こじらせ女子ですが、何か?

心臓外科医との婚約を解消して以後、恋愛に臆病になっていた理穂。そんな彼女の前に今度は耳鼻科医の先生が現れて!?

7SEEDS。

2022年12月22日 | 日記

(※『7SEEDS』に関してネタばれ☆があります。一応念のため、ご注意くださいませm(_ _)m)

 

 う゛う゛っ。『7SEEDS』、全35巻+外伝まで読んでしまいました。。。

 

 本当に、一コマの無駄もなく、面白くて切なくて、時々この上もなく笑える、素晴らしい大エンターテイメント作品だったと思います

 

 普通、これだけストーリーとして壮大すぎると、時々「何故こうなったか」、「ならざるをえなかったか」という状況説明その他のために――「このくだり、必要なのはわかってるけど、ちょっと退屈☆」とか、「こっちのチームじゃなくて、わたしは別チームのその後が気になってるから、速くそっちターンになって」などなど、読者的に我が儘になってしまうものですが、『7SEEDS』はそんなこともなく、1巻から最終巻に至るまで、圧倒的に面白く、あっという間に最後まで読んでしまいました

 

 春のチーム+夏のA&Bチーム、秋チーム、冬チームと……大体約30名くらいメンバーがいて、その他シェルターの過去話など含めると、ほんと登場人物が多いわけですけど、亡くなってしまった人々も含め、印象深いエピソードがたくさんあって

 

 う゛~ん。割と最初のほう読んでた時は、春チームの花ちゃんと夏Bの嵐くんが、恋人として早く再会して欲しい!!と思ってたはずなんですけど――わたし自身が偏愛してるのが夏のAチームということもあって、そちらよりも彼らが最後どうなるかのほうがすごく気になってたかもしれません。。。

 

 花ちゃんと嵐くんについては、「もしかしてこのまま会えないまま終わるんじゃ……」というくらいの危機の連続だったわけですけど(田村先生もサドやなあ☆笑)、最高の再会のあのシーンを読んでも、わたし的には感動が薄く(いえ、他にいっぱい感動されてる読者さんいっぱいいると思う)、最後まで気になったキャラは安居くんと涼くんだったというか(^^;)

 

 なんていうか、わたし安居って最初に出てきた時から好きじゃなかったし、涼くんも「まあまあ好きよりはもう少し好きかな」くらいな感じでした。というより、夏のAチームの中では小瑠璃ちゃんが大好きだったので、小瑠璃ちゃんが小さい頃安居が好きだったから、「そんだばオラも好きになってみっぺか☆」と思い、涼くんはその後話のほうが先に進めば進むほど、好きになっていったキャラでした。。。

 

 でも、最後までお話の中で気になったのは安居でしたし、外伝まで読んだ今も、「安居ってなんかイマイチ来ないんだよなー☆」と思いつつ、「『7SEEDS』の中で一番印象に残ったキャラは誰でしたか?」と聞かれた場合、それはやっぱり安居なんですよ。

 

 自分たちエリートAチームと、他のパンピーチームとを明らかに分けて考え、ボス猿かボスゴリラのようにウホウホと偉そうに(?)振るまっていたのみならず、花ちゃんに乱暴狼藉を働こうとしたレイプマン安居(ただし、未遂☆しかもその後、花ちゃんの命を助けられる位置にいながら見殺しにした)。

 

 でも、その後もこうしたことについて全然反省してなかったりとか、そういう安居の「人間らしさ」というのは、『7SEEDS』の中でも一番の読みどころのひとつだったと思います。もちろん、女性が読んだ場合、「安居許すまじ!!」と感じるのは当然のことだし、花ちゃんは運動神経もいいし、女性としては鍛えられているほうであるにしても――安居や涼みたいに、バリバリマックス男として超鍛えてます☆みたいな男性に本気で襲われた場合……「力で屈服させられることがある」ということがわかった瞬間、本当に怖かったと思う。ちささんが、「花さんに(安居を)許さなきゃいけないと考えさせること自体ひどい」と言ってた言葉も超正しい。

 

 でもほんと、「確かにこれ、安居きっつー☆」という立場に彼が置かれれば置かれるほど……「なんかこれはこれでツライなあ」と読者的には思い。。。でも、田村先生が花ちゃんに(嵐のことを助けてくれたことを感謝した上で)「あんたを見てるだけで、涼のナイフなんかより怖い。とにかく、わたしに近寄らないで」みたいに言わせていたり、もう一度安居が同じ仲間に戻ってないっていうのは、本当に描き方として正しいと思っていて(いえ、悩みますよねえ、ほんと^^;)。

 

 人間関係の基本として――まあ、最初は相手が信用できる人間かどうか、腹を探りあった結果として、最初の頃は特に衝突してしまうって、状況が状況なだけに、ある意味当たり前でもあるわけで……でも、夏のAチームは未来に送られた時点で、傷つき尽くしていたというくらい、あらゆる意味で物凄く傷ついていた。そこで安居は秋チームのガイド十六夜さんを銃の発砲により殺してしまい、他のパンピーチームに対しても不審&傲慢&上から目線的イヤな奴としてしか接することが出来ず。。。

 

 わたし、最初から小瑠璃ちゃんと安居がくっつくことはイヤだったので(小さい時からそう☆笑)、すぐ美形ピアニスト・ハルくんと恋愛フラグが出てくれて、心からほっとしてました。でも安居には安居で、彼自身自覚していないながら癒しが必要で……それが花に対する暴力&いじめという、最低な形で表面化してしまい――涼くんにしても、そんな安居をサポートする立場でありつつ、彼もまた自分で気づいてないながら、トラウマを負っていた。「自分たちのように過酷なテストを受けるでもなく、ただのほほーん☆と未来へやって来たように見えるパンピーチームを試し、それで死んだらそもそも資格なし」として、簡単に邪魔、あるいは自分の価値基準により不要と感じる人間を殺そうとする涼。

 

 結局、安居は花ちゃんに対するレイプ未遂、ほとんど見殺しにしたも同然の罪(+十六夜さん殺し)により、また涼も殺人未遂罪(というか、ほとんど殺人罪)が明るみに出たことによりチームから排除され、その後彼らのことを何も知らない夏のBチームと合流することに。。。

 

 まあ、今は離れているにしても、いずれこの夏のBチームだって、春チームや秋チームや冬チームの人々と合流することになるのはお話の流れとして間違いないわけで……安居と涼にしても最後、再び自分たちの罪がバレたとしたら一体どうするのか。しかも、ここでも「のほほん☆夏のBチーム」を試し、すっかり殺人癖が身についてしまったかのようにすら見える涼くん。。。

 

 とはいえ、その高いエリート能力により、夏のBチームの一員としてすっかり信頼され、力強い存在として頼られるかのような立ち位置の涼くんと安居ですが、いずれ彼らが再び花ちゃん含む他の人々と相まみえたとした場合、一体どうなるのか――ということと、気になる人間関係がもうひとつ。夏のBチームの一員のように見えていた百舌要さんは、安居くんや涼くんや小瑠璃ちゃんや、夏のエリートAチームを選抜するための教官で、花の父親もまた彼らを厳しく鍛え、テストでは殺そうとすらしようとした鬼教官だった。

 

 だから、花ちゃんの父親がその貴士さんだとわかった時……ただ、自分の娘だからという理由だけで彼女が未来へ送られたのだとわかった時、安居が花ちゃんに対してアタリがキツくなった気持ちというのは、わからなくもなかったりします(でもあくまで、全体をある程度わかっている読者としては、という意味。わたし的にはレイプ未遂以前に、井戸を見つけるのに女の子にあんな重労働のいじめを課した時点ですでに許せなかった)。しかも、安居の花ちゃんをレイプしようとしたアレっていうのは、ようするに甘えですよね、たぶん。こんなカワイソウなオレを誰か癒してくれよという、ある種のSOSのように思えなくもない

 

 ええと、わたし的に「良かったな」と思ったことのひとつは、安居が「きちんと裁かれた」ということだったかもしれません。こうした状況下で、極めて限られた人間しか存在しなかった場合――力のあるグループ側のリーダーである安居って、断罪もされず、なんか罪のほうもうやむやで終わりそうな気がするじゃないですか。でも彼の罪はきっちり表沙汰にされ、同じ仲間の夏のAチームにも同情はされませんでした(普通に考えた場合こういう時、現場を目撃したマドンナは口を噤み、虹子さんは中立の立場どころか、偽証すらしていたとしてもおかしくない。でもこのあたりに関しても、源五郎くん含め、ある意味潔癖なところが夏のAチームの面白いところだと思う^^;)。

 

 このあたり、「安居きっつ。しかも、完膚なきまでに自分が悪いゆえに、それでみんなから「悪い奴」として責められる安居、マジできっつ☆」と思う反面、裁かれて当然でもあるわけで……最後、どうなるんだろうと思ってたら、彼は花にちゃんとあやまった。でも、安居の姿を見るだけで体が拒絶反応を起こす花ちゃんにとっては、謝罪の言葉は受け取れても、「怖い」と感じる感情自体は自分でもどうにも出来ないものだった――そのことがわかり、愕然とする安居。

 

 結局、安居と涼くんは船に乗って別の仕事へ向かうわけですが、ちゃんと頭を下げて「船を貸してほしい」と言えるあたり、成長したように思われる安居くん。涼くんにしても、夏の落ちこぼれBチームと交わったことにより、馬鹿たち(?)の存在意義と妙味がわかるようになり、自分(あるいは自分たち)に足りないものを自覚していくように。。。

 

 要さんや花の父親の貴士さんが夏のAチームにしたことがあまりにエグすぎて、要さんが安居くんや涼くんと再会した時、何が起きてもおかしくないと思ってはいたものの――このあたりの対決も読み応えがあって最高だったと思います。彼らが安居くんたちに与えた試練というのは、「ここまでのことが本当に必要だったのか?」と思われるほど非道い、過酷なものでしたが、結局のところ夏のAチームのような能力の高い人間が三十人ばかりも揃っていれば万事上手くいったかといえばそうとも限らず……かといって、他の春チームや夏のBチームや秋チーム、冬チームだけで、もし仮に人間関係にトラブルなく仲良くやっていけたとしても――おそらくはどこかで崖っぷちのようなものにぶつかっていた。お互いがお互いを補いあってこそ、彼らは最終的にそのほとんどが生き残ることが出来たという、そうしたことだったのではないでしょうか。。。

 

 このあたりのお話全体の持つ説得力と、ひとりひとりのキャラクターの持つ魅力ですよね。他の海ドラのサバイバル系のものだと、結構主軸の男女やグループがいて、他のグループのメンバーもそれぞれ魅力的ではあるけれど、あくまでサブ的立場だったりして……でも、最後に絶体絶命の嵐くんのことを小瑠璃ちゃんが助けにいくところとか――その前に新巻さんが無茶して花ちゃんを助けようとしたり、誰かひとりが欠けても全員が生き残ることは出来なかった。

 

 ここ、なんですよね。普通だったら、ヒロインらしき花ちゃんがあの場合、さらに大活躍して全部やっちゃうとか、嵐くんが相当窮地に追い込まれるけれども、でもなんとかヒーローの底力で脱出できたとか……そんなふうにしてしまいがちな気がする。でもほんと、最後の最後まで、「これでもか」というくらい波乱万丈ででも、「たぶん彼らが主役なんだろうな」という花ちゃんが窮地にあることで、本来ならそこまで勇気の持てないナッちゃんと蝉丸くんが活躍する余地が生まれ、嵐くん自身にどんなに勇気があろうとも、どうにも出来ない状態にあるところを、小瑠璃ちゃんが思いもよらない方法によって救出しにきてくれたり。。。

 

 正直、『BASARA』をわたしが最初に読んだ時、どうしても絵が好きになれなくて途中で挫折してしまったのですが(最初に読んだのは中学生の時だっけ☆^^;)、漫画好きの友達の間ではものすごく人気があって評価の高い漫画でした。なので、「面白いと思えない自分がおかしいのだろう」と思い、その後二十数巻まで買うもやはり挫折

 

 でも今回、『7SEEDS』という素晴らしく完璧な漫画を読んだことで――もうすっかり大好きになれて良かったですそもそもわたし、萩尾先生のことだって最初はずっと「絵があんまり好きじゃないかな~☆」なんて、恐ろしいこと思ってたわけですしね(今じゃすっかり考えられん)。

 

 でも唯一、最初はあんまり好きじゃない……が、何かをきっかけに「好き」、「大好き」になった瞬間――その後はずっと永遠に好きってパターン、わたし他にもあるので、それもまた決してマイナスということはないのです(というか、わたし、「絵が苦手」と最初は思っても、お話のほうが面白いと絵がどうこうとか気にならなくなるタイプなんですけど、にも関わらず「どうしてもダメだった」という意味で、『BASARA』はすごく記憶に残ってました。でも、今読んだらまた印象変わるかもって思います)。

 

 なんにしても、『ミステリと言う勿れ』がドラマ化され、『ミステリと言う勿れ』きっかけで、他の田村先生の漫画を読まれる読者さんが無限増殖しているに違いないと思うと……本当に素晴らしいことだなって心からそう思います♪(^^)

 

 それではまた~!!

 

 

 

 

 


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