『日本なしょなリズムの歴史Ⅰ』を読む② 梅田正己著
句郎 梅田正己さんの著書『日本ナショナリズムの歴史Ⅰ』には、十世紀の国風文化については述べられていないけれども、日本における民族文化の誕生だと言えるように考えているんだ。
華女 仮名文字の発明は日本人の民族意識の誕生だと私も思うわ。
句郎 そうだよね。日本人が日本人になっていく。私は日本人だと言う気持ちが生まれて来る。これは素晴らしいことだと思うよね。
華女 普段使っている言葉を文字にする。私たちは日本人だという気持ちを互いに持つようになる。そういう仲間意識をもつことは大事な事よ。
句郎 日本という言葉がうまれたのは八世紀ぐらいの事らしいが、十世紀ぐらいになって初めて私は日本人だと気持ちが生まれて来たんだと思う。
華女 仮名文字の誕生は同時に日本人という民族意識の誕生だったのね。
句郎 この時に生まれた民族主義はナショナリズムというものとは、少し違うようなんだ。
華女 梅田さんがおっしゃっているナショナリズムというものとは、違っているということなのね。
句郎 そうなんだ。十八世紀に生まれた本居宣長の国学研究が日本ナショナリズムの源流ではないかと主張している。
華女 本居宣長が日本ナショナリズムの始まりだというのは、定説ではないということなの。
句郎 そのようだ。今までの定説では、江戸末期、黒船の来航という事件から始まる尊王攘夷運動が日本ナショナリズムの始まりだと言うのが定説のようだ。
華女 今でも覚えているわ。高校一年の古典の授業が本居宣長の『玉勝間』だったわ。何が書いてあったのか全然覚えていないけど、チンプンカンプンだったことだけ記憶にあるわ。
句郎 本居宣長は万葉仮名を読み解き、『古事記伝』四十四巻の注釈書を完成させた。
華女 日本最古の歴史書『古事記』は太安万侶が著したのよね。中学の頃、教わったわ。
句郎 八世紀中ごろのことだったから、まだ仮名文字がなかった。太安万侶は万葉仮名を用いて天孫降臨の来歴を書いた。それが『古事記』だった。考えてみると太安万侶に民族意識の萌芽があるということなのかもしれないな。
華女 日本民族の歴史を書こうとしたことは、民族意識の表れだと思うわ。
句郎 『古事記』以外の日本の歴史書はすべて漢文で書かれている。更に奈良時代から江戸時代に至るまで公の文章はすべて漢文で書かれていた。だから漢文の読み書きができないものは公の仕事に就くことができなかったようだ。
華女 今の英語のような存在が漢文だったのね。
句郎 梅田正己さんは本居宣長の『古事記伝』の本質は『直毘霊(なおびのみたま)』にあると述べている。
華女 『直毘霊(なおびのみたま)』とは、何なの。
句郎 『古事記・直毘霊(なおびのみたま)』で本居宣長が述べていることは、天皇は神だということを歴史的に来歴を記し、説明している。
華女 天皇陛下は神様なのね。だから戦後天皇の「人間宣言」があったのね。
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