第一印象かギャップか

「第一印象が肝心よ」と母は常々私に言ったものでした

それは

初対面の人に会うことが決まっている時

初めてのコミュニティに参加する時

身だしなみを整え、可能な限りの好印象を心がけよと言う躾

母の手の届かない世界で

どうかこの娘の人生が上手く開けますように！

という祈りでもあったのでしょう

しかしながら、ぼーっと生きて来た娘は思うのです

そんな？

第一印象って、そんな大事？

もちろん

面接試験やプレゼン、顔合わせなどの

限られた短い時間で自己表現を行う際は有効でしょう

しかし

初対面から日常的に続く長い関係において

第一印象など、良いに越した事はないけれど

大した意味はないと考えます

取り繕った印象などそのうち剥がれるんだし

だいたい

自分がどんなにシュッとしたくても映えない事は

小さな頃から知ってました

＜ドラッグストアのレジのおばちゃん＞をやるようになって早四年

常に初対面と言っていいお客様方は

店員である私に第一印象など気にしません

一列に並ばされ、待ちくたびれた果てに

四台並んだレジの空いたところへ歩み寄って来られるわけですが

その２、３秒の間

レジで迎え撃つ私の方は

お客様の第一印象を固めています

（美意識高そう・・資生堂行ってみるか・・いや、この人医療美容系か・・）

（あースマホ使ってなさそう・・）

（時間なさそう・・）

（余計なお金は使わなそう・・）

（このカップルはイケる！・・）

（うわあ、機嫌悪そう・・これは流す・・）

私の脳は淡々と、視覚情報に基づいて

確かな根拠もないまま１秒以内で振り分けてしまってる

レジ業務の一環として

ポイントカードやクーポンを持ってるか

なければアプリ登録はどうか

風邪薬を買う人には滋養強壮ドリンクを

日焼け止めを買う人に、最新の美白基礎化粧品をご紹介

そういう営業活動もゆるゆると求められています

仕方なくやるにしても

不機嫌さんやその気のなさそうな人の神経を

こちらの都合で刺激することは避けたい

なのでつい、

イケるかどうかの見極めを

この段階でしてしまうのです

「こんにちは、レジ袋はどうしましょう？」

「あ、要りませ〜ん、コレ持ってきてるんで♪😁 」

それまで究極に仏頂面だったお客さんが

わざわざ体を捻って肩にかけたエコバッグを見せてくれたりして

対峙したら案外いい人だった

なんてことは少なくありません

コチラが一方的に眺めている間はあくまでも素の状態

コミュニケーションに入れば

それ相応の振る舞いをしてくださる

と言うことなのでしょう

そしてこの様に

悪い印象が後に良い方へ翻った時

そのギャップは過度の好印象に変わりがちです

そういえば、かつて島田紳助氏が語っておられた言葉を

夫に教えてもらったことがあります

「第一印象なんか、マイナスくらいでええねんて

最初に百点満点取ったら

そのあとは減点法で採点されるだけやから」

なるほど！

このシステムを熟知している人を私は知ってます

美人先輩パートのかぐやさん

この一年、トンデモ店長の悪影響で人の出入りが激しかった職場には

多くの新しい人がやってきました

＜今日からこちらでお世話になります＞と挨拶をされる機会は実に多かった

母の教えが刷り込まれた私は、それが誰であっても同じように

歓迎の意が伝わるよう全力で心を込め

パートの麦ですよろしくお願いしますと笑顔で挨拶をしてきました

そして今回

とうとう娘より年下の社員さんが登場

私は同じように礼を尽くしましたが

かぐやさんは違ってた

遅番のかぐやさんは夕方に現れました

ソツのない若い社員嬢は素早くかぐやさんを見つけ近寄り、自己紹介と挨拶をしたのですが

かぐやさんてば彼女に顔も向けることなく

「あ、ああ、ああ、は〜い」

と曖昧な返事をして立ち去ってしまい

自分は名乗ることすらしなかった！😱

朝礼では

「私、店長になるつもりなんで！」と私に胸を張って見せてた聡明な社員嬢は呆然

すがるような目でかぐやさんの背中を追ってました

かぐやさんが何かと新参者に塩対応なのは

身を以て知ってたけど

ここまでなんかと私もドン引き

しかし

かぐやさんは

決してそのままで放置はしなかった

一時間後くらいに

「コレでしょ？探してるの、ハイどうぞ🧡」

例によって黒く大きな瞳から金の粉が零れ落ちるような笑顔で

社員嬢に書類を手渡していた

それは、自分が使っていたモノを次に回すだけの行為なのだけど

社員嬢は大感激

安堵と感動で目がうるうるしてる

さり気なく手厳しく

突き落としといて優しく拾う

あれは計算？

それとも無意識？

それともただの照れ屋さん？

子供３人孫１人

女性家族の大黒柱

ちょっと人間不信を思わせる

超絶クールなかぐや姫

あんな技の前では

私の笑顔の第一印象など無力

これを一枚上手と言うのかと

(￣ー￣)（←なんの？）

ぼーっと生きて来た私には

決して繰り出せない初対面の奥義にただ

感動するのです

今日はそんな話

〜(￣ ▽￣)ﾉｼ

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