その1。 ある少年の話
その男は、遠い時間を手繰りよせるような目をしながら、
ゆっくりと私に語りだした。
☆ ☆ ☆
私の父は偉大な人だった。
一代で財を成し遂げ、尚且つ、人々から敬愛されていた。
子供の頃、毎年、誕生日プレゼントは何がいいか?と尋ねられた。
小学校2~3年のころだっただろうか、
いつものようにそう聞かれた私は、魚が欲しいと答えた。
テレビで、大きな淡水魚(アロアナ?)の映像を見て、
自分の部屋にもそれがいたら、かっこいいと思ったからだった。
当然父は、そういう凄い魚を買ってくれると期待していた。
ところが、誕生日の日、
渡されたのは3匹100円で売っているような、
小さな赤い金魚だった。
呆然とビニール袋に入っている魚を手に、
突っ立っているボクに向かって父は言った。
「大きくするもしないも、すべてはお前次第だ。
育て方を色々調べたり、工夫したりすれば、
魚は大きくも美しくもなるだろう。
だが、何もしなければ、小さいままだ。」
その時、私はハッとした。何かが閃いて、
父の言いたいことが突然分かった気がした。
(お父さんはボクに、すべては自分のやり方次第だという事を、
言っているんだ。
ボクにもこの魚を、大きな魚にすることが出来る力がある!!)
大きな驚きと共に、
自分って、凄いものなんだと、
我ながらなんだか誇らしく、とても楽しい気分になったのを覚えている。
そして今は思うんだよ。
何事も大きく育てるためには、
【愛】が欠かせないってね…。
☆ ☆ ☆
そう言って、その男は笑いながら私にウインクしてみせた。
… きのう見た夢のお話 …
その男は、遠い時間を手繰りよせるような目をしながら、
ゆっくりと私に語りだした。
☆ ☆ ☆
私の父は偉大な人だった。
一代で財を成し遂げ、尚且つ、人々から敬愛されていた。
子供の頃、毎年、誕生日プレゼントは何がいいか?と尋ねられた。
小学校2~3年のころだっただろうか、
いつものようにそう聞かれた私は、魚が欲しいと答えた。
テレビで、大きな淡水魚(アロアナ?)の映像を見て、
自分の部屋にもそれがいたら、かっこいいと思ったからだった。
当然父は、そういう凄い魚を買ってくれると期待していた。
ところが、誕生日の日、
渡されたのは3匹100円で売っているような、
小さな赤い金魚だった。
呆然とビニール袋に入っている魚を手に、
突っ立っているボクに向かって父は言った。
「大きくするもしないも、すべてはお前次第だ。
育て方を色々調べたり、工夫したりすれば、
魚は大きくも美しくもなるだろう。
だが、何もしなければ、小さいままだ。」
その時、私はハッとした。何かが閃いて、
父の言いたいことが突然分かった気がした。
(お父さんはボクに、すべては自分のやり方次第だという事を、
言っているんだ。
ボクにもこの魚を、大きな魚にすることが出来る力がある!!)
大きな驚きと共に、
自分って、凄いものなんだと、
我ながらなんだか誇らしく、とても楽しい気分になったのを覚えている。
そして今は思うんだよ。
何事も大きく育てるためには、
【愛】が欠かせないってね…。
☆ ☆ ☆
そう言って、その男は笑いながら私にウインクしてみせた。
… きのう見た夢のお話 …