札幌は今朝から、小雨が降り、肌寒い気温になっています。このところの雨で、野菜、木々が元気になってきました。遅い春と少雨で農家は大変です。しかし、天気には勝てないので、この条件に負けないで欲しいと思います。
主要国の首脳会議で租税回避の件が話し合われました。本当に多国籍企業、富裕層の醜さをよくあらわした話です。営業努力で獲得した利益を出来る限り、税金として支払いたくない。法人税率の引き下げ競争、また、その要求を各国政府、政治家に要求するのも多国籍企業、大手企業、富裕層です。その富裕層、大手企業の税率引き下げの穴(税収不足)を埋める役割を負わされているのも中・低所得層という形になっています。この傾向は主要国共通の現象ともなっています。貧富の格差拡大、貧困層の急激な増加が政治的な不安定さ、治安の悪化につながり、社会的な問題となっています。
そもそも、税金は収入、所得、地域の格差を税により是正する機能を持っているはずです。しかし、大手企業、多国籍企業の法人税率の引き下げ、租税回避により、国家財政の縮小、破綻に追い込まれるような状況は常識ではありえない話です。企業の社会的な責任とは何かも問われています。地域における雇用、従業員の生活レベルを向上させることなど義務を果たさない企業に適切な役割を果たすように求めることは当然のことと思います。
アメリカ、イギリスなどの多国籍企業、金融機関、富裕層の信奉する新自由主義の醜さと身勝手さは政治モラルの退廃を引き起こすまでになっています。このような醜さは各国政権が無視できないレベルまで達してきているからこそ、サミットの場で討議課題となったのだと思います。国会の中でも議論して、彼らの税逃れを追跡し、法律に基づく徴収をして欲しいと思います。同時に、租税回避を合法化するようなことも法律で禁止すべきです。
<記事>
主要八カ国(G8)首脳会議が多国籍企業による課税逃れを防ぐルール作りで合意したことは歓迎したい。背景の租税回避地や法人税引き下げ競争、富裕層の納税回避にもメスを入れる必要がある。G8で議論された「税逃れ」は、身近に存在する話である。高額所得者や大企業はうまく納税義務を免れ、ツケは中・低所得者が負っている実態。経済界の「税金が高いから海外に脱出する」との要求で法人税を優遇する国家戦略特区をつくる、といったことと同じだ。
問題の本質は、税逃れの術(すべ)を持つ金持ちはますます富み、術のない弱者はますます重税に苦しむという不公平な社会である。
G8での議論のきっかけは、スターバックスやアップル、グーグルといった多国籍企業が法人税の低い租税回避地(タックスヘイブン)に設立した子会社を利用し、税負担を低く抑えていたことだ。低成長で税収が伸び悩む中、各国の政府や議会、さらに世論が、こうした実態に不満を抱き始めたのだ。ロシアの富裕層が資産を移したキプロスの経済危機も、租税回避地に焦点を当てさせた。G8は、企業や個人の資金の流れを把握するため、金融機関が保有する口座情報を他国が自動的に共有する枠組みや、多国籍企業が世界のどこで利益を挙げ、どこで税を支払っているかを税務当局に報告させることを決めた。
今後は経済協力開発機構(OECD)が行動計画をつくり、来月の二十カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に提出する。
一歩前進ではあるが、問題はそう簡単でない。税も規制も緩い租税回避地がどこかに存在するかぎり、カネはそこを目指すからだ。テロ資金や不透明なカネの温床であるため、米国は対策に力を入れている。だが、金融立国の英国はケイマン諸島など世界有数の租税回避地を多く抱え、それが金融業の生命線ゆえ国際協調には面従腹背を通すと見られている。 各国の法人税引き下げ競争も、税負担の圧縮を狙う企業や富裕層の課税逃れに手を貸している。企業には社会的使命があるはずだ。株主の利益ばかりを優先し、納税をコストのように考えて減らすのは、社会や消費者への背信行為である。
言うまでもなく所得税は所得に対して応分の負担が原則である。1%の富裕層は税を逃れ、99%の国民がその割を食う。それでいいはずはない。