サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

「環境情報学のすすめ」を読んで

2009年07月13日 | 環境と情報
 末石冨太郎先生の講義で、「環境情報学が必要だ」と言われたことが、ずーっと頭の片隅にあった。

 しかし、それ以上の記憶がないので、先生にメールで聞いてみた。直ぐに3本の論文(講演録)を紹介してくれた。1990年前後のものである。

 取り寄せて読んでみて、面白かった。私が、いろいろと経験をして、ようやく結論づけてきたようなことを、先生は20年近く前に、既に指摘している。先達者とは、このことを言うのだろう。

 先生が捉える環境情報とは、自我を拡張し、自律を促す手段である。そして、公益判断の独善性を回避し、民主主義を支援するために情報システムが必要であると説く。

 最近、環境省が作成した環境情報戦略における情報は、第一次情報の収集・提供を中心としたものである。これは情報を持てるものの情報公開(第一種情報公開)を議論の範囲としている。しかし、先生は第二種情報公開として「情報の出し手としての市民」、第三種情報公開として「知った後の責任」にまで論及している。

 アカデミックで手の届かない雰囲気をかもし出す先生であるが、市民社会を志向する立場であることが、環境情報論の記述の随所に現れている。

 市民と政治や経済、エネルギー、技術等が乖離してきたことが、環境問題も含めて近代の問題の根底にある。情報は自我に働きかけることで、乖離した対象を同化させ、意識と行動の調整を行わせる。

 そうして期待された高度情報社会は、インターネットの爆発的な普及により、現実のものとなってきた。しかし、近代の問題は未だ解決を得てないのはなぜかだろうか。

 情報の氾濫のなかで、不健全な方向に同化と調節が行われている。現実が主であり、情報が補完する世界ではなく、バーチャルが主となる世界に生きてしまう人も多いのではないだろうか。

 どうしたら、市民社会をつくる手段として、本末を失わない境情報学を確立することができるのだろか。この答えを先生に問うたら、なんと答えてくれるのだろうか。

 先生の講演録の1つのタイトルは、「環境情報学のすすめ」である。”すすめ”にのってしまった私は、もう少しこのテーマを掘り下げていきたい。
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