地球温暖化だけでは片づけられない「海の幸」の漁獲量の減少は、日本にとって大きな課題である。山形県においても多くの魚種で漁獲量減少が危惧されている中、「つくり育てる漁業」へ積極的な対策が求められている。
現在、山形県のサケふ化放流事業は15カ所のふ化場で実施されているが、県全体のサケ稚魚放流尾数の約8割は月光川水系の3ふ化場から放流されている。この偏重はリスクが高く、サケ資源の維持・増大のためには、本県を縦貫する最上川水系の資源増大は必要不可欠と言われている。
しかし、最上川水系には経営基盤の脆弱な小規模ふ化場が多く、施設についても老朽化が進み、ふ化放流事業の継続が危ぶまれている。
また、沿岸漁業者から「銀(ぎん)毛(け)」と呼ばれる商品価値の高いサケの資源の造成が要望されているが、本県の主要なサケ稚魚放流河川である月光川水系は、河川が短く河口から産卵場までの距離が近いため「銀毛」資源造成には有効でなく、河口から距離のある最上川中流域から放流する事が有効で、最上川水系のふ化場と連携して「銀毛」資源を造成する必要がある。
一方、サケを獲る定置網漁業者で構成される県定置網漁業組合から、県鮭人工孵化事業連合会に対して、漁獲金額の2%がサケ資源造成のための協力金として支払われているが、他県と比較してその割合が低く、県の指導が求められている。
本格的な「つくり育てる漁業」に本腰を入れて取り組む時期に来ている。
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