https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181209-00010002-cosmopoli-life略
贋作、偽造、鑑定間違い、無名の人の作品だという人もいます」と<Town & Country>に語ったリエッピさん。驚くことに、問題のある作品の多くは、「高額で売買されているアーティストのものです」とのこと。
リエッピさんの毎日は、しばしばオークションハウスを訪問することからスタート。例えば、競売にかける前のジャクソン・ポロックの絵画を調べるために、顕微鏡で表面を検査し、人工的な経年劣化をほどこしていないか、サインに本人のものとは違う点がないかなどをチェックするそう(リエッピさんはこれまでに一度ならず、「ポロック」の綴りの間違った贋作を見たことがあるとのこと)。
その後は研究室に戻り、例えばレンブラントの作品だという絵画に赤外線やX線、紫外線を照射。「それがレンブラントと同時代にあって彼の影響を受けたサークル内の人の作品なのか、彼のスタジオの人のものなのか、あるいは彼自身によるものなのかを見極めるためです」。
ここ50年間に制作された作品については、“Bomb curve analysis”と呼ばれる技術を使うことで、制作年代を特定できることがあるそう。リエッピさんによると、1950年代~60年代の初めにかけては核兵器のテストが大気中の放射線量を急上昇させたため、キャンバスに残った放射線量を計測することで、より正確な制作年代がわかるのだとか。
最近リエッピさんが贋作であることを見破ったのは、個人のコレクションの1つだったというモネの風景画。そのスタイルは印象派の作品と合致しており、裏側には、本物であれば当然貼られているべき美術館や展覧会のラベルの数々があったそう。ところが、この絵にX線を当てたところ、風景画の下から出て来たのは、バラの花束の絵。それ自体は珍しいことではないけれど、その上に古くなったニスの上塗りの層があり、風景画はかなり後になって描かれた物であることが判明したそう。もっとも、この絵が贋作であるという決定的な証拠となったのは、リエッピさんいわく、1997年以降にしか存在しないはずの青い合成色素が使われていた点だったとのこと。
ただし、「Art Analysis & Research」の仕事は美術鑑定ではなく、作品が本物であるという決定的な証拠や、偽造の証拠を提出すること。「私たちは鑑定の材料となる情報を提供し、作品にふさわしくない変則的な素材や技術を指摘するのです」と、リエッピさん。「偽造者たちはよりクリエイティブになっていますし、科学の力も承知していますが、世の中にはどうしても偽造できないものもあるのです」。