
夜明けまでのほんの一時、ここに星たちのお祭りが始まります。

やがて小さなちいさな星屑が集まってくるのが見えてきます。
地上の熱気で温められた星たちは一粒ひとつぶゆれながらぶつかり合って
チチ、チチと音をたていつの間にか光の帯になってまあるい空のてっぺんから
南の地平線へと流れ落ちて行きます。
夜空にちりばめられた星たちはかすかな音をお互いに響かせながら
踊り明かします。
チチ、チチ、チ、チまるでタンゴのリズムです。


逞しいわし座のアルタイル、
そして十字の形になって恋の架け橋を渡す白鳥座のデネブが
眩いばかりの銀河の流れの中でその輝きをましながら
ロマンあふれる夢のお芝居を演じます。
この三つの星たちが創る夏の大三角形が西の空に傾く頃には秋がやって来ます。
七夕や秋を定むる夜のはじめ 芭蕉


今日の一枚の絵 「七夕」 竹久 夢二 木版