京都議定書目標達成計画の進捗状況(平成25年4月5日)を見直してみた。
これまで、日本は地球温暖化防止のための温室効果ガスの排出削減対策(低炭素施策)として、何をどのように実施し、どれだけの効果を得てきたのか(得てこなかったのか)。
これまで実施されてきた施策のメニューは多いが、特に削減効果がはっきしており、大きな効果をあげてきた対策はいくつかに絞ることができるだろう。
産業界の自主的取り組み、省エネ法による自動車や設備等の単体のエネルギー効率改善、再生可能エネルギーの普及等が削減効果が大きかった施策ということができるだろう。物流の効率化、省エネ建築等も、成果をあげてきた施策といえるだろ。施策手法でいえば、自主的取り組み、直接的規制、補助金等の経済的手法等が、これらの施策のうまく使われてきたといえる。
これらの成果をあげた施策の特徴は、環境と経済の統合的発展という方向に合致する施策であったということである。経済活動を抑制せず、むしろ節電による経済メリット、環境ビジネスという機会創出を促す施策であったからこそ、これらの施策が積極的に実施されてきたといえるだろう。
中央環境審議会地球環境部会「2013年以降の対策・施策に関する報告書」平成24年6月では、これまでの施策をさらに強化していく方向を示している。第4次環境基本計画(平成24年4月)では、2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を示しているのであるから、さらに革新的な技術の導入や本格的な技術普及をしていく必要があることははっきりとしている。
さらに、高度な技術の開発、環境と経済の統合的発展というこれまでのやり方は、今後も踏襲され、発展していくのだろう。
しかし、技術中心、行政(国)と企業の主導というやり方だけに任せておくだけではいいとはいえない。大きな経済における大きな対策が必要だとしても、小さな経済の小さな対策、地域における社会変革を伴うアプローチ、市民が本気で主導する社会づくりの芽をつぶしてはならない。
低炭素社会づくりが、トップダウンで提供される画一的なものとならないように、多様で重層的なものであり続けられるように、地域からの取組みを怠ってはならない。