自民党の本音が出た発言です。高市氏は、自民党の政策責任者であり、その発言は政策作成担当者としての重要性を持っています。本当に驚くべき認識と、感覚です。死者が出れば「大変な事故」であり、「死者が出なければ変更の必要がない」との考え方を示してもいます。安倍、自民党政権が原子力エネルギーにしがみつき、規制委員会を隠れ蓑に、「原発の再稼動」を行うと公言してきることと歩調を合わせています。彼らがいかに「死の商人」「核兵器保有能力」に固執しているかを物語る出来事です。彼らを政治的に孤立させ、このような暴挙、暴言をやめさせることが必要です。
そもそも、原子力発電所が沿岸部、過疎地帯になぜ立地しているかを考えたら分かります。すべての原発は都市、大都市(人口集中地域)からは出来るだけ遠い地域に限定、立地させています。それは、裏返しの関係で言えば原子力発電所の危険性を認識しているからです。そのような原子力発電所が事故を起こし、被爆による死者が出るような事故がなければ、よいのではないかとの自民党政調会長の認識は「驚くべき感覚」です。自民党、東京電力経営陣のように自らは事故が起きても安全な地帯に、死の恐怖を感じない地域に居住する人間は理解できない、理解したくない、事故なんてたいしたことはないとの認識にはあきれるばかりです。
今回の原子力発電所事故は、絶対に安心安全だと地域自治体、福島県などを「だまし」「補助金漬け」にしてあの狭い地域に10基以上の原子炉を建設した結果でした。しかも、過疎化が進んだ地域であっても、事故後2年半たっても全町村避難、非難者の数は15万人を超えているといわれています。3万人の市としたら5つの市の人口、自治体機能が破壊された事故です。このような自己でありながら、死者が出ていないではないか。だから、再稼動させてもよいのだとの高市氏の主張は日本人、人間としても狂っているとしか言いようのない認識です。
<報道記事>
自民党の高市早苗政調会長は17日、神戸市で講演し、原発の再稼働問題について「(東京電力)福島第1原発で事故が起きたが、それによって死亡者が出ている状況ではない。最大限の安全性を確保しながら活用するしかない」と述べ、意欲を示した。発言に対し、野党は「政調会長と政治家を即刻辞めるべきだ」(みんなの党の江田憲司幹事長)などと一斉に批判を強めた。
高市政調会長は18日、「誤解をされたなら、しゃべり方が下手だったのかもしれない」と、国会内で記者団に釈明した。
同時に「(死亡者がいないから)再稼働するなんて考え方は、そもそも持っていない。死者が出ていないことと再稼働をつなげた話ではない」と強調した。
根本匠復興相は18日の閣議後の記者会見で「原発事故に伴い避難中に亡くなった方がいる」と述べ、高市氏と異なる見方を示した。
根本氏は「(高市氏が)どういう趣旨で言ったのか承知していない」とした上で、「避難中の死亡は本当に心が痛む。事実は何かということだ」と語った。
福島県出身の荒井広幸新党改革幹事長は国会内で記者会見し「政権与党の政策責任者でもそのような認識で残念だ。避難中の死亡や仮設住宅での孤独死など原発事故の実態を直視してほしい」と批判した。
菅義偉官房長官は記者会見で「前後を見ると問題になるような発言ではなかった。一面だけを取り上げられた」との認識を示した。その上で「避難先で亡くなった方がいるなど、大変な事故、被害だったことは事実。被災者に寄り添い一日も早い復興をという政府の方針を、高市氏も十分理解して対応している」と述べた。
現時点で原発事故の被ばく被害による死者はいないが、福島県では18日現在、原発事故による避難などが影響して亡くなった1415人が関連死認定されている。