序破急

片足棺桶に突っ込みながら劇団芝居屋を主宰している爺です。
主に芝居、時々暮らしの中の出来事を書きます。

劇団芝居屋第24回公演「チェンジ」舞台写真&ストーリー15

2012-11-21 17:26:41 | 日記・エッセイ・コラム

9月11日(火)

医院の仕事を終えた光江は今日ホタムイで行われている事を思い浮かべボイスレコダーに録音する。

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光江 「九月十一日、火曜日。今日の仕事終了。父も素直に体調管理を心掛けていて調子もも良好。今夜は父上と久しぶりに一杯やろう。甘いかな。・・・そういえば今日はホタムイのお見合い相手が来る日。どんな前夜祭になってるんだろう。・・・何だか笑っちゃう」<o:p></o:p>

明日のお見合い大会を前に、参加者の歓迎会を洋平の家で開催したが、ただ一人の正式な参加者である野崎玲奈を前に緊張の余り盛り上がりに欠けた宴席になってしまう。

何とか挽回しようとホタムイの景色を見せようと企画した洋平と靖は、若者達を波止場に呼び出す。

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 靖 「(声を押え早口で)駄目、駄目だよ、あんな調子じゃ。合コンだよ、これは。せっかく恭子さんも典子さんも協力してくれて盛り上げようとしてくれているのに。いいの、このまま彼女帰していいの」
武志 「そんなことはねえけど・・」
洋平 「あの野塚玲奈さん、気に入らねえのか?」
将雄 「そんなことはないすよ、ただ・・」
洋平 「ただ?タダなんだ」
将雄 「まさか一人だと思わなかったから」
俊夫 「俺、典さんと恭姉見た時、ドッキリかと思っちゃったよ」
武志 「俺も・・・」
靖 「いやいや、悪いと思ってるよ。それは僕が悪いんです。応募者が一人だけだという事を知らせなかったのは悪かったと思ってるよ。でもぎりぎりまで次の応募者を待った結果なんだから」
俊夫 「俺達は非難なんかしてないスヨ」
洋平 「・・・そんな事よりなんでもっと歓迎会の席で積極的にならなかったんだよ。歓迎会の前にあの子の資料渡したろう、見てないのか」
武志 「見ましたよ」<o:p></o:p>

            靖、戻る。
           
武志、将雄、懐から資料を取り出す。<o:p></o:p>

 洋平 「とにかく、それを参考にして何か質問してみろや。分かったか」
武志 「どんな・・」
洋平 「だから・・・どんな趣味を持ってるかとか」
将雄 「趣味ねえ・・」
洋平 「・・食べ物は何が好きだとか」
武志 「食いもんねえ・・」
洋平 「竜也、お前もだぞ」
竜也 「俺はいい」
洋平 「ええ・・・」
竜也 「洋平さん、俺は今回見てるだけにするわ」
洋平 「・・・勝手にしろ」<o:p></o:p>

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竜也の突然の不参加表明を他所に、靖が女性達を案内してくる。

靖 「今来るからうまくやってよ」<o:p></o:p>

       典子を先頭に恭子、玲奈が来る。<o:p></o:p>

靖 「どうですか、この船着き場から見た夜の沖合の景色はちょっとした自慢なんですよ。ねえ、そうだよね」<o:p></o:p>

       将雄達に合図をする洋平。<o:p></o:p>

将雄 「ソウデス・・・」<o:p></o:p>

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靖たちの思惑とは違い、地元の人間にとってなんでもない星空は都会育ちの玲奈を感激させる。

玲奈 「わあ、きれいな星空。こんな星空は東京じゃ見えない」
恭子 「ええ、本当ね」
玲奈 「素敵。まるで降ってくるみたいな星空」

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靖 「いや、あの空じゃなくてですね、海の沖の方です」
玲奈 「えっ、どこ?」

 洋平、武志を押す。

武志 「(指さし)沖!沖!」
玲奈 「オキ?・・」<o:p></o:p>

  洋平、将雄を押す。<o:p></o:p>

 将雄 「あそこ!あそこ!」
玲奈 「エッ?・・・・ああ!・・・あれなあに」
典子 「ナンダベネ」<o:p></o:p>

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玲奈 「水平線一面に・・・わあ、一面に・・キレイ!」
俊夫 「あれは漁火だ」
玲奈 「漁火?」
俊夫 「魚を集める集魚灯の事だ」
将雄 「い、今はスルメイカ獲ってるんだ」
玲奈 「ああ、そうなんだ」

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玲奈のぶりっ子ぶりはホタムイの将雄達には新鮮だった。
典子たちの奮闘ですっかりやる気が出た将雄達は次の場所に案内をする。
と、玲奈の携帯がなる。

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 玲奈 「・・・モシ、モシ、どなたですか。・・・なあに?・・・えっ、そんな事どうでもいいでしょう、どうせ関心ないんだから・・・・ああ、そっちに行ったの。ゴメンナサイ間違えちゃった。・・・知ってどうするの。・・・お見合いよ、わたしお見合いしてるの。・・・いいでしょう、そんなのわたしの勝手でしょう。・・・そうよ、魚獲ってる人。みんな誠実でやさしそうな人ばかり・・・ええ、決まったらこっちに住むつもりよ。・・・会社?やめます。・・・ええ、いいの、それでいいの。・・・・知らないわよ、自分の事は自分で決めたら。・・・ハイ、さようなら」<o:p></o:p>

          咽び泣く玲奈。

何か訳がありそうだ。

続く。

撮影者 鏡田伸幸<o:p></o:p>

 


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