2017年9月21日のスイスのネット記事です。
バーゼルの「ベセスダ病院」(2015年11月26日設置)で、初めての赤ちゃんの預け入れがあったみたいです。
2周年を待たずに、一人目の赤ちゃんが預け入れられた、とのことです。
さすがはスイス、といいますか、さすがはSHMKといいますか。
メディアを通して、お母さんへの呼びかけを行っています。
最後に、「KESB」(スイスの児童相談所)の連絡先が記されています。
電話番号とメールアドレス。
メディアは、赤ちゃんポストの是非を議論するだけじゃなくて、こうやって呼びかけることもできるんです。
日本のメディアは、ゆりかごの是非を問うものばかり…(;;)
ベルギーのメディアも、「赤ちゃんポストは最良の解決策ではないかもしれないが、やぶの中やゴミバケツよりはまだましである(Die Babyklappe sei keine Patentlösung, aber immer noch besser als ein Gebüsch oder ein Mülleimer)」と書いている。(引用元はこちら)
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今、日本は、色んな問題が山積する中、「理由なき解散」(!?)によって、連日、メディアでは選挙の話で大盛り上がり。
もちろん「選挙」となれば、メディアも「出番だ!」ってことで、色々と情報を集めて、報じなければなりません。
そこは、日本も海外も同じこと。
でも、赤ちゃんポスト(日本では「こうのとりのゆりかご」)を扱う時には、海外と日本とでは全然書き方が違う、というか、向いている方向が違うというか、そういう気がしてなりません。
よくも悪くも、「立場が見えない」という気がします。(もちろん、意見は個々にあると思いますが…)
時おり、「立場」が見えるかな、という時には、だいたい「批判的」になります。
「民主主義」の大事さを政治的に説くことは、メディアも大好きだと思いますが、民主主義的なメディアって、どれだけあるんでしょうかね!? メディアもメディアで、政治家たちのように「上から目線」になってないでしょうか!?
欧州のメディアを色々見ていると、メディアの立場自体が、非常に「民主的」な感じがします。やんわり言えば、「庶民の立場に立って、あるいは弱き人の立場に立って」、そこから何かを発信しています。
そうなれば、社会の片隅に追いやられた母親と赤ちゃんを救う取り組みを、簡単には「否定」できないはずなんです。色々と、法的にも、倫理的にも難しい問題が孕んでいることは、百も承知のこと。それを知ったうえで、「やぶ」や「ゴミバケツ」に赤ちゃんが捨てられないように、と頑張っているんです。
「国民の命と安全を守る」ことが政治的使命であるならば、その最初の第一歩である「妊娠・出産」の時期の母子を守ることは、最も重要な政治的使命なはずです。
どの政党でもいい、どの政治家でもいい。どのメディアでもいい。
もっと、タブーに触れて社会の片隅で身を潜めている人たちを大事にして社会をつくっていける人が増えてくれたらいいなぁ、と思います。認知されている「社会的弱者」の背後に、まだまだ認知もされていない「隠れた社会的弱者」の存在もあるわけです。それは、緊急下の母子に限りません。
メディアは、誰の立場に立ち、誰のために動くべきなのでしょう。
日本と欧州のこの「語り方」の違いに、メディアの成熟度が示されているように思えてなりません。