サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

環境コミュニティ・ビジネスのマーケティング

2010年07月19日 | 環境と経済・ビジネス
11日から14日まで、長野県飯田市での現地ヒアリング調査を行い、長野市に移動して、信州大学経営大学院での講義をしてきた。

飯田市でのヒアリングは、地区公民館活動と市民共同発電事業の関係形成を掘り下げるもので、地方都市における結合的社会関係資本とNPOとの連携プロセスを明らかにしてみたい。

信州大学の講義(環境コミュニティ・ビジネス論)では、その飯田市で実施した住民アンケート調査の結果を、環境コミュニティ・ビジネスのマーケティングデータとして紹介した。

マーケティングにおける、いわゆるセグメンテーションとターゲッテイションを行うためには、環境コミュニティ・ビジネスでは地域内における環境消費者の分析を行う必要がある。

しかし、地域における環境関連の住民調査は、行政が行うエコライフ調査が中心であり、市場分析としてはもの足りない。

私が飯田市で実施したアンケート調査も、太陽光発電の設置に係る意識・行動モデルを探ることなどを主眼としており、いわゆるマーケティング調査ではない。ただ、いろいろと分析してみると、市場データとしても面白い結果が見えてくる。

例えば、環境配慮行動の実施度から住民のグルーピングを行うと、環境配慮行動の実施度が著しく高い層は高年齢層、無職や主婦の方である。こうした環境熱心層が環境コミュニティ・ビジネスのターゲットになるかというと、そうではないだろう。伝統的で節約型の暮らしをきちんと行っている層で、購買意欲が高いわけではないからだ。

また、環境配慮度の実施度と環境情報の入手先をみると、熱心な層は地域メディアも含めて、多様な媒体から情報を入手している。しかし、非熱心層はいかなるメディアの利用率も低い。つまり、いろいろな媒体を使って広報を行っても、非熱心層には環境情報が届かない。

では、環境コミュニティ・ビジネスは、誰をターゲットに、どのような商品・サービスを提供し、どのような媒体で広報を行うべきか。

その答えは、飯田市の市民共同発電事業や最近、盛り上がっているキャンドルナイト(月宵祭り)の中にある。前者は幼稚園等で父兄を巻き込んだ、環境学習活動を積み重ねており、30代の支持を強く得ている。キャンドルナイトは、若い人の完成で、1万人も集まったという。飯田市から学ぶことは実に多い。

明日は、荒川区に行き、エコポイント事業の事例紹介や提案等を行う。環境配慮を促すインセンティブをつくるのがエコポイント事業だが、人によってインセンティブは異なる。ここでも、環境マーケティングの必要性を話してみたい。
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