ホタムイの長老達の思惑とは別に、地区担当の横川や洋平を中心に青年達もホタムイに定住する為に家庭を持つ事を目指して活動していた。
だが期待を持たせた花嫁募集のインターネットへの発信も不発に終わった。
典子 「えっ、ワチ達が」
靖 「いや、洒落。あくまでも洒落ですから」
恭子 「洒落っていってもね」
典子 「義母さんが行けっていうから来たけど、そんな事かい」
洋平 「俺達もこんな筈じゃなかったと思ってるんだ」
靖 「いや、問い合わせは驚くほど来たんだよ。応募も一人目はすごく早い段階であったんだ。でもね・・・」
洋平 「その後が待てども待てども・・・来ねえんだ」
典子 「で、結局?・・・」
靖 「応募者は一人だけ」
洋平 「よっぽど中止にしようかって思ったんだが、今後の事もあるしやんなきゃ駄目だべって事になってよ。いや、結果はどうでもいいんだ。とのかく実績作りなんだよ。それで・・・」
典子 「だからなんでワチ達が応募者の真似をしなけりゃならねえのよ」
恭子 「そうよ」
洋平 「いやホラ、枯れ木も山の賑わいって言うべ」<o:p> </o:p>
恭子 「失礼ね」
典子 「なに、ワチ等は枯れ木だってかい・・・」
洋平 「いやいや、そういう事じゃなくてよ・・・」
典子 「ああ、ワチは枯れ木だ、乾いてますよ。ねえ」
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恭子 「ハイ。カラカラに乾いてて悪うござんしたね。こんなに乾いてる枯れ木に何の用でしょうか」
洋平 「ゴメンゴメン、つい口が滑った。勘弁してくれや」
典子 「口が滑ったって事は思ってるって事だべや」
恭子 「そうだね」
靖 「すいません、私に免じて許して頂戴よ」
洋平 「(必死)すいません」<o:p></o:p>
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<o:p> この怒りは恭子達のからかいであった。恭子達はあらかじめ禎子や昇平から事の仔細を聞いていたのだ。
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<o:p> 典子 「わかったわかった。で、どういう事さ」
靖 「だから、応募者が自分一人だけなんて思ったら、その、やりにくいと言うか、恐れちゃうっていうか怖気づいちゃうと思うんだわ。だからそこんとこをお二人で応募者のふりして気持ちをいやして貰えたらと思ってさ」
恭子 「ああ、そういう事」
洋平 「はい、そういう事なんです」
典子 「じゃ、ワチ等もどっかから応募したって事にすればいいんだな」
靖 「そういう事です、ハイ」
恭子 「面白そう。気晴らしには丁度いいかも」
典子 「そうだな。義母さんの命令だしな」
靖 「やってくれる?」
洋平 「頼むよ」
典子 「ワチはいいよ」
恭子 「あたしも」
靖 「本当?いいのかい?いいんだな」
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<o:p> <o:p> 典子 「あら、義母さん」 笑う一同。<o:p></o:p> 靖 「それで、お二人には前日の夜応募者として洋平さんの家に泊まってもらって、歓迎会に出席してもらう事になるんだけど・・」
洋平たちの苦肉の策の用意はできた。 撮影者 鏡田伸幸
禎子 「いや、気になってよ。どうだ、どうなった」
典子 「ご命令通り、引き受けた」
禎子 「あら、そう」
洋平 「いや、お陰様で」
昇平 「そう、そうかい。恭子、いいのか」
恭子 「うん、帰って最初のご奉公」
昇平 「そうか。・・まあ、とんでもない役目だけどな」<o:p></o:p>
典子 「あら、そっからやんのかい」
恭子 「本格的」
洋平 「いや、そういうスケジュールになってるもんだから」
典子 「義母さん、いいのかい」
禎子 「そういう事なら遣るしかねえべさ。いい憂さ晴らしになるべさ」
典子 「何言ってんの憂さはとっくに晴れてるって・・でも、義母さんのお許しが出たから、外泊すっか」
昇平 「まったく若いのは何考えるか分かんねえな」
禎子 「良かれと思ってんだから、やればいいんだ」
昇平 「んだな」<o:p></o:p>
さて、思惑通りに事は進むのか・・・
続く。
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