安倍、自民党内閣は原子力発電所再稼動を行うことを経済再生戦略であきらかにしています。11年3月の福島第一原発事故の原因が分からない中で、再稼動を拡大、強行しようとしています。
電力会社、重電メーカー、大手金融機関、ゼネコン、一部自治体(税収が欲しいと考えている)などの要求を受けて、再稼動をさせようとしています。彼らは、福島第一原発事故の記憶が薄れてきていること、電力会社の表面的な損益の悪化(原子力発電は廃炉、事故費用、保険料などの費用が入っていないので単位発電料金は安く見える仕掛け)などを宣伝し、電気料金を引き上げ、利用者の値上げ反対意見を逆手に取り利用することを狙っています。
現在、福島第一原発事故の収束などが全く見通しが立たない状態であること。冷却水の保管方法もずさんで、冷却水中の放射性物質除去もままならない状態であること。これらに加えて、核廃棄物の最終保管場所が決まっていません。その中で、福島第一原発、東海原発、浜岡原発などの廃炉が進行します。しかし、その廃炉に伴う廃棄物、建屋、関連施設の設備の処分場が決まっていません。このような状況で、原子力発電所を稼動させることで、核廃棄物の量をさらに拡大する方針は無謀であり、危険性を後世につけまわしているとしか言いようがない状態です。
再生可能エネルギーへの転換、節電を進め、原子力発電に頼らないエネルギー政策を採用すべきです。そして、これ以上の核廃棄物の増加を止め、廃炉、廃棄物処理場を国家的レベルで議論し、決定すべきです。その費用の多くは電力会社、関連産業で利益を享受してきた企業から拠出させるべきです。そのことが政府、経済産業省の課題であると思います。
<原子力施設の廃棄物処分場>
原発の運転や廃炉作業で出る放射性廃棄物のうち、原子炉や制御棒など放射線量が中程度のものを地下に埋める処分場の選定作業が全く進んでいないことが分かった。これらの廃棄物は地下五十~百メートルに埋設する規定になっており、「余裕深度処分」と呼ばれるが、事業主体も決まっていない。今後本格化する廃炉作業の遅れが懸念される。
原発から出る使用済み核燃料は再処理され、残った放射性廃液はガラスで固めて三百メートル以深の地層に最終処分する。放射性廃棄物は、この「高レベル」と、それ以外の「低レベル」の二つに大きく分けられる。
余裕深度処分の対象となる廃棄物は「低レベル」の範囲に含まれ、放射線量が比較的高めの部材だ。制御棒をはじめとする原子炉内の構造物や原子炉圧力容器、一定レベルの廃液などが当てはまる。
余裕深度処分は、国の原子力委員会1998年に示した「低レベル放射性廃棄物処分の基本的考え方について」という文書に初めて盛り込まれた。
その後、電力全十社でつくる電気事業連合会(電事連)などで検討を開始。日本原燃が運営する核燃料サイクル施設(青森県六ケ所村)の敷地内で地盤などの調査に着手。2003年から長さ約一キロ、深さ約百メートルの試験坑道が掘られ、〇六年に完成した。〇七年から経済産業省資源エネルギー庁から委託を受けた研究機関が調査、研究を続けている。
高レベル廃棄物は、原子力発電環境整備機構(NUMO(ニューモ))が候補地となる自治体を探しているが、現時点で応募はない。余裕深度処分の処分場の選定作業も放置されたままとなっている。
現在、東海原発(茨城県東海村)、浜岡原発1、2号機(静岡県御前崎市)で廃炉作業が進行中だ。さらに、直下に活断層がある敦賀原発2号機(福井県敦賀市)や稼働四十年以上の老朽化原発が続々と廃炉になる可能性がある。
電事連広報部は、余裕深度処分に関して「処分場の場所は現段階では決まっていない。各電力会社共通の課題として考えていくべきものと認識している」と話している。