久しぶりにメロリンさんからお便りが届きました。
身近にいる鳥たちの様子を知らせてくれました。
以下、紹介いたします。
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「鳥たちの四季」
今年の春、3月下旬にジョウビタキのジョー君が渡去したあとには、翌朝直ぐにウグイスの声が空に響き渡りました。
まるで役目を交替したかのように。我が家の目の前の林の中で鳴いています。ホトトギスの声と共に、ホーホケキョと、トーキヨートッキョキョカキョクの声が。
残念なのは鳴いている姿が見えない事です。
「カワセミの春」
私の散歩道には人工池があり、そのそばを小川が流れています。川の西を自動車道が走り市街地からは車で20分。緑多い所。ここ数年宅地開発で緑が減り、鳥たちを心配しながら散歩をします。
4月の小春日和。人工池の土手の上に三脚を立てて大型望遠カメラを並べたカメラマンたちが、20人ほどべったり張りついていた。好奇心があり、私は2メートルの土手を思わずかけ登り、何事ですか?と見知らぬ男達の中の一人に小声で尋ねました。「カワセミの巣立ちですよ」
その日の午前中は私にはタップリの時間が有ったので、そこで約一時間素晴らしいバードウォッチングを体験しました。
池のフェンスに肘をかけ、皆が見ている方を覗くと、まずメスのカワセミが10メートル先の竿の上に見えました。カワセミのママだ。メスはくちばしの下が赤い。背中の羽が青くコバルト色に光りお腹回りのオレンジ色との対比が美しい。池の水際は石垣が組まれ自然に近い作りになっている。石と石との隙間の穴の一つがカワセミの巣になっていたようだ。
その隙間にきれいな青く光るものが動いて見えた。雛だ。足の動きもたどたどしく心ぼそい。雛も親鳥と全く同じく美しく、ただ小さいだけ。
雛はママに促されて初めての飛翔まで長い時間がかかっている。30分。それ以上かも。ママが「オイデ、オイデ」をしている。羽ばたいて見せる。そのしぐさも可愛い。(ワァーっ)と叫びたくなる気持ちを我慢してじっと見る。静かに見る。
雛は「コワイヨ、コワイヨ」と言っているように見える。プルプル震える。
そこにいる全員が集中して見守っている。が、シャッター音だけは消す事ができない。
人工池の向こうの半分は葦原に覆われていて、ママ鳥が隣の竿に動く度にパシャパシャとシャッター音。雛が動く度にもパシャパシャ。
ここにいるカメラマン達は全員が心が裕かな中高年。一生に一度のシャッターチャンスを逃すまいと息を潜めてレンズを覗いている。穏やかな空気感。私はたまたま通りかかっただけの運の良さ。ふふふ。
カワセミのママは広い池の反対側の竿に 直径20メートル程飛んでは又、雛の側の竿まで戻る。羽がコバルト色に光る。雛を呼んでいる。こう翔びなさいと。雛は石を渡り半歩づつ前に出る。勇気をふるう。親子のやり取りがジンジンと伝わってくる。二匹のコバルト色が目に沁みる。雛は一番ちかくの低い竿の上にちょこんと乗った。その瞬間うるさい程のシャッター音。
そしてとうとう、初めての飛翔。雛はママのいる竿の近くまで10メートル程飛んだ。巣立ちである。2匹はそれぞれの竿の上で顔を見合わせた。「ぼうや、よく出来たね」とママが誉めてあげたのでしょう。
次の瞬間、2匹は連れだって春色の林の中へと消えて行った。 人工池を一っ飛びに飛び越えて、いなくなっちゃった。
巣立ちから長飛行まではあまりにも短時間。 あっという間にいなくなりました。
「つばめの来店」
つづく
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今回は、何回かにわたっていくつかの原稿を送っていただきました。
というわけで、とりあえず今日はこの2つを紹介いたします。
この原稿が届く前日、私はちょうど多賀城の「東北歴史博物館」に行ってきました。そこのレストランで古代米の食事をしながら外の景色を眺めていました。外は池になっていて数羽のカモがすーいすーいと水面に波紋を描いていました。
その時、宙にサーと鮮やかなエメラルド色の紙きれのようなものが飛来してきました。そのあたりを何度か旋回したり、さっと姿が見えなくなったりする、その色の美しさに目を見張ってしまいました。一緒にいた友人が「あれはカワセミよ。」と教えてくれました。
そのカワセミのエピソードをすぐ聞けることになるとは...。と思いながらメロリンさんの思いをより鮮明にイメージすることができた私でした。
調べてみると、カワセミは北日本では秋冬に暖地に移動するようですが、この後東北歴史博物館に行っても見られなくなるのかなあ...。
というわけで、今回は二重に運が良かったのかも...
次回をお楽しみに