エスせんブログ

ラノベ好きなB級小学校教師のエスせんが、教育中心に色々語るブログです。少しでも面白ければ「いいね」御願いします。

千切った形から・前編

2024-09-16 04:30:00 | 教育
 月・火曜は学校教育話。今回は図工での成功と失敗を語ります。
 札幌の1年生の図工で「ちぎった かたちから」と言う教材があります。色画用紙を千切らせ、その形から発想を広げて何かに見立て、台紙に貼らせてクレヨンで描き足して絵にする…と言う教材です。
 コレ、普通に千切らせると、ただ細長く千切ったり、三角に千切ったりして終わりです。見立てるって言っても…いくら何でも、これでは大人でも難しいでしょう。
 かと言って、千切り方を指導しすぎると、子供たちは自分の作りたい形に千切ろうとします。これなら、見立てる必要なんかありません。
 だから、千切らせ方は非常に難しいです。そこで、今回は作戦を立てました。

1.適当な部分から中心前後まで千切って切り込みを入れさせる。
  その後、切り込み先から外側まで千切らせる。
   ※これにより、三角っぽい形で切り取る事が出来ます。
2.別な部分で「1」と同じ事を行わせる。
   ※これにより、2ヶ所を千切り取る事になります。
3.後は、好きな所を好きな様に千切らせる。
  ただし、多くても3回まで。
4.千切った切れ端は全部残しておく。
5.最も大きな切れ端を見立てに使う。
  他の残った切れ端の内、あと1つだけ付け足しても良い事とする。
  
 この指導では千切り方の見本を見せながら指導しますから、教師と似た形になりやすいと言う弱点があります。それでも、何も指導しないで千切らせたり、千切り方を指導し過ぎたりするよりは、多様な形の生まれる可能性が高くなります。
 実際、やってみると予想以上に多様な形が生まれました。過去1番の出来映えです。
 問題は、この後に2つあります…が、少々長くなりました。続きは次回とさせていただきます。
 …と言う事で、この最終段落まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。今日または明日、皆様が良い一日を過ごせるよう願ってます。


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千年たっても手段は変わらず

2024-09-13 04:30:00 | 自分
 金曜は、月~木曜のテーマに含まれない内容です。今回は、少し前に妻から聞いた面白かった話題を紹介します。
 あ、ちょっと下ネタ(下品ネタ)系なので、苦手な方は読まない方が良いです。
 では本編。
 妻は、無料の漫画を読むのが好きです。そして時々、面白かった漫画について話をしてきます。
 令和6年8月のある日、今、読んでいる漫画について妻が話をしてきました。その漫画の主人公は高校生の頃にいじめられており、その、いじめの手段が「昭和の香りがする」と言うのです。
 具体的に聞くと、女子トイレに連れ込まれ、便器に溜まっている汚物に顔をつけさせられる…と言う内容でした。う~ん…食事中の話題にされなくて本当に良かったです。御飯が美味しくなくなってしまうところでした。
 でも、妻の話は終わりません。妻曰く、「この場面を見て、私、『源氏物語』を思い出したのさ」…って、何故、『源氏物語』?
 妻によると、桐壺更衣(キリツボノコウイ)に嫌がらせをしようとした女御(ニョウゴ)の女房たちが、清涼殿(セイリョウデン)の廊下に汚物を撒き散らすと言う場面があるのだそうです。その結果、桐壺更衣は廊下を遠回りした上、帝(ミカド)に逢う前に着替えなくてはならなくなったのだとか。
 田辺聖子版の『源氏物語』に、そんな場面あったかなぁ…もう、かなり昔だから忘れてしまいました。
 でも、妻は平安時代オタク。『源氏物語』だって、田辺聖子版も瀬戸内寂聴版も『あさきゆめみし』も読んでいます。そう思って確認すると、その場面、田辺聖子版には載ってないそうですが、瀬戸内寂聴版と『あさきゆめみし』には載っているとか…。ひぇ~。
 そして…「令和の漫画でも、平安時代の『源氏物語』でも、いじめの手段が汚物ってところが面白いと思わない? 千年以上の間があるのに、人間のやる事って変わらないんだなぁ」と言って、妻は話を終えたのでした。
 確かに、いじめの手段は千年たっても変わらない…千年ぐらいじゃ、人間は成長しないって事かもしれません。

 ところで、令和6年9月10日と12日のブログに、「いいね」などを沢山いただきました。いつも、ありがとうございます。これからも頑張りますので、どうぞ、宜しく御願いします!
 …と言う事で、この最終段落まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。今日または明日、皆様が良い一日を過ごせるよう願ってます。

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気軽に読め、多方向から物事を見る感覚を養える(かも)『実はすごかった!? 嫌われ偉人伝』

2024-09-12 04:30:00 | ライトノベル
 木曜はラノベ愛語り…何ですが、最近、ラノベじゃない本なども紹介しています。今回もラノベではなく、私の推し作家の一人である真山知幸先生の『実はすごかった!? 嫌われ偉人伝』を紹介します。
 この本では、世間的には人気が無い…と言うか、どちらかと言えば嫌われている歴史上の人物を、蘇我入鹿から松永安左エ門までの25人紹介しています。コラム欄もあり、そちらで取り上げられている人が7人なので、全て合計すると32人となります。
 真山先生の本は、どれも読みやすく書かれています。この本も同様で、さくさく読めるので、速読系の方なら1時間くらいで読み終えてしまうでしょう。
 また、自分の興味のある人物だけパッと読んで終わる…と言う読み方も出来ます。これなら5分間もあれば、まず間違いなく読み終わります。隙間時間の活用にもピッタリではないかと思います。
 ところで、この本の最大の「良さ」は、「多方向から物事を見る感覚を養う」事に役立ちそうだ…と言う点です。
 例えば、平清盛と言えば、『平家物語』の影響が大きいため、「我が儘な独裁者」と思われがちです。NHK大河ドラマ「平清盛」は、もう少し多面的に描いていましたが、それ以外の大河ドラマでは概ねロクな描かれ方をしていません。
 それが、この本によると、平清盛はアイディアマンだし、自分から積極的に戦をしてはいないし、部下に対しても優しく接していた…と言うのです。例えば部下との関わりであれば、「空気の読めない発言があっても《冗談で言ったのだろう》としかることはなかった」…と書いてあります。これが本当なら、マジで優しい上司じゃないですか。「ドブ泥な下衆校長」から痛い目に遭わされた私としては、この点だけで、平清盛の評価が爆上がりです。
 他の人物についても、この様な感じで「意外な一面」が紹介されていきます。その「意外な一面」は、これまでの資料に不備があると分かったり、最新の研究で判明したりして、明らかになってきた様です。読んでいると、かなり「目から鱗」なのではないでしょうか。
 そうやって様々な人物について読み進めていくと、その人物についての一般的な評価は、あくまでも「ある面からの見方」に過ぎなかったと分かってきます。別な面から見れば、その人物の別な姿が見えてくる訳です。
 これが、「多方向から物事を見る感覚を養う」事に役立つんじゃないかな…そう、私は思っています。
 令和6年8月に発売されたばかりなので、もしかすると近所の本屋にもあるかもしれません。本屋へ行ったら、ちらっと見てみては如何ですか。
 …と言う事で、この最終段落まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。今日または明日、皆様が良い一日を過ごせるよう願ってます。
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急な変更

2024-09-11 04:30:00 | 介護狂詩曲
 水曜は介護狂詩曲。今回は、急な変更でビックリした話です。
 令和6年8月某日の朝の事です。夏休み中なので、朝食の後はコーヒータイムが出来ると思っていたら、実家から電話がかかってきました。
 電話に出ると、「今日の診察は10時からだけど、午後のリハビリに遅れたら困るんだよね」と母が言うではありませんか。これだけ聞いても、何を言いたいのか少しも分かりません。仕方がないので、実家へ行って聞いてきました。
 結論としては、この日は内科の診察が10時45分からあるけど、午後のデイサービスセンターのリハビリに間に合わなくなりそうだから、ちょっと心配なんだ…と、母は言いたいらしいです。内科の診察なんて30分間くらいですから、「大丈夫だと思うよ」と私は言いました。
 すると、「昨日、電話したら早くしてもらえるって」と続けてくるではありませんか。
 何ですと! (@_@)
 何時に変更したのか聞いても、いつも通りハッキリしません。
 仕方ないので、病院に電話してみました。病院の話では、予約を変更した訳ではなく、早く来てもらったら空いた時間に診察しますよ…と説明したと言う話らしいです。
 あ~、良かった。因みに、待ち時間は30分から40分の可能性もある…との事です。
 それを母に伝えると、「あんまり早くならないのか…」と気落ちした様子です。「まぁ、それでも少しは早くなるよ。今から出発すれば、9時50分には着くんじゃない」と声を掛け、自宅に戻って出発準備をし、急いで出発しました。
 結果としては、9時40分頃には到着し、9時55分頃に診察できました。もちろん、予想通り30分間くらいで終わったので、午後のリハビリには影響なしです。
 被害に遭ったのは私だけ…ま、しゃーないです。
 そうそう、出発前に、「今度は、時間を変更したら直ぐに教えてね」と母へ伝えました。すると母は、「時間を変更してないよ」と言うではありませんか。おそらく、母の中では「時間を変更した」のではなく、「少し早めに病院へ行く」って事なのでしょう。
 うん、母の中では整合性があります。周りの人は理解できないでしょうけど。 (^_^;)
 …と言う事で、この最終段落まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。今日または明日、皆様が良い一日を過ごせるよう願ってます。

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粘土はトレペで片付け

2024-09-10 04:30:00 | 教育
 月・火曜は学校教育に関する話です。今回は、1年生の図工です。
 札幌市の場合、1年生が入学する際、大半の小学校で油粘土と粘土板(カッターマット兼用)を購入する事になっています。これは個人持ちの教材として、入学する全家庭に購入してもらいます。
 その粘土、1年生の教科書に出ている正式な教材だと、「ねんどでごちそうなにつくろう」と「いっしょにおさんぽ」の2つ、選択教材の「すなやつちとなかよし」を入れても3つしかありません。もちろん、他にも絵を描いたり、工作をしたり、造形遊びをしたり…と忙しいですから、仕方のない面もあります。
 でも、粘土は指先を使うので感覚が鍛えられます。目で見ながら、指先で形作っていくので、もしかすると認知機能の向上にも役立つかもしれません。もっと、多用したい教材の一つです。
 粘土が敬遠される大きな理由として、後片付けが面倒…と言う事があるかもしれません。
 油粘土を粘土板の上で使わせると、使用後は粘土板も手も油でべたべたになります。これを片付けさせる手間を考えると、あまり粘土を使わせたくなくなる気持ち…まぁ、分からないでもありません。
 他の方は知りませんが、私は教室にトイレットペーパーを常備しています。もちろん、様々な用途に使うので、価格帯の1番安い商品のシングルロールを使っています。ダブル…二枚重ねは勿体ないので使いません。
 粘土板を片付ける時は、このトイレットペーパーを使います。30cmくらいの長さで切らせ乾拭きさせます。1回で拭き切れない時は、もう1回、新しいトイレットペーパーで拭かせます。拭き終わった後は必ず点検していますが、ほとんどの子は2回目で拭き切れます。慣れてくると、1回目で拭き切れる子も増えてきます。
 要注意は、トイレットペーパーに水を付けさせない事。水拭きすると汚れが落ちる…と思っている子が多いので、べちゃべちゃにして大変になります。
 2学期最初の図工では粘土を行ったのですが、子供たちからは好評でした。子供たちも、割と粘土遊びが好きなんだと思います。
 …と言う事で、この最終段落まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。今日または明日、皆様が良い一日を過ごせるよう願ってます。

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物語でイラスト描き

2024-09-09 04:30:00 | 教育
 月・火曜は学校教育話です。今回は…いや、今回「も」テキトーくさい実践を紹介します。
 時々ブログにも書いてますが、最近の低学年児童は話が聞けません。静かにしているから聞いているだろうと思ったら、話し終えた10秒後に、説明した内容について質問してくる事があります。
 話を聞いているかどうか、パッと見て分かる方法はないか…考えた末に思い付いたのが、物語を聞いてイラストを描くと言う活動です。概ね、こんな感じで進めました。

私「国語のノートを開きます。日付やページを書きましょう。
  (準備が出来たと確認したら)これから、先生が短い話をします。
  それを聞きながら、その話の通りに絵を描いてください」
子(口々に)「え?」「どう言う事?」「どんな風に書くの?」
 余りにも混乱している様子なので、試しに1つ話をしました。書画カメラでノートをテレビに映し出し、話しながらイラストを描いていきます。
 これを見て、子供たちも何をすれば良いかが分かったようです。
私「では、話を始めます。
  昔々の話です。かんかんと、お日様が照りつける暑い日の事でした。
  (少し間を取り)道の真ん中に、大きな大きなリンゴがありました。
  (少し間を取り)その横に、巨大な棒人間がやってきました。
  そして、リンゴの上の方を囓りました。『ん~、美味い!』
  (少し間を取り)棒人間とは反対側には、ダンゴムシがやってきました。
  『これは素晴らしい。僕の家にしちゃおう』ダンゴムシは言いました。
  そして、自分が住めるくらいの穴をあけ、リンゴの家が完成しました」

 描いてほしい要素は4つ、「お日様」「リンゴ」「棒人間」「ダンゴムシ」です。どれも簡単に描けるものばかりなので、10分間もかからずに全員が書き終わりました。
 この後、描き終わった子からノートを持ってこさせ、全員分をチェックしました。私がチェックしたポイントは、

1.4つの要素が入っているか。
2.リンゴは、棒人間と同じくらい大きく描けているか。
3.棒人間とダンゴムシは、リンゴを挟んで反対の位置になっているか。
4.棒人間やダンゴムシが囓った跡が、きちんと描かれているか。

…の4点です。この程度なら、1人10秒くらいでチェック出来るので、5分程度でチェック完了出来ました。
 結果ですが、チェックポイントの4点の内、半数以上は3点目まで描けていました。私が思っていたより、ずっと話を聞けている感じです。
 思い付きで行ったテキトー実践ですが、なかなか面白い結果となりました。
 …と言う事で、この最終段落まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。今日または明日、皆様が良い一日を過ごせるよう願ってます。
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ダニー…お前って奴は…【後編】

2024-09-06 04:30:00 | 自分
 金曜は、月~木曜に入らないテーマです。今回は前々回(R6.8.23)の続きで、思わぬ事で大変なめにあった話をします。
 令和6年8月10日、ダニの頭部と嘴が皮膚に残っていると分かり、翌日、病院へ行こうと決めた私。ダニが襲ってきたのは、お墓参りをした8月7日だろう…と考えました。
 ダニは私の左肩に喰らいついたのでしょうが、暑くて寝返りを打った時、私の体重で潰されて死んだのだと思います。そして、からっからに乾燥した死骸となって、10日の夜、私に発見された…と言う事ではないでしょうか。
 翌11日、ネットで調べると皮膚科でも対応可能と書いてあったので、休日診療をしている皮膚科に行ってみました。
 ところが、事情を説明すると、「ダニだと切開手術しなくてはならないので、形成外科の先生が診なくてはなりません。今日は皮膚科の先生しかいないので、他の病院へ行ってください」と断られてしまいました。
 仕方がないので、病院の外へ出て、iPhoneで休日当番病院を調べました。地下鉄に乗って行けば何とかなりそうです…が、行く前に電話をして形成外科の先生がいるか確認しました。
 いると分かったので、炎天下、頑張って病院へ行きました。
 外科とは言え休日当番病院なので、30分くらい待たされてから診察です。
 事情を説明すると、当番医の先生は刺された場所を確認して、「あ、これはダニですね。嘴が残ってるから、切開手術して、皮膚ごと取っちゃいましょう。そんなに大きく取りませんが、一針だけ縫いますね」と言って、直ぐ、手術の準備を始めてくれました。
 まず、麻酔注射です。おそらく4回か5回注射されたと思うのですが、最初の1回はちくっとしましたが、2回目はほとんど痛みが無く、3回目からは刺されている感じもしませんでした。
 その後、左肩の辺りで何やら作業しているとは分かりましたが、具体的に何をされているかは分かりませんでした。自分の時間感覚的には、おそらく5分以内に終わったと思います。実に簡単な手術です。
 この後、飲み薬と塗り薬の抗生剤および痛み止めと胃腸薬をもらって帰宅となりました。一針程度なので、麻酔が切れても大した痛くはなく、痛み止めは飲んでいません。
 8月21日頃になったら、皮膚科か外科の病院へ行き、抜糸してもらう必要があります。この時期の病院は混雑するので、また時間がかかりそうで気が滅入るなぁ。
 たった1匹のダニの為に、えらい面倒な事になったものです。はぁ~。

 ところで、令和6年9月4日の記事に、「いいね」などをいただきました。本当に、いつも、ありがとうございます。
 …と言う事で、この最終段落まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。今日または明日、皆様が良い一日を過ごせるよう願ってます。
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王道時代劇+αの面白さ『幕府密命弁財船・疾渡丸』

2024-09-05 04:30:34 | ライトノベル
 木曜はラノベ愛語り…なのですが、今回は(今回も)ラノベではありません。時代小説を紹介します。
 今回紹介する作品は、早川隆先生の『幕府密命弁財船・疾渡丸(一)』です。中公文庫から令和6年8月20日に発売となりました。

子供と大人を主役に据えた漫遊物
 物語は、物品・金銭・人物・情報が集まる各地の湊(ミナト)へ向かい、天下太平を乱す動きを封じる密命を受けた疾渡丸(ハヤトマル)の乗組員達が活躍する…と言う内容です。各地を旅して悪を討つと言えば、「水戸黄門」などと同じ展開な訳で、時代劇の王道パターン「漫遊物」の仲間と言って良いと思います。まぁ、気ままに旅している訳ではなさそうなので、純然たる「漫遊」とは言えないかもしれませんが…。
 この手の作品らしく、本作の登場人物は個性的で魅力的です。それぞれが各地の湊で活躍するのでしょうが、1巻目に掲載されている2つの物語、「那珂湊・船出の刻(トキ)」と「銚子湊・巾着切(キンチャクギリ)」を読む限り、主人公は2名のようです。
 1人目は船頭(船長)の虎之介。経験豊富で船を操る腕が良く、なかなか情に厚い感じの人です。船に乗っている幕府の隠密・仁平とも親しく、互いに信頼し合っている様に感じられます。
 もう1人は、ひょんな事から疾渡丸の炊(カシキ)として雇われた鉄兵。父親を海で亡くし、母が寺に預けた結果、那珂湊(ナカミナト)で暮らす孤児となった少年です。観察眼が鋭く、頭が良く回り、度胸もあります。
 この2名を主人公と考えたのは、物語の中で両名それぞれに、心を動かす出会いがあったからです。この2名以外の登場人物も、色々と出会いがありますが、2つの物語の両方で出会いがあったと言う点で、本作(第1巻)では、この2名が主人公と私は考えます。
 因みに、主人公の定義は色々とあるのですが、今回採用した定義は、昔々に受けた研修会で教わった「作品の中で心情に変化が発生した登場人物」を基にして考えています。この考え方ですと、『ごんぎつね』の主人公は「ごん」ですし、『大造じいさんとがん』の主人公は「大造じいさん」となる訳です。
 片方の主人公に少年である鉄兵を配置した事により、この物語は単なる「漫遊物」ではなく、少年の成長物語の要素も含んできます。「江戸時代が舞台で湊から湊への旅」と「未来が舞台で駅から駅への旅」と言う違いはありますが、大枠で考えると『銀河鉄道999(スリーナイン)(以下、999と略記)』に似ているかもしれません。

子供時代と決別し少年は旅立つ「那珂湊・船出の刻(トキ)」
 第1巻の第1話と言う事で、この物語は疾渡丸が完成し、船出するまでの物語です。
 ここでは、鉄兵と疾渡丸の乗組員たちが出会う話と、虎之介と父親が再会する話が、縦糸と横糸の様に物語を紡いでいきます。この2つの話、何の関連もなく進んで行くのですが、最後のクライマックスである船出の場面で重なり合ってきます。
 ネタバレになるので、これ以上は書けません。気になる方は、是非とも本作を読んでみてください。
 鉄兵だけに絞って書くと、疾渡丸で船出すると言う事は、これまで一緒に生活していた孤児仲間との別れを意味しています。それは同時に、他者の力に頼って生きてきた子供時代と決別し、自分の力で生きていく事を選択した事も意味しています。
 本作では、その選択と決断に相応しい、門出を祝う…いや、門出を応援する様な場面が展開されます。その場面で重要な要素に「波」と「しぶき」があるのですが、それを読んでいて私は、「銀河漂流バイファム(以下、バイファムと略記)」の最終回を思い出してしまいました。
 バイファムでは、地球に戻る子供たちと、異星人の星に行って両親の探す子供たちが、それぞれの宇宙船に乗って別れます。その際、地球に戻る子供たちの宇宙船から、大量の紙ヒコーキが発射されます。賛否両論でしたが、異星に向けて旅立つ仲間に向けた応援のメッセージとして、無数の紙ヒコーキが宇宙空間を飛んでいく場面…最高に感動的だったと思います。
 話を「那珂湊・船出の刻」に戻します。疾渡丸が船出する際の波、その後のしぶき…それらが、私の中でバイファムの紙ヒコーキと重なってしまいました。
 どちらも子供時代と決別して旅立つ場面であり、その門出を応援するかの様に船の周りに広がっています。紙ヒコーキも、しぶきも。何と美しく、何と優しい場面なのか…いい歳をした「おじさん」ですが、ぐっと来て目頭が熱くなってしまいました(でもって、読んでいる頭の中には、バイファムの紙ヒコーキ場面で流れていた「君はス・テ・キ」が流れている…笑)。
 もう、この第1話だけでハート鷲摑みです。

子供の出会い・大人の再会「銚子湊・巾着切(キンチャクギリ)」
 続く第2話は、急いで船出したため準備不足だった疾渡丸が、銚子湊に寄港した事で事件に巻き込まれる…と言う話です。
 この第2話では主人公の2名に、それぞれ出会いがあります。鉄兵は巾着切、つまりスリの少年と出会い、虎之介は旧友と再会します。
 この2つの出会いは、最初は別々の話として進みますが、後半になると少しずつ絡み合ってきます。ネタバレになるので、これ以上の詳述は避け、また鉄兵に絞って書きます。
 巾着切と鉄兵の出会いの場面、ここは追跡アクション場面となっています。そこを読んでいくと、鉄兵の観察眼の鋭さや頭の回転の良さが、読者にも伝わってきます。また、巾着切を捕まえた後の鉄兵の態度は、彼が他者への敬意を持ち合わせている、なかなか立派な性格の少年だと感じさせます。
 そんな鉄兵と巾着切の間に、ある種の友情が生まれてくるのは自然な感じで、無理のない展開だと私は思いました。だから事件が片付いた後、銚子湊から出て行く疾渡丸の鉄兵に向け、巾着切が飛び跳ねて何かを伝えようとしている場面、これも自然で微笑ましいと感じました。
 そして、ここで私の頭に思い浮かんだのが999です。
 訪れた星々で様々な出会いがあり、事件があり、それらを通して成長する主人公の星野鉄郎…ん? 鉄郎? 疾渡丸に乗ってるのは鉄兵。似ている…もしかして、作者の早川先生も意識して命名したのでは?
 単なる「おじさん」の思い込みかもしれませんが、「江戸時代が舞台で湊から湊への旅」と「未来が舞台で駅から駅への旅」は、かなり意識されているのかもしれません。そんな事を考えると、第2巻以降の展開が非常に気になる作品です。
 …と言う事で、この最終段落まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。今日または明日、皆様が良い一日を過ごせるよう願ってます。
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スイカ連続攻撃・後編

2024-09-04 04:30:00 | 介護狂詩曲
 水曜は介護狂詩曲。今回は前回(R6.8.28)の続きで、介護保険の見直し調査から思った事…に関連した話を。
 介護保険の見直し調査的には「整合しない」母ですが、母の中では整合しています。だから、普段の生活は勿論、銀行振り込みなども問題ありません。
 ただし、母以外の人が関連してくるとなると、色々と問題が発生します。その一つが、令和6年8月に発生した「スイカ連続攻撃」事件です…と言うのが前回の話でした。
 では、その「スイカ連続攻撃」事件について。
 まず8月の初日頃、実家に行くと見事なスイカが出てきました。見れば、「でんすけスイカ」と書かれた素晴らしい箱があります。「でんすけスイカ」と言えば札幌では高級スイカで、我が家では滅多に食べる事が出来ません。「どうしたの、コレ?」と聞こうとした時、母が言いました。
「ところで、▽▽や△△は、いつ帰ってくるんだい?」
 ▽や△には孫の名前が入ります。…そう、母は孫たちに食べさせるつもりで買ってきたらしいのです。
 でも、孫たちは8月の末にならないと帰省してきません…って話、先週、一緒に御飯を食べた時に言ったよね?
 これ、母の中では整合性があるのです。

1.お店で素敵なスイカを見た。
2.孫たちに食べさせてあげたい。
3.よし、買って帰ろう。
4.あれ、孫たちがいない。
5.孫たちは、いつ帰ってくるの?

 第三者的には笑える状況ですが、母の気持ちを考えると、とっても切なくなる出来事でした…が、これだけでは終わりません。
 8月10日頃、今度は大きいスイカと小さいスイカの2個が、箱に入った状態で玄関に置かれていました。どうやら、生協さんの宅配便で買ったようです。しかも、何故か毎週届くらしいのです。
 母の気持ち的には切ないですが、取り敢えずスイカを片付けなくてはなりません。何せ、孫たちが帰省するまで2週間ほどありますから。覚悟を決め、五十代の夫婦2人でスイカを半分食べるしかないでしょう。
 いや、第三者的にはメッチャ笑える状況です。泣きと笑いの塩梅も良くて、正に「日本の喜劇」って感じですよね。はぁ~。
 …と言う事で、この最終段落まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。今日または明日、皆様が良い一日を過ごせるよう願ってます。
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そうじナッジ開始! 後編

2024-09-03 04:30:00 | 教育
そうじナッジ開始!
 月・火曜は学校教育話です。今回は前回(R6.9.2)の続きで、「そうじナッジ」について語ります。 
 「そうじナッジ」を始めるため、まず、掃除は何のために行うのか…「目的」を確認しました。次は、どの様に行うのか…「目標」の確認です。

私  「じゃ、教室を綺麗にするため、どう言う事を頑張りたいですか?」
子4 「丁寧にやる!」
私  「確かに、丁寧にする事は大切だよね」

 「ていねいにやる。」と板書する。

子5 「隅っこまで、きちんとやったらいいと思います」
私  「適当にやるんじゃなく、きちんとやるって事ですね」

 「すみまで、きちんとやる。」と板書する。

子1 「みんなで力を合わせてやる」
私  「協力してやるって事ですね」

 「きょうりょくしてやる。」と板書する。

子6 「床とかピカピカにする」
私  「ピカピカになったら、来年の1年生が喜ぶでしょうね」

 「ぴかぴかにする。」と板書する。

 意見が打ち止めになったらしく、挙手する子がいなくなる。

私  「OK。
   じゃ、今日の掃除から、『教室を綺麗にする』為に頑張りましょう。
   その時、今、出てきた4つの目標を意識してやるといいですね」

 最後の言葉は、「ていねいにやる。」「きちんとやる。」「きょうりょくしてやる。」「ぴかぴかにする。」を指差しながら言いました。
 こうして、「そうじナッジ」を開始しました。
 この記事を作成している令和6年8月30日まで4日間、掃除をしてきました。今のところ、1学期よりテキパキ作業を進めており、振り返りの時間(1分間くらい)を確保できる程度には、早めに掃除が終わっています。
 今後も気を抜かずに取り組む必要はありますが、今のところ順調と言えそうです。
 なお、毎回の振り返りは重要なので、少し記録が溜まったところで、また記事にしたいと思います。

 ところで、令和6年8月29日のブログにも、「いいね」などをいただきました。いつも、本当にありがとうございます。連続でいただけて、ヤル気が大幅上昇です! 
 …と言う事で、この最終段落まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。今日または明日、皆様が良い一日を過ごせるよう願ってます。
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