷却水を注入し続けている最中です。原子炉内の燃料(多くは溶解していると考えられている)、使用済み燃料は冷却プールなどに入ったままです。その燃料棒を取り出すのが事故後2年9ヵ月後、完全に燃料を取り出す、保管するのには更に3年9カ月後とのことです。一旦事故が起きれば、核燃料を取り出すのに4年間もかかるような技術が原子力発電ということになります。
立地自治体の多くは帰還が5年後を予定しています。汚染がひどい地域は簡単に立ち入ることが困難です。少なくても線量の高い地域は危険で、長時間滞在することが困難です。比較的線量の低い地域は除染することでより早く、帰還する条件が作り出される可能性があります。しかし、地域で生活するためには社会手基盤整備が進まない限り、居住環境は整いません。ガス、水道、電気、商店の営業、小中学校、交通機関の稼動、自治体業務の開始、働く場所の確保、その他が必要になります。また、元の居住地域に戻ったとしても、高齢者から子供までが居住する地域にならない限り、過疎化に悩まされることになります。税収がないなどで、自治体としての制約も想定されます。
今回の選挙では原子力発電所稼動、原子力エネルギー依存を主張する自民党、民主党、維新の会党首などが主張しています。彼らは、このような原子力発電所事故、被害の大きさ、事故処理費用の数十兆円、避難者の苦しみを同考えているのでしょうか。自らは安全な地域に家族を置き、原子力発電所は過疎地域におき、事故被害は立地地域自治体、住民が我慢すべきと考えているのでしょうか。消費税率引き上げの犠牲者は低所得者であり、TPP参加でその犠牲は農民、医療機関、保険料が払えない貧しい人々に押し付ける。どれも同じ構図になっています。
<福島第1原発4号機 燃料取り出し、14年末に終了>
東京電力は3日、福島第1原発4号機貯蔵プールからの燃料取り出しを従来計画より1カ月早い2013年11月中旬に始め、全燃料の取り出しも計画より1年早い14年末をめどに終える方針を明らかにした。
プールのある建屋上部に残っていたがれきや原子炉格納容器のふたなど大型機器の撤去が順調に進み、7月に実施した未使用燃料(新燃料)2体の試験取り出しでも目立った腐食や変形が確認されず、計画の前倒しが可能と判断した。
プールからの取り出し後に共用プールへ搬入する手法も同時並行で実施し、大幅な期間短縮を図る。4号機プールには第1原発1~6号機で最も多い1533体の燃料が貯蔵されている。
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