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耳下腺(耳の周囲にある、唾液を作る部分)が腫れてきた、痛む、などいつもの風邪とはなんだか違う、これらの症状はおたふく風邪の主な症状としてあげられています。ここでは、そんなおたふく風邪の、感染源や感染力、感染ルート、予防について解説します。
■おたふく風邪は感染するのか
おたふく風邪は、病原性微生物であるムンプスウイルスが体内に入り感染することによって起こる感染症です。おたふく風邪の潜伏期間、つまりウイルスが体の中に入り症状が出始めるまでは2〜3週間、平均すると18日前後かかります。ノロウイルスやインフルエンザウイルスに比べて潜伏期間が長いのが特徴です。
耳下腺部が腫れ始めてくる前後5日間がもっとも感染のリスクが高く、耳下腺の腫れが治まってきた頃には感染力は弱くなっています。潜伏期間でも人に感染させるおそれがあるので注意が必要です。
おたふく風邪は、ヒトからヒトへ飛沫感染、または接触感染により感染していきます。したがって、感染している人との会話やくしゃみ、咳などで空気中に飛散したウイルスを含む飛沫を吸い込むことで感染することが多いです。また、ウイルスがついた物や感染者との接触による感染も見られます。
飛沫感染するものの、感染しても病原性が弱く、免疫力により症状が現れない不顕性感染が30〜35%と高くなっています。このことが逆に、知らない間に人にうつしてしまい感染を拡げる原因にもなっています。
もし何度も耳下腺の腫れを繰り返し、発熱はないが軽い痛みがあるという場合は、おたふく風邪によく似た別の病気かもしれません。主なものとしてコクサッキーウイルスやサイトメガロウイルスによる感染からくる反復性耳下腺炎の可能性があります。おたふく風邪かどうかは、医療機関を受診し診断してもらうのがよいでしょう。
感染し発症する年齢は、3〜10歳の小児に多く、保育園・幼稚園・小学校に通うことで、飛沫感染や接触感染により他の子供からうつされ流行する傾向があります。特に3〜6歳で多くなっていて、逆に乳幼児での感染は少なくなっています。
■感染した際におこる症状
おたふく風邪の特徴的な症状としては、耳の下・頬の後ろ側・あごの下といった耳下腺部が腫れてきます。通常は片側からはじまり、腫れていくスピードも速く1〜2日間で腫れが両側に拡がりますが、片側しか腫れない場合もあります。
耳下腺部の痛みは腫れが出た時から3日ほど続き、痛みで食べ物を噛めない・飲み込めない、会話がつらいといった症状があります。腫れは1週間〜10日ほどで治まってきます。多くの場合、発熱し、頭痛・嘔吐・腹痛を訴えるケースもあります。
1歳未満の幼児の場合は、症状らしい症状が出ないまま終わる不顕性感染も多く、はっきりとした症状が出にくいのですが、顔のまわりが普段よりなんとなくずんぐりしている、エラが張った感じがする、食べるのを嫌がることがあれば、おたふく風邪が疑われます。
おたふく風邪は、通常発症から1 〜2週間で腫れも引き軽快していきますが、熱が3日以上続く、激しい頭痛・嘔吐やけいれんが続く、3日経過しても腫れが引いてこないようなら、ムンプスウイルスによる髄膜炎などの合併症を起こしている可能性があるので、早めに医療機関を受診するようにしましょう。3日以上の発熱や、激しい頭痛、けいれんは要注意です。全体の割合としては少ないのですが、まれに合併症として難聴などを起こすこともあります。死に至る髄膜炎や難聴など不幸なことにならないためにもワクチンによる予防をおすすめします。
■感染予防について
おたふく風邪患者が周囲にいる場合は、飛沫感染や接触感染により感染していくので、確実に感染を防ぐことは難しいでしょう。特に保育園や幼稚園など子供が集団でいるような場所だと感染のリスクが高くなります。
おたふく風邪にはこれといった治療がなく、髄膜炎を合併し重症化したり、まれに難聴になったりすることがあります。子供が集団生活を始める保育園や幼稚園に入園する前に、予防接種を受けておくのも、おたふく風邪への感染予防に効果的です。
おたふく風邪の予防接種は、1歳の誕生日以降に受けることができるようになり、生後24〜60か月の間に接種することが望ましいとされています。接種は定期予防接種ではなく任意接種で、自己負担となるため1回5,000円〜7,000円ほどと高い価格ではありますが、自治体によっては、公費助成制度があり助成金を出してもらえるところもあります。助成金には年齢制限などがあるので、各自治体に事前に問い合わせるとよいでしょう。