サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

安全・安心の観点から地球温暖化防止の見直しを

2011年09月13日 | 気候変動適応

 当たり前のことだけど、気付いたことがある。それは、温暖化対策の目的として、もっと人間の安全・安心の確保を強調したらどうかということだ。

 もちろん、日本政府が国際的に約束した削減目標や地球全体の二酸化炭素排出量を削減するという目的を達成するために、これまで化石燃料を貪ってきた先進国の一員として、貢献しなければいけない。これは義務であり、約束である、

 義務や約束を守ろうとすると、負担になる。そこで、経済とのWINWINやグリーンイノベーション等という方便が持ち出し、主体的な取り組みを引き出そうとしてきた。

 しかし、温暖化対策の目的は、自分たちの安全・安心の確保と考えたらどうだろうか。先進国であっても、温暖化の影響を受けている。その影響は既に発生しているし、今後も影響が深刻化する恐れがある。そうした問題を回避し、高温化や降水量の増大を回避・抑制すること、つまり安全・安心を確保することが、地球温暖化対策の目的であるとしたら、どうなるか。

 そうすると、他者のためにだけでなく、自分たちのためにというインセンティブを持てることになる。他者のための行動と自己充足を両立させる工夫をするのでなく、そもそも自分のために行動をする方が行動は採用されやすい。

 また、安全・安心の確保を評価基準として施策が立案されることになるから、緩和策(温室効果ガスの排出削減)だけでなく、適応策(温暖化影響の回避・軽減等)も含めた議論がなされることとなる。もちろん、先進国としては帰属責任において、また南北問題への配慮において、緩和策に従来どうり、強く取り組むことは不可欠であるが、それに適応というもう1つの対策を追加することになる。

 さらに、安全・安心の確保を目的とするであるから、低炭素目的を重視するあまり、他の面での配慮に欠ける施策は認められないことになる。原子力がその代表例である。また、分散型電源も低炭素というだけでなく、エネルギー不足における安全・安心の確保という観点から位置づけ直すことができるだろう。

 気候変動からの安全・安心だけでなく、放射能からの安全・安心、エネルギー危機からの安全・安心等も含めて、安全・安心をクライテリアとしたとき、もっとバランスのとれて、社会に根づきやすい、合理的な低炭素施策が創造できる。

 

 

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