長期うつにデイケア/精保センター県内初の試み
回復へ不安上手にコントロール
長期のうつ症状に苦しむ人々への「うつ病デイケア」が、8月から県総合精神保健福祉センター(仲本晴男所長)で行われている。県内で初めて「認知行動療法」を取り入れた全国でも数少ないデイケア。現在、うつ症状で精神科に1年以上通う12人が週に一度、前向きな考え方や気分をコントロールする方法などを学んでいる。仲本所長は「薬物療法だけでは効果が得られず、症状が慢性化した人に効果的」と話し、症状の改善に期待を込めた。
認知行動療法(CBT)は「落ち込み」や「不安」などを減らし、その期間を短くすることが目的。行動して気分が晴れることを実感し、マイナスに傾きがちな考え方を一度、止める方法などを訓練することで、否定的な感情から肯定的な感情へと修正していく。
デイケアは三カ月を一クールとし、講義と宿題の発表を一週間ごとに行う。講義で学んだ後、一週間の出来事や自分の気分や感情、考え方の変化などを記録し発表しながら「行動」「考え方」「気分」が互いに作用しあって改善に向かうことに気付いてもらう。
発表では「気分を変える方法を学び、過去に対する考え方が変わった。約二カ月続いた微熱が出なくなり、眠れるようになった」との意見や「外出したら気分が晴れた」「将来を考えると不安になるので、今、できることだけに集中しようと自分にいい聞かせ、落ち着けた」など、前向きな発言も出ている。
講義後は気功や手工芸、陶芸など作業療法を組み込み、回復効果を高める。仲本所長は「急性期のうつは、薬と休息が重要。だが薬物だけで効果が出ない慢性期の患者には、別のアプローチが必要」として、五年以内を目標に県内の医療施設などに認知行動療法を広げていく。
県内で精神科外来に通う患者は二〇〇三年六月現在、二万七千六百五十八人。その約四分の一の約七千人が、うつ病患者といわれている。
仲本所長は「抗うつ薬の処方をみると、精神科以外から出ているケースも多く、精神科にかかっていないうつ患者も、同じくらいいる。うつの二―三割は治りにくい慢性症状で、県内に三千―四千人いると考えられる。デイケアの必要性は高い」と意義を訴えた。同センターは、電話098(888)1443。
うつと不安に向き合うために
来月22日那覇市、県民公開講座
第十回県医師会県民公開講座「ゆらぐ健康長寿おきなわ~こころのかぜ~(うつと不安)」(主催・沖縄タイムス社など)が十月二十二日午後一時半から、那覇市のロワジールホテルオキナワで開かれる。職場でのうつや思春期の心の悩みにどう向き合い、対処すればいいのか、医師や専門家らが詳しく講義する。問い合わせは沖縄タイムス社広告局企画開発部、電話098(860)3573。
回復へ不安上手にコントロール
長期のうつ症状に苦しむ人々への「うつ病デイケア」が、8月から県総合精神保健福祉センター(仲本晴男所長)で行われている。県内で初めて「認知行動療法」を取り入れた全国でも数少ないデイケア。現在、うつ症状で精神科に1年以上通う12人が週に一度、前向きな考え方や気分をコントロールする方法などを学んでいる。仲本所長は「薬物療法だけでは効果が得られず、症状が慢性化した人に効果的」と話し、症状の改善に期待を込めた。
認知行動療法(CBT)は「落ち込み」や「不安」などを減らし、その期間を短くすることが目的。行動して気分が晴れることを実感し、マイナスに傾きがちな考え方を一度、止める方法などを訓練することで、否定的な感情から肯定的な感情へと修正していく。
デイケアは三カ月を一クールとし、講義と宿題の発表を一週間ごとに行う。講義で学んだ後、一週間の出来事や自分の気分や感情、考え方の変化などを記録し発表しながら「行動」「考え方」「気分」が互いに作用しあって改善に向かうことに気付いてもらう。
発表では「気分を変える方法を学び、過去に対する考え方が変わった。約二カ月続いた微熱が出なくなり、眠れるようになった」との意見や「外出したら気分が晴れた」「将来を考えると不安になるので、今、できることだけに集中しようと自分にいい聞かせ、落ち着けた」など、前向きな発言も出ている。
講義後は気功や手工芸、陶芸など作業療法を組み込み、回復効果を高める。仲本所長は「急性期のうつは、薬と休息が重要。だが薬物だけで効果が出ない慢性期の患者には、別のアプローチが必要」として、五年以内を目標に県内の医療施設などに認知行動療法を広げていく。
県内で精神科外来に通う患者は二〇〇三年六月現在、二万七千六百五十八人。その約四分の一の約七千人が、うつ病患者といわれている。
仲本所長は「抗うつ薬の処方をみると、精神科以外から出ているケースも多く、精神科にかかっていないうつ患者も、同じくらいいる。うつの二―三割は治りにくい慢性症状で、県内に三千―四千人いると考えられる。デイケアの必要性は高い」と意義を訴えた。同センターは、電話098(888)1443。
うつと不安に向き合うために
来月22日那覇市、県民公開講座
第十回県医師会県民公開講座「ゆらぐ健康長寿おきなわ~こころのかぜ~(うつと不安)」(主催・沖縄タイムス社など)が十月二十二日午後一時半から、那覇市のロワジールホテルオキナワで開かれる。職場でのうつや思春期の心の悩みにどう向き合い、対処すればいいのか、医師や専門家らが詳しく講義する。問い合わせは沖縄タイムス社広告局企画開発部、電話098(860)3573。