12日、金山町「県遊学の森」で第38回全国育樹祭が、皇太子さまをお迎えして、素晴らしい秋空の下で開かれた。県内外から参加した5千人は、皇太子さまのお言葉を中心に森林の大切さを、改めて実感したに違いない。
これは、12年前の6月5日に「第53回全国植樹祭」で天皇皇后両陛下がお手植えされたブナの苗木の成長を確かめ、手入れする儀式であり、皇太子さまは完熟した堆肥を根もとに施された。そのブナは4mほどに成長したと公表されている。往事のエピソードが山形新聞のコラム「談話室」に載っている。3年前の秋の園遊会で、当時酒田市長の阿部寿一さんに、皇后陛下が質問され「あのとき植えた木々は丈夫に育っているでしょうか」と植樹された苗木を気遣われていた様子を知ることになる。
植林事業は世代をまたぐ壮大な時間との闘いでもある。先人の植林した蓄積を、バイオマス発電やペレットなどとエネルギーに使えば一瞬にして刻んだ年月を失う。現代で享受した森林の恵みは、その分、植林して次世代につなぐ責任がある。森林持続性理念を社会システムの中に組み込む政治の責任は大きい。
現実は、森林の荒廃が続いている。日本の山は荒れている。10年ほど前にスイスを視察した時の事を思い出す。スイスは山国。森林が山頂まできれいに、手入れされているのには驚いた。どの農家の軒先にも薪が積んであり、万が一石油暖房を失った時の備えだと聞いた。
天皇陛下は「植樹祭」「豊かな海づくり」「国体」にお出ましになる。それは、日本国の原点に他ならない。原点を失えば国は亡ぶ。
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