サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

トヨタの森10周年

2007年11月11日 | 環境と森林・林業
11月9日、トヨタの森の10周年行事に参加してきた。渡辺社長の挨拶から始まり、これまでの10年の取組と今後の展開方針の説明、只木先生の講和というプログラムであった。

これまでの10年の取組と私との関わりは、1990年代前半の「環境緑化」に係る調査研究の委託から始まる。トヨタの環境部と総務部、バイオサイエンス事業部が集まり、各々が緑化にかかる課題を抱えているが、トヨタとしては緑化については後進なので、勉強をしたいとことであった。

緑化といっても、砂漠化や熱帯雨林の破壊、日本の原生林、人工林、都市緑化等様々であり、その中で「里の緑(里山)」に注目すべきというとりまとめをしたように記憶する。当時、里山という言葉は十分に認知されていなかった。

そして、森林関係の有識者を集めた研究会「杜の会」が1996年にスタートする。私は、森林や緑化のことをほとんど知らなかったが、佐々木先生や只木先生、武内先生、篠原先生、細田先生、有馬先生といった大御所の話やゲストの話が面白く、本を大量に買い漁り、読んだことを思い出す。

それから10年。環境教育の指導者養成、地域の学校教育への貢献等で、トヨタの森は活動を積み重ねてきた。白川での自然学校のオープン、海外への展開など、拠点も整備されてきた。

トヨタの森プロジェクトはこれからどこに行くのか。今回のイベントで抽象的ではあったが方向性が示された。二酸化炭素を排出する自動車にあって、森林による二酸化炭素吸収、バイオマス利用により、カーボンの持続可能な循環を実現していくというものである。

いよいよ本業と森づくりを一体としていく方向性が、トヨタの側から出てきた。しかし、自動車というものづくりとエネルギー消費は、巨大な人工循環系である。それと森林・バイオマスという自然循環、あるいは里山というコミュニティ循環はスケールが合わない。

トヨタ自動車が、コミュニティ循環と本業との折り合いをどうつけていけるのか、これからが試金石である。私も機会があれば、提案をしていきたい。

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