第165回集改センターの スキルアップセミナー報告をいたします。
開催日:2018年(平成30年)11月7日(水)
テーマ:「建設現場における新築工事と改修工事の違い」
講 師:安達 博好(本会・正会員/設計監理事業部・設備担当)
<セミナー概要>
■はじめに
設備について、新築時と改修時は使用する材料、工法の違いがあります。管理組合からすると、なぜ素材・材質を替える必要があるのか、新築時にはなかった点検口を取り付ける必要があるのか、といった疑問が生じる場合もあるようです。今回はそういった新築工事と改修工事の違いについて考えてみます。
■技術革新など
マンション等の集合住宅で改修工事が行われるのは、新築時から10~15年程度経過した頃になります。新築時よりも施工方法・技術も向上しています。また使用する材料も技術の進歩により同一素材を用いていてもその性能がアップしています。例えばビニール管は火災等の熱に弱くて従来は使える箇所に制限がありましたが、熱で溶けることによって管内の酸素供給を止める、という方法によって弱点をクリア、使用範囲が広がっています。また建築基準法などの法律の改正によっても施工方法の変更が必要な場合もあります。
■目指すところの違い
新築工事はデベロッパー等が売れる物件を作ることを第一に考え、外国製の豪華な印象の洗面台やキッチンを使うなど購買意欲を刺激するものを取り入れるが、少々問題がある可能性があっても、納期を重視してコストカットを図ります。一方、改修工事の目指すところは、住みよい環境を維持するというところにあります。新築時にコスト優先でおざなりにされた部分を、今後の保守・保全を考えて新たな設備を付け加える場合もあります。新築工事においては、購買者の注意をひきつけないメンテナス関係の設備を削ることによってコストダウンを図ることがあります。改修工事においては、将来のことを考えてメンテナンスに必要な設備が欠落している場合は、新たに設置することにより、トータルでのコストダウンを考えます。
■最後に
新築時には、見た目の豪華さに目を奪われがちですが、設備を改修する場合はどうするのだろう、という観点からも見ることが必要です。難しいことですが。改修工事を行う場合は今回の工事だけではなく、今後10年、20年いや50年先くらいまで先を俯瞰して判断することが大事です。改修工事の良し悪しによって、資産価値も変わってくるという意識を持ちましょう。
~次回開催予告~
■第166回スキルアップセミナー 2018年12月5日(水)午後3時から
テーマ: 「~マンション管理組合の防災への取組み~
①電気・ガス・水道等のライフライン停止時の初動措置と予防対策
②大阪府防災力強化マンション認定制度とは」
講 師:枝 俊男(本会・正会員/管理運営事業部・マンション管理士)
<ライフラインが停止したとき、マンションでは様々な問題が発生します。停電すると断水する?風呂・トイレ・食事が出来ない(生活不能)予防対策でカバーできる?エレベーター停止への対策とは。>