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サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

気候変動適応フォーラム

2010年07月25日 | 気候変動適応
環境研究総合推進費S-8を事務局として、7月23日(金)に「気候変動対応フォーラム」が開催された。

内閣府総合科学技術会議議員の相澤益男氏の開会に始まり、S-8研究リーダーの三村先生が気候変動対応研究の全体像と目標を整理され、それを構成する気候変動予測研究、関連データの統合、影響評価・適応策研究の内容が紹介された。

休憩をはさみ、法政大学の田中先生が「地域における温暖化影響・適応策の課題」を整理し、岡山県真庭のバイオマス新素材工場、情報通信インフラの導入実験、JSTの低炭素社会戦略センターといった最先端の具的的取組みが示された。

これらの動きは、先の6月22日に閣議決定された「新成長戦略」において、ライフイノベーションともに、成長分野の1つに位置づけらたグリーン・イノベーションを推進する科学技術戦略を構成するものである。

同戦略は、「我が国が気候変動に速やかに対応し、世界をリードしていくためには、気候変動を単に回避するという受身的な考え方ではなく、科学技術の飛躍により新たな社会と価値を創りだす絶好の機会と捉え、国を挙げて挑戦していくという発想の転換が極めて重要である」という思想で、方向づけられている。

イメージとして、横軸に時間、縦軸に(気候変動を織り込んだ)社会経済成長をとった場合、なりゆきシナリオではゆるやかな右肩あがりに過ぎないが、これに緩和策と適応策をあわせて実施することで、右肩上がりを強めていこうと図が示された。

適応策については、日本全体の温暖化による影響(被害コスト)は2090年で20兆円/年程度と予測され、緩和策により気候を安定化したとしても、15兆円程度の被害コストが残されるため、さらにその軽減を図るために必要というデータが示された(S-4の研究成果)。

また、金子郁容先生は、栗駒と奥多摩という特定の地域で、情報通信を使って、気候情報をリアルタイムに提示し、農業や生活者をナビゲートするという社会実験を報告された。この実験では、情報通信を使うことで、社会関係資本の強化を狙いとしている。

私は、
適応策というと、将来の不確実性を伴う気候変動リスクに対する未然防止策という考え方にたち、リスクマネジメントの手法を地域政策に落とし込む機会にしようと考えていた。

しかし、このフォーラムでは、適応策は、未然防止どころか、機会追求(成長チャンス)の土俵にのせていくという野心が示された。

適応策もまた、気候変動という課題解決を成長機会として捉え返し、IT利用、社会関係資本の再構築という現代的ツールを活用する応用分野の1つとして、巻きとられている。

なんかすごいことになっている。地域の主体性や地域住民の不在感を感じたのは、私だけだろうか。この違和感を埋める仕事をしなければと感じた次第。。。
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