こじらせ女子ですが、何か?

心臓外科医との婚約を解消して以後、恋愛に臆病になっていた理穂。そんな彼女の前に今度は耳鼻科医の先生が現れて!?

大島弓子選集、第1巻-誕生-。

2021年10月04日 | 日記

(※大島弓子先生の漫画『男性失格』のネタばれ☆がありますので、念のため御注意くださいませm(_ _)m)

 

 ここのところずっと、萩尾望都先生or竹宮惠子先生の漫画について色々書いてきた気がするのですが、ここに来て突然大島弓子先生です♪

 

 いえ、わたし大島弓子先生の漫画って、今の今まで一度も読んだことがなくってですね(殴☆)、萩尾先生や竹宮先生の漫画にドンピシャ☆で嵌まっていた方にしてみれば、たぶん――「え~っ!信じられな~いっ!!それでよく少女漫画が好きとか言えるわねえ」といった感じのことではないかと(^^;)

 

 それで、今回何故突然大島弓子先生かというと……まず、例の『一度きりの大泉の話』や『少年の名はジルベール』などに言及があったというそのせいです。それもそのはずで、少女漫画の歴史というか、その源流を辿っていくと、萩尾先生や竹宮先生のお名前は当然のことながら、大島弓子先生も絶対的に無視することの出来ない大きな存在と思うからなんですよね

 

 いえ、いくらわたしでも、大島弓子先生の名前くらいは当然聞いたことがありました。でもこの場合も竹宮先生の場合と同じく――「聞いたことはあるけども、読んだことねえだ、オラ☆」(何故か田舎者風・笑)といった感じであったわけです。

 

 

 >>批評家の分類にしたがえば、竹宮惠子、萩尾望都、大島弓子は、「新感覚派」なのだそうである。

 

(『風と木の詩』第1巻解説より)

 

 >>描かせてくれないのは編集のせいばかりとも言えない。私たちがそのハードルを軽々と超える話を作れないせいもあるからだ。現にもりたじゅんさんの『うみどり』(集英社『りぼんコミック』)という作品は、生き別れの兄妹が、そうとは知らずに出会って恋に落ち、周囲の反対に遭い、心中することを選ぶ。少女マンガではありえない話だった。でもこの作品は堂々と載ったのだ。同時期に大島弓子さんは『誕生!』(集英社『週間マーガレット』)という高校生の妊娠のストーリーを週間連載している。

 

(『少年の名はジルベール』竹宮惠子先生著/小学館より)

 

 

 竹宮先生の『少年の名はジルベール』にこう書いてあったことが、まず最初に大島弓子先生の漫画に興味を持ったきっかけでした。それでわたし、この『誕生!』という作品だけでも読んでみたいと思い……まあ、軽くググってみたわけです。そしたら、この『誕生!』というお話と一緒に、他に収録された漫画のあらすじが書いてあったりして、これがもうドンピシャ☆だったというか(^^;)

 

 それが『男性失格』というお話で、あらすじみたいのを読んだ瞬間――「これは絶対に買って読まねばならぬっ!!」となったんですよね。ええとこれ、わたしどこで見たんだったかなあ……もしかしたらどなたかのレビューやブログの記事であったやもしれませぬ。ただとにかく、被爆したことによって、元は男らしかった(笑)シモンという男性が、だんだん女性らしくなっていってしまい、元は彼とアンという女性を取り合っていたアーヴィーと恋仲……というか、かなりそれに近いスレスレのところまでいってしまう、といったような物語。

 

 何かそんなふうに至極簡潔にあらすじが書いてあって――で、わたしその時思ったわけです。ちょうど『マージナル』読み終わって、メイヤードが大好きになってたので、彼が女性ホルモンの投与によって、片方の胸だけ膨らむ……といった描写があり、「大島弓子、気になるっ!おーしまゆーみーこーおおォッ!!」となり、まあ注文して買ってみたのでした。。。

 

 わたしまだ選集の第1巻しか読んでいませんが、1から100まですべて面白かったです♪あ、ちなみにわたし、某密林さんの読み放題で、『綿の国星』の第1巻と第2巻の途中まで、この前に読んでいて――まあ、簡単にいえば「感性の化け物」(ホメコトバ☆)ですね。わたしの読んだ選集の第1巻は、かなり初期の作品ばかりと思うのですが、デビュー作である『ポーラの涙』からはじまり、残りの収録された9編の漫画もすべて、全部ぜんぶ面白かったです

 

 そして、萩尾望都先生、竹宮惠子先生、大島弓子先生という<新感覚派>と呼ばれる三人の中では……わたし的には一番「少女漫画してるっ!」と感じられるのが、大島弓子先生だったような気がしたり。竹宮先生は目指す方向性がどちらかというと少年漫画志向だったような気がしますし、萩尾先生は「少女漫画界の神」とか「少女漫画の母」とも呼ばれる方ですが、「これは間違いなく少女・女性・女にしか描けん世界だろう」みたいに男性が一番感じそうなのが大島弓子先生のような気がする、と言いますか(もちろん竹宮先生の『風と木の詩』なども、「少女・女性・女にしか描けない世界」とは思うのですけども)。

 

 本当は、収録された漫画全部面白かったので、ひとつひとつ感想を書こうかなと思ってたのですが――それ書くと相当長くなっちゃうので、まあ読むきっかけとなった『男性失格』についてのみ、今回は書き記して終わりしようかな~なんて思います♪

 

 

 >>頭が狂いそうです。

 まったく、これを書くのもおそろしいくらいです……

 こんなことが現実におこるなんて。

 

 何がおそろしいのかというと、簡単にいえばシモンという青年の被爆による性転換が、ということですよね(笑)

 

 冒頭の登場人物は三人。

 

 ブロンドで、男らしい胸毛を自慢する(笑)シモンと、彼の親友アーヴィー、そして、このふたりの間で取り合いになっているアンという名の女性(美人)。

 

 三人はヨットに乗っているのですが、やたら一生懸命胸毛を自慢するシモン……一方アーヴィーはそんなシモンに対し(チェッ。すぐにじまんの胸毛を見せる)などと、面白くなく思っている様子

 

 この時点でどうやらアンは、シモンのもじゃもじゃ胸毛☆の虜になっているのかどうか、男らしい言動のシモンに対し>>「すてきよ、シモン!」などと言っていることからしても、このラブゲームの勝敗は、アーヴィーよりシモンのほうが一歩リードしてるみたいなんですよね(わたしだったらたぶん、シモンの胸毛に脱毛テープ(大判)を貼り付けてやるだろうになあ・笑)。

 

 ところがこののち……ラワー島沖合いであった核実験にシモンは巻き込まれたらしく、彼は行方不明に

 

 大学では、胸毛アイドル・シモンのために合同慰霊祭まで開かれ、彼は死を悼まれますが、アーヴィーがシモンと同室の寮のほうへ戻ってみると――片方のベッドのほうに、誰かがいる様子。

 

「シモーン、カモーン!!(よしてくれ、シモン)」というわけで、あっさりシモン復活。ところが、シモンの様子はどこかおかしげ。細く、肩も丸く、手もやわらかく……かつてのスポーツマンとしての男性らしさのようなものがなくなっただけでなく、なんと!!自慢の胸毛までもがすっかり抜け落ちたことに気づき、>>「おれの胸毛、おれのシンボル……」と落ち込むシモン(どうやら放射能のせいらしい。「♪男のシン~ボル」by,梅宮辰夫)。

 

 その上、胸毛のみならず、ヒゲまですっかりなくなってつるつるのシモン。しかも、変わってしまったのは肉体のみならず、その影響は精神にも及び、ショーウィンドウのピンクのドレスを見、>>「あのピンクのドレスいいよ!」などとのたまうシモン……その顔つきはどう見ても女性のようにしか思われません。

 

 大学へ行ってみるも、シモンのことを誰もがシモンの妹と思い込み、学園一の美女アンは、アーヴィーが大事そうに女性の肩を抱いていたと小耳に挟み、何やら怪訝な顔つき

 

 シモンの両親は、死んだと思っていた息子が生きていたとわかり、泣いて大喜びしますが、彼を抱きしめた母親が胸のふくらみに気づきます。胸毛がなくなっただけでも大ショックなのに、今度は胸に女性のようなふくらみまで……アーヴィーが大学病院の教授に相談にいくと、この教授先生は次のような興味深い話をしてくださったのでした。。。

 

 

 >>そう……17世紀後半に、ニューネーデルランドにおこったはなしだ。

 

 金をほりあてようと幾日も洞くつにはいっていた男が……

 ある日女になって穴からでてきた

 その男はまもなく死んだが

 20世紀になって、そこに多量のウランが発見されたんだよ。

 ひとりの科学者が、その男の変身はウランにふくまれる放射性物質によるものだといいはったのだが

 学会ではだれからも信じられなかった……!

 

 

 教授自身、この話を信じていないということでしたが、アーヴィーがあくまで仮の話として、>>「もし現実に超自然的な性転換がおこったとしたら」と聞いてみると、>>「きみもSFがすきだね。そうなりゃ……フランス中の、いや世界中の注目をあびるだろうな。その人間は研究所にとじこめられ、死ぬまで念入りに観察される。そう、死ぬまでだ。モルモットと同じように、オリの中で一生を送る」とのお答え。

 

 このあと、アーヴィーとシモンが一緒にいたところへ、アンが通りかかるのですが、アンは彼が女性と一緒にいると思い込んでいるため、何やらご立腹のご様子。>>「いいわけなんていやらしいわ」と言って去っていくアンに対し、>>「なんだ!アンがあんな女とは思わなかったよ!勝手な解釈して勝手に怒りやがって。ああ!だから女はやだってんだ!!」と言うシモン。

 

 そして、そんなふたりの前を今度は赤ん坊を乗せた乳母車が通りかかり――>>「レロレロ。ン~~笑った。ハハハ……かわいいな。こんなかわいい赤ちゃんが自分のものだったらなあ」なんと、赤ちゃんのことをあやすうち、アーヴィーとの間に赤ん坊がいたらと想像してしまい、>>(バ……バカな!)と、首を振る可愛いシモン(笑)。

 

 さらにその後、体が近づきすぎてドキッ!としたり、自分が花嫁姿でアーヴィーと結婚する夢を見たりするシモン……アーヴィーはそんなシモンの隠れた心理を知ってか知らずか、シモンがモモンガ……じゃない。モルモットにされないためには、このまま女として生きていったほうがいいと提案し、夜中に女性用のワンピースまで買ってきます

 

 この件については、ふたりの間で喧嘩になりますが、結局この翌日、シモンはアーヴィーの買ってくれたワンピースを着ることに。シモーヌという名前で、大学の学生たちにも紹介されるシモンですが、そのことを遠くから見ていたアンは、心中複雑といった顔

 

 アンは泣きながらアーヴィーの浮気(?)をなじりますが、このあと意を決してシモーヌ=シモンであることを、アンに打ち明けるのでした。一度はアーヴィーとアンをふたりきりにするのに部屋を出たシモンですが、こののち、嫉妬心から戻って来てしまいます。そしてふたりの>>「信じてくれ。きみを愛していたんだ!」、「あなたを愛しているわ……」という会話を聞いてしまい、>>(愛しているだって!?)と、シモンは怒りを覚えます。

 

 これ、ある意味当然ですよね。シモンが生きていた頃、アンはアーヴィーにもシモンにもいい顔をしていたというのか、その中でしかもシモン寄りだったのではないか……といったように思われることから、このシモンの怒りは当然のものといった感じがします(^^;)

 

 しかも、愛していた女性であるアン、誰より一番自分が女であると知られたくないアンに事実を知られてしまったという怒りもあったのかもしれません。シモンは嫉妬から、>>「おれ、おまえが……アーヴィーが好きだっ」と告白します。けれど、>>「おれたちは親友だ」というのが戸惑うアーヴィーの答えであり、「ハハハ。おれ、頭もいかれちまったのかな」と、照れ笑いするシモン。

 

 ところが、この告白を聞き、>>「ゆるせないわ!シモンは男だったくせに」とアーヴィーを取られそうに感じたアンが、大学病院の教授に密告。シモンは即刻捕えられ、実験動物のモルモットに……。

 

 カプセルのようなものに入れられ、四方八方からジロジロ見られるシモン。こんな人生嫌だ(>_<)と思ったシモンは、隙を見て逃げだし、最後に一度だけアーヴィーに会っていこうと思い、彼の元へ。

 

 >>「おれはおまえにあんなひどいことをいっちまった。友だち……ただそれだけだ。だけどおまえがいなくなったあと……この気持ちをいったら……シモン。いまさらこんなこと……笑うだろうな」と独り言を呟くアーヴィーの言葉を聞くシモン。

 

 泣きながら「ありがとう」とアーヴィーに別れの言葉を告げるシモン。この時、シモンの足音に気づき、追いかけてくるアーヴィー。そしてふたりは抱きあい……。

 

 >>「おれもいくぞっ、シモン。ふたりで逃げよう」と言うアーヴィー。>>「国をでるんだ。すこしの金ならポケットにある。なんとかなるさ!」

 

 けれど、科学者たちがシモンと一緒にいる間、アーヴィーも被爆していて危険だったと聞かされていたシモンは――>>「だめだ!さようなら、アーヴィー!」と、アーヴィーのことを振り切り、走り去ってゆくのでした……

 

 ――シモンはいってしまいました。

 もう三年にもなります。

 シモンはまだみつかりません。

 でも、シモンはきっとどこかにいるはずです……

 ひょっとするとあなたのそばに……。

 

 

 これが、『男性失格』の、最後の文章です

 

 この場合は、「シモーン!カモーン!!(「来てよ、シモーン・笑)」ということになると思うのですが、出来ればアーヴィーとシモン……いや、シモーヌには結ばれて欲しかったと思います

 

 もし、『風と木の詩』発表後だったとたら、大島弓子先生の脳裏にもそうしたラストが思い浮かび、さらにはへんしう部のほうでも――「男と男が結ばれるだってえ!?いかん、いかんよ、そんなのはっ!!」と、口角泡を飛ばして反対する……といった感じでなかったかもしれません。。。

 

 それはさておき、大島弓子先生の『ジョカへ……』というお話が、同じようにシモンという青年が出てきて、性転換薬によって性別が変わってしまう……といった、この『男性失格』を元にしたお話とのことで、そのことを知ってしまった今「読まねばなりますまいよ!読まねばあっ!!(ネバー、ねばー、ネバー☆エコー)」となったので、注文することにしました

 

 なんにしても、少女漫画はやっぱり面白いですねっ♪

 

 それではまた~!!

 

 

 

 

 


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