横浜環境ビジネスネットワーク メールマガジン【11月19日配信】
コラム【第8回】環境ビジネスのプランニング支援ツール
環境ビジネスの創始者は、そのビジネスのアイディアをどのように得たのだろうか。個々のビジネス主体からみれば、アイディアは閃きであり、論理的な方法で生み出したものではないという場合が多いだろう。
しかし、環境ビジネスの創出のプロセスを分析し、その知見をもとに、エコビジネスのプランニングを支援するツールを開発した研究がある。この研究では、既存の環境ビジネスのアイディアは、顧客の求めるニーズをきっかけとする場合と、自社が保有する技術、設備、販路等のシーズをきっかけとする場合があると分析している。
そして、環境ビジネスのアイディアを事業として具体化するためには、環境面と事業面の両面に深い造詣をもった専門家の存在が必要となることを指摘している。しかし、環境面と事業面の両面に詳しい人材は企業内で希少である。このため、環境ビジネスのプランニングを支援する外部ツールが必要となる。
開発された環境ビジネスのプランニング支援ツールは、検討手順に即して、入力フォームや参考情報を提供するパソコン上のソフトウエアである。
このツールは、ニーズ分析、アイディア発想、アイディア結合、アイディア評価、ビジネスモデル策定といった5つのパーツに分かれ、各パーツの画面では検討して入力すべき項目が表示される。また、環境ビジネス事例データベースを参照することができ、チームによるブレインストーミングを活性化させる。
以上は、大阪で環境ビジネスのコンサルタントを行っている中村信夫氏の博士論文の研究の紹介である。同氏は、さらに創造性や直観を重視したプランニング支援の手法も検討している。
筆者は、(地域密着性が強く、地域貢献を意図する)地域環境ビジネスにおいては、地域資源(地域にあるもの)と社会関係資本(人と人とのつながり≒コミュニティ)の活用が重要であると考えている。
つまり、地域環境ビジネスにおけるシーズは企業だけでなく地域にあるものの全てである。また、地域環境ビジネスは、特定顧客のニーズだけでなく、地域における公益性もニーズと捉え、地域行政との連携を重視する。こうした地域環境ビジネスの検討に、中村氏のツールが活用できればと考えている。