******ご注意!!!一部ネタバレの可能性があります!*****
私が勝手にシニア小説とカテゴライズしている内館牧子さんのシニアが主人公の小説3作目
1作目 定年退職した男性が主人公 (ブログ記事書かなかったみたい)
2作目 70代半ばの女性が主人公
そして本作品は70歳になったばかりの夏江が主人公
エリートサラリーマンだった夫と連れ添い、子供二人は独立
傍から見れば幸せな人生なのに、夏江はこれからただ無為に過ごすだけの人生に失望し始めている
世間で自分の世代に向けて掛けられる「年齢なんて関係ない」「始めようと思った時が一番若い」などの言葉が大嫌いな夏江は趣味でなんとなく前向きになった気になるようなことはしたくない
これまでの人生で選択しなかった生き方に思いめぐらす
相変わらずの軽快なテンポでの展開
ちょっとブラックなセリフに苦笑いしつつ、どう折り合いつけるの?と思いながら読みすすめた。
ただ前2作ほどには、入り込めなかった、というか、最後まで夏江の気持ちが理解できなかった。
前作では、どことなく自分にもいつか起きるかもしれない、と理解できる部分があったのですが。
最後は仲間と楽しく過ごす趣味ではなく、誰かのために特技を生かすボランティアを選択した夏江
頼りにされる、あてにされる、責任感をもって仕事をすることに生きがいを感じることは想像できる。
70代で始めても悪くないけど・・・
人生を畳んでいくって本当難しいと思った
人それぞれにペースもあるだろうし、、、
作者内館さんがあとがきに「インタビュー記事に内館牧子さん(70)と書かれて衝撃を受けた」とのエピソードを語っていた。
(70)の表記に「(自分は)お年を召した方」なんだと初めて思ったそう。
年齢を自覚するって、一気に年を取る気がする。
書き下ろし作品
2020年12月第一刷