第4場 その3
美樹達の前に現れた権藤海路は普通を装っていたが、どこかに違和感を持つ人間だった。
美樹が何故自分たちを探していたかを問うと、権藤は美樹達の父の死を告げる。
美樹 「あのう、お話というのは・・」
権藤 「・・・ハイ、驚かないで聞いてくださいね。・・実は別れて暮らしていたあなた達のお父上がお亡くなりになりました」
美樹・隆文 「ハア?」
権藤 「一週間程前です。これは色々問題があって推定ですが五月十四日前後二日間の間に・・・」
美樹 「言っている事が分らないんですが」
権藤 「分かります。ええ、分かりますよ。さぞ驚かれたことでしょうね。お母様と離婚して戸籍上の関係がなくなったとはいえ、あなた方お二人にとって実の親ですからね。大きなショックを受けているのはよく分かります。・・・お父様もあなた達お二人の事は気にして、事あるごとに噂をしていたんですよ」
美樹 「わたし達の噂をですか?」
権藤 「ええ、そうです。よくお父様から聞いてました。それがいつも決まった様に同じお話でね。財布からヨレヨレになった小さなお二人が写っている写真を取り出して、こんなわたしにも可愛い娘が居るのって・・・こんな事になるって分かってたら無理にでも逢わせてあげるんだった」
隆文 「それはいつ頃の話ですか」
権藤 「・・・最近まで会うと話してましたよ」
<o:p> 美樹の父は、美樹達が幼い時に離婚後すぐに死んだと聞いていた美樹達は唖然とする。
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突然、笑い出す美樹と隆文。<o:p></o:p>
美樹 「お気の毒ですが、権藤さん。わたしはあなたのお探しになっている小池美樹じゃありませんよ」
美樹達にとって離婚直後の父の死は、母から聞いた真実であった。<o:p></o:p>
権藤 「・・エート、言ってる意味が分からないんですけど」
美樹 「だから間違いなんです。あなたの言ってるその人は、わたしの父親じゃありません」
隆文 「そう、人違いです」
権藤 「いや、そんな筈はありませんよ」
隆文 「そうなんですよ、僕達の父親は母と離婚した直後に亡くなっているんです」
権藤 「エッ!・・・そんな」<o:p></o:p>
戸惑い記憶を探る権藤。
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<o:p> 権藤 「・・・貴女の名前は小池美樹さん、弟さんは隆文さんですよね」
美樹 「ええ、そうです」
権藤 「・・・小此木紀夫。この名前に覚えがありますか」<o:p></o:p>
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驚き顔を見合す美樹と隆文。<o:p></o:p>
栄治 「なあ、どうなんだよ」
美樹 「・・・ええ、あります。父の名前です」
権藤 「お母さんの名は節子さん・・・・これでも違いますか?」
隆文 「姉貴、これってどういう事だよ?」
美樹 「分からない。・・・でもそんな筈ないわ、ウチの父はもうとっくの昔に亡くなっているんです」
権藤 「(美樹に)それを証明する物は?」
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