法政大学では、「地域における地球温暖化の影響と適応策」の研究を担当している。
昨年7月のプレック研究所のプロジェクト発表会の日に、市ヶ谷で下車し、会場に向かって歩いているとき、法政大学の田中充先生にばったりと出会った。
その時、掲題の研究の体制について相談を受け、深くも考えずに「やりますよ」と応えたのがご縁の始まりだった。もとより、私は努力して拓く無理な道より、偶然の出会いで見えた道を歩くことが好きな性質。偶然の出会いの先にあった道を歩き、転職まですることになった。
さて、当時の私の「適応策」に関する知識は、環境省が「地球温暖化影響・適応研究委員会報告書「気候変動への賢い適応」をまとめたということと、気候変動東京会議2008で適応策をテーマにし、海外の都市とともに共同宣言をまとめたということくらいであった。
東京都の会議に先立ち、東京都から適応策に関する調査を委託された。その際、国立環境研究所にヒアリングに行くこととなり、原沢さんから紹介された松橋さんが対応してくれた。話題は、「緩和策(二酸化炭素の排出削減策)」とも両立する適応策を優先的に実施したらどうか。では、両立する適応策とは何か。」ということだった。
私自身も、「適応策よりも緩和策が優先。緩和策を十分に実施しないで、適応策を検討するのは逃げ道をつくることだ。」だという感覚的な見方から、緩和策と両立する適応策を優先的に検討することに賛成していた。
しかし、適応策の研究は、緩和策を補完するという位置づけに留まるものではなさそうだ。
まず、適応策が温暖化の地域への影響を把握し、それを自分事化することが前提となる。緩和策は、とにかく二酸化炭素の排出量をバックキャスティング的に減らすもので、地域への影響は十分に示さずとも対策を進める。だから、緩和策は自分事化されない面がある。温暖化を自分事化する手法が開発されることの意味は大きい。
次に適応策は、「脆弱性」の改善をキーワードとする。この「脆弱性」の概念整理は今後の課題とするが、影響の受けやすさや影響への対応力を高めることが、適応策の本質である。現代の文明や国土・土地利用、生活・産業様式の「脆弱性」の変革に、適応策が迫れる可能性がある。どこまでできるか。
今後、「適応策」研究の進展を綴っていきたい。
参考:地球温暖化影響・適応研究委員会報告書「気候変動への賢い適応」
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=9853
気候変動東京会議2008
http://www.c40tokyo.jp/
昨年7月のプレック研究所のプロジェクト発表会の日に、市ヶ谷で下車し、会場に向かって歩いているとき、法政大学の田中充先生にばったりと出会った。
その時、掲題の研究の体制について相談を受け、深くも考えずに「やりますよ」と応えたのがご縁の始まりだった。もとより、私は努力して拓く無理な道より、偶然の出会いで見えた道を歩くことが好きな性質。偶然の出会いの先にあった道を歩き、転職まですることになった。
さて、当時の私の「適応策」に関する知識は、環境省が「地球温暖化影響・適応研究委員会報告書「気候変動への賢い適応」をまとめたということと、気候変動東京会議2008で適応策をテーマにし、海外の都市とともに共同宣言をまとめたということくらいであった。
東京都の会議に先立ち、東京都から適応策に関する調査を委託された。その際、国立環境研究所にヒアリングに行くこととなり、原沢さんから紹介された松橋さんが対応してくれた。話題は、「緩和策(二酸化炭素の排出削減策)」とも両立する適応策を優先的に実施したらどうか。では、両立する適応策とは何か。」ということだった。
私自身も、「適応策よりも緩和策が優先。緩和策を十分に実施しないで、適応策を検討するのは逃げ道をつくることだ。」だという感覚的な見方から、緩和策と両立する適応策を優先的に検討することに賛成していた。
しかし、適応策の研究は、緩和策を補完するという位置づけに留まるものではなさそうだ。
まず、適応策が温暖化の地域への影響を把握し、それを自分事化することが前提となる。緩和策は、とにかく二酸化炭素の排出量をバックキャスティング的に減らすもので、地域への影響は十分に示さずとも対策を進める。だから、緩和策は自分事化されない面がある。温暖化を自分事化する手法が開発されることの意味は大きい。
次に適応策は、「脆弱性」の改善をキーワードとする。この「脆弱性」の概念整理は今後の課題とするが、影響の受けやすさや影響への対応力を高めることが、適応策の本質である。現代の文明や国土・土地利用、生活・産業様式の「脆弱性」の変革に、適応策が迫れる可能性がある。どこまでできるか。
今後、「適応策」研究の進展を綴っていきたい。
参考:地球温暖化影響・適応研究委員会報告書「気候変動への賢い適応」
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=9853
気候変動東京会議2008
http://www.c40tokyo.jp/