大人になると、餓鬼の頃と食の好みが大きく変わってくる例は多々あれど、私の場合、この韮だけは例外だと思っていた。
強烈な記憶として残っているのは、大学4年の頃、お茶の水駅前通りにあった「味一番」という中華料理店でのことである。
その店は、我々仲間たちのいきつけで、中華丼の大盛りが当時270円だった。
また、錦華公園を越えたところにあるカレー専門店「ジャイアント」のカレー大盛りがやはり270円と符合したところを考えると、当時のその辺りの値頃感というものがあったのかもしれない。
(もしかすると、290円だったかも知れない、いや290円だった・・・と思う・・・が自信はない。)
まあそれはさておき、いつものごとく「あじいち」に仲間と訪れた私は、先客が注文した「レバニラ炒め」が出てくるのを見て、「美味そう」と思ったのである。
奇しくも連れがそれを注文したものだから、私もつられてつい「俺も」と言ってしまった。
だが、それまで私はただの一度もその料理を食べたことがなかった。
韮自体が初体験だったように思う。
恐らくは、母があまり好きではなかったのだろう。
我が家の食卓に韮が乗っかったことはなかったように思う。
ただ、その存在自体は知っていて、「なんだか臭い草」といったイメージだった。
でも、「もう大丈夫だろう」と、高をくくっていたのである。
それが、実際に食べてみると、「勘違いだった」ことに気づいた。
レバーの独特な臭いに追い打ちをかけるかのような韮特有の臭さ。
おまけにあの噛むとクシクシと音がしそうなしっかりとした食感。
完璧に苦手な料理だったのである。
さりとて貧乏学生には、その一食をただの好き嫌いを理由に放棄する訳にはいかず、うっすら涙さえ浮かべながら無理矢理飲み込んだものだ(吐くかと思った)。
これがいけなかった。
以来、韮という野菜に対して強烈に苦手意識を抱いてしまったのである。
そしてそれは、ついこの間まで、消えなかったのだが・・・
最近ハマった「モツ鍋」によってそれは払拭されてしまった。
実は、隣町である四国中央市にあるモツ鍋屋に月に2回は通っている。
(定休日の半分という計算だ)
一体、あのキャベツや韮が鍋の具として美味いなどという発想は、私の中には露程もなかったのに・・・である、やっぱ、あのだしとモツには必須不可欠な存在だと思う訳である。
分けても、あの韮の癖のある臭いと食感が、この鍋を演出していると言っても過言ではないと思うのである。
こうして私は最近になってようやく韮の価値に気づいたという訳だ。
そういえば、その店に行くと必ず注文するサイドメニューが「レバ刺し」だった。
完全に過去のトラウマは克服したようだ。
で、ある日のこと。
mixiである人の日記に「ニラが安かったのでチヂミを作った」という件(くだり)があって、本場のチヂミを思い出した。
「今度俺もやってみよ」と思い、次の機会に韮を買っておいて、昨晩ようやく実行に移したという話をけふはしようと思う・・・って、導入部の方が長いやん(いつものこと)。
チヂミ専用粉が売られてるが、結構高い。
「普通の薄力粉でええやん」てな訳で、ネットで調べて自分なりに平均化したレシピで作ってみた。
肉も何も入れない。
卵と水で溶いた薄力粉を繋ぎに、たっぷりの韮を焼くだけのシンプルなもの。
タレは代用品として、ポン酢にゴマ油とラー油を垂らしたもの。
これが美味い!
人の好みなんて、ちょっとしたことでその方向性は変わるものだと再認識。
あの頃あんなに嫌だった臭いと食感が逆にアクセントになってしまった。
妙に美味い。
調べてみると、韮は体にも随分といいようで、あるサイトにはこうある。
以下引用ーーーーーー
特有の香りを持つにらですが、その香りはねぎ類などに共通する硫化アリルです。硫化アリルはビタミンB1の吸収率や利用率を高めます。ビタミンB1が豊富な豚肉などと一緒にとると、疲労回復などに効果的です。
また、にらはビタミンA、ビタミンC、ビタミンEの3種類のビタミンを含んでいます。このビタミンの組み合わせは、ビタミンACEといって、それぞれ単独でとるよりも、一緒に摂ることで、互いの作用を高めあう性質があります。
これらのビタミンには抗酸化作用があり、動脈硬化の予防やがんの予防や、肌のはりを保つ効果、ビタミンEには老化予防の効果、血行促進の効果などが期待できます。
ーーーーーーーー以上引用
ええやんか!
凝るとそればかりを食べてしまう性格。
暫くはニラ料理にハマりそうだ。
取り敢えず、けふのランチもチヂミ。
それも今度は豚肉を加えてみよう。
するとどうしても飲みたくなるのがビール。
でも、業務がある。
そんなときにおすすめなのがこれ。
ちょこっとCMどした・・・・
っていうか、店で作ってよ。アテにするからさ
んで、モツ鍋にもつれてってくださいませ~